隣の席の彼は他の男子と違い、物静か。
容姿、成績共に文句なしのいわゆる出来過ぎ君だ。
他の女の子が騒いでいたが、私は特に興味はなかった。

色恋沙汰が得意ではなかった私は、あまり興味をもっておらず、
つまりは青春という波に乗れなかった愚かな女子だ。
おかげで友達はできないわで1人で読書をするのが日課だった。
男子との接点?そんなものない。
だからといって、寂しいと感じたわけでもない。
そのため私は今日も相変わらず1人。

そんな私を見つけてくれたのが涼野。
昼休みに読書をしていると不意に声をかけられた、
「何を読んでいるんだ、」
「これ?」
片手で持っていた本を指させば呆れたような顔をした。
「他に何がある、」
「だよね。」
「で、それはなんだ。」
「うーん、これはなんなんだろう。」
「わからないのか?」
「うん。」
「…変な女だな、自分が読んでいた本のこともわからないのか。」
「そうなるね、」
そこでプツリと切れた会話だったが、私は、嬉しかった。

次の日から声をかけるようになり、彼とは親友という仲になった。
そして密かに私は彼に思いを寄せるようになった。

「あと一ヶ月で二年生だね、」
そっと彼の顔をのぞき込んでみると、少し表情が暗い。
「どうしたの?」
「いや、…なんでもないよ。」

ゆっくりと頭を撫でられた。
嫌な事が起こる気がする。
彼の顔を見て瞬時に浮かんだだけだ。
どれだけ気のせいだと思いこもうと、なにかが違った。

春、二年生になって最初の日。つまりは入学式だ。
彼と同じくラスになれたのか、
どきどきしながら探すも彼の名前が、ない。
ない、ない、ない。
何往復もして、脳が理解したのか涙が溢れた。
でも、心が認めない。

どこに行ったの、
まだ気持ちも伝えていないのに。


春に羽化した絶望、終わりは来ない。


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