頭が軽くなって、私は目を覚ます。

瞼が重たくて、とてもゆっくりだったけど、かすんだ視界に青が映る。

風丸、お兄ちゃん…?

喉が痛くて声が全然出ないから、当然お兄ちゃんを呼ぶこともできない。

お兄ちゃんは少し赤い顔をしていて、座っていた椅子から立つと背中を私に向けた。

やだ、行かないで。

お話ししたいよ、

手をぎゅってしててほしいの。

風丸お兄ちゃんにまだ謝ってない。

だから、
「…行っちゃ、やだ…よお。」

頑張って絞り出した声に風丸お兄ちゃんは弾かれたように私の方を向いた。

「…日和、」
「そばにいて、ほしいのっ…、」
「でも、俺はっ!」
「お願い…お兄ちゃん、」

そういえば風丸お兄ちゃんはまた椅子に座って私の手を握ってくれて、

ふにゃりと力無く笑えばお兄ちゃんも笑って頭を撫でてくれた。

あったかい、おっきな手。

私はそれをもっていないから、この手が好きでしょうがない。

「風丸お兄ちゃん、」
「ん…、どうしたんだ?」

優しく笑ってくれたお兄ちゃんに付け上げるように私は、

「大好き、なの。」

なんていつも流されてしまう言葉を言うけれど、

「ああ、俺も…日和が大好きだよ。」

妖精さんが呟いたのか、いつもは聞こえないけれど、ずっと夢にも見ていた返事が聞こえた。




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