今なら言える、ごめんなさいって。 風丸お兄ちゃんに怒られた。 悪いのは私、だけどあそこまで怒らなくたっていいと思う。 もやもやして、いらいらして、ベンチのはじっこに体育座りで座る。 何十分こうしているのかわからないくらい座っていたから、 お尻が少しひりひりするけど、この際関係ない。 風丸お兄ちゃんが次の大会のために練習してるのは分かってる、つもり。 ただちょっぴり寂しくなって、練習中のグラウンドに入った。 そしたら不動さんにどつかれて、「練習の邪魔なんだよ!」と言われ、 怖くてふらふらしている所に風丸お兄ちゃんが走ってきてくれた。 ほっとしたのも束の間、 風丸お兄ちゃんにも「していいことと、悪いことの区別くらい小学生でもつけられるだろ!?」って、言われた。 素直にごめんなさいと言えなかった。 じゃあいいもん、なんて言ってベンチに戻ってきて、監督さんにも怒られて。 何してるんだろ、私。 ただお尻が痛かっただけなのかもしれないし、 胸が痛かったからかも知れないけど。 私は秋ちゃんが見ていない間にこっそりグラウンドを出た。 ドアを開けようとしたときに、「日和ちゃん……?」という秋ちゃんの声が、 聞こえたような気がしなくもないが。 私があそこにいたら、迷惑だもんね。 自分で自分に納得させて、来るときに通った道を歩く。 いつもだったら風丸お兄ちゃんが隣にいて、家まで送ってくれる。 そのせいだからか、少し寂しい。 でもそんなことを思っちゃ行けないんだ、 これが、普通なの。 |