「日和…ちゃん?」


ぷりぷりと効果音がつきそうなくらい怒っている日和ちゃんは無意識なんだろうけど
床に着かない足をぷらぷらされながらパフェを食べている。

原因なんてわかってる、風丸君とあの女の子。


「もう風丸お兄ちゃんなんか知らないんだから…っ、」


きっとかなわないなんて思ってるんだろうなあ、

いつだって日和ちゃんは風丸君の一番なのに…。


気づいてないのはやっぱり幼いからだと思う。

あんなに優しい目で、撫でている時の頬なんかおもしろいくらい緩みきっているのに。

さっきだってね、風丸君ってば日和ちゃんを見た途端、
目を見開いて動揺してた。



日和ちゃんってば、案外小悪魔ちゃんなのかしら。

本当に鈍いんだから!

前だって不動君と話してるのに嫉妬して怒り過ぎちゃってたし…、


「秋ちゃん…?どうかしたの、」
「ううん、なんでもないよ!」
「ほら!パフェ食べないと私が全部食べちゃうんだから!」
「あらあら、欲張っちゃ駄目よ?…ふふふ。」


ほっぺにクリーム付けて笑う日和ちゃんはやっぱり可愛い。


「妹みたい…」
「え?」
「ふふ!さ、早く食べてお買い物の続き、しましょ!」
「うんっ!」



運がいいんだか、悪いんだか。

可愛い雑貨屋さんがあって、日和ちゃんと入ってみたら目の前で風丸君と女の子がイチャイチャ。

風丸君タイミング悪過ぎよ、折角パフェで上機嫌だったのに…。

ほっぺを風船みたいにふくらませた日和ちゃんに苦笑いしながら可愛いネックレスを見せる。


「これとか日和ちゃんに似合うんじゃないかな?」
「いや、どうせ私子供だもん。」


…もう!



日和ちゃんに小声で話しかける。


「そんなに気になるなら風丸君の所に行けばいいじゃない、」
「やだよ、邪魔しちゃうもの。」
「そんなんだと風丸君取られちゃうわよ?」


小さく「え?」という名前ちゃんの声の後にぽろぽろと雫がこぼれる。

「そんなの、やだあ…っ!」

あ、泣かせちゃった。

小さな嗚咽を聞いた他のお客さんがざわざわしはじめる中で風丸君が気づいてまた目を見開く。

女の子に何か言ったあと、こちらに向かって走ってくる。

よかったね、日和ちゃん。

貴方の勝ちよ、……なんて。





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