「こない、な。」
メールアドレスを交換した。
相手は風丸君。
ずっと好きでいつも目線で追っていて、
"最初はただ陸上部の速い人"だった。
だけどいつのまにか好きになって。
今日帰ったらメールするよ!って言ってくれたんだけど、
私の方が家が近くて、3時間経過。
帰宅部だからしょうがないのかもしれないけど、
ちょっぴり寂しいな。
お風呂からあがってきたけれど、まだ届いてはいない。
ランプも光らないし、バイブ音もしない。
「かぜまる、くん。」
まだですか?
寝る寸前、部屋の電気を消した後にバイブ音。
ちかちかと暗闇の中で存在を主張するそれを手に取った。
ディスプレイには彼の名前があって、口元が緩むのが分かった。
内容…は、
「よろしく、だけって。」
あれ、私嫌われていますか。
鳴らない着信音、鳴ったのは深夜のことでした。