私は秋ちゃんとイナズマジャパンのエリア内をうろうろ。

今日は練習がないらしくって、秋ちゃんと一緒にお買い物に来ていた。

広場らしき噴水の辺りを歩いていると前方に風丸お兄ちゃんを発見した。

私はお得意のタックルをお兄ちゃんにぶつけようと走り出す、…が。

少し走ったところで、止まる。

風丸お兄ちゃん、笑って話してる。

いや、それ自体はいいことなんだけど、問題は話している相手。

円堂さんだとか、基山さんだとかあの人達だったら私だって遠慮なく行く。

…不動さんだったら怖くていけないけど。

だけど風丸お兄ちゃんの隣にいたのは女の人で、すごく綺麗で、お似合いって奴で。

生憎小学生の私でも"ませてる"方だってわかってるから、お似合いって言葉の意味も分かる。

だって風丸お兄ちゃんすっごい美人だもの。

隣のお姉さんも美人で、私みたいなおこちゃまじゃ、かて、ない。

「…日和ちゃん?どうかした…の、」

秋ちゃんもお兄ちゃんを見てぽかんとしてる。

「秋ちゃんあのお姉さん知ってる?」

イナズマジャパンの関係の人だったらまだ納得ができる。そう思ったんだけど、

「ごめんなさい、私はわからないや。」

これで淡い期待ってやつも消えちゃった。

ふとお兄ちゃん達を見ると、お姉さんが止まっている私と秋ちゃんに気づいたのか首を傾げた。

風丸お兄ちゃんが振り返ろうとしたのを見て慌てた私は秋ちゃんの腕を引っ張る。

「あのお店がみたいなあ!」
「え!?えっと、うん。行こっか!」

ぎゅっと手を握り替えしてくれた秋ちゃんにほっとしてお店に入る。

ガラスからそとをふっと見るとお兄ちゃん達はもう居なかった。

あんな笑顔、私みたことなかったな。

私を撫でるときの顔でも、サッカーをしているときの顔でもなかった。

女の人を、女性を見ている顔。

あんな顔私には見せてもらえないんだろうな、と思うとなんだかちょっぴり笑えた。

寂しいな、悲しいな、悔しいな、…なんて。

年の差にはかなわないね。



年の差だけはひっくりかえせない。だって時間を動かさなくちゃ無理だもの。