うち解けた私たちはほんわかと談話を開始した。
彼からこの辺のことを聞いて、笑っていたが私はあることに気づいてしまった。

「ねえ、」
「なあに。」
「貴方、人?」
「……へ?」



0.2 貴方はだあれ



「貴方、人じゃないでしょう。」
突然何を言い出すんだ。と思われただろうか。
でも考えてみたらおかしいじゃないか。
彼はこの辺に人が来るのは珍しい的なことを言っていたし、周りを見渡しても人1人いない。
なによりなんでこの辺に人が来るのが珍しいとわかるんだ。意味不ー。
「な、なんなん?急に、」
「だって貴方、人じゃないんでしょう?」
「…どうしてそう言う考えに結びついたん?」
「だって貴方がここにいる理由がわからないもの。私みたいなのが珍しいってなんでわかったの?」
「…そ、それは!」
「いいじゃない、人じゃなくても。」
「…!」
「私は貴方がなんなのか気になるだけ。…教えてよ。」
「…俺、は。」
「俺は?」
「………引かん?」
「うん。」
「俺、あんたに引かれんの、嫌なんやけども。」
「…へ?なんで?」
「…あんたと、友達になりたいんやわ。」
「いいよ、引かないから。教えて?」
「…ん。俺な、ロコンなんや。」
「へえ!ロコン!ロコンねえ、…ロコ……え?」
「あーもー!だから嫌だったんだよ…。そうやって気味悪そうな目で見るだろ?…あんたには、嫌われたくなかったんそやけどもなあ。」
「いや、貴方ロコン?」
「…うん。」
「ポケモンの?」
「…そやけど。」
「どうりで…、辻褄が合いましたねえ。」
ここがポケモンの世界だというのなら辻褄が合う。
こんな広い大草原みたいな草原。私が住んでいるところの近くにはなかったし。
なによりさっきから聞き覚えのある鳴き声が私の耳に飛び込んでくる。
それにトリップしてしまったというのなら、顔が変わるのはある意味王道だろう。
「…へ?」
「嫌わないよ、私ロコン好きだもん。」
そう、私はポケモンの中でもロコンは好きだった。
可愛いし、進化すると綺麗だし。金銀やHGSSでは手持ちポケモンとしてお世話になっていた。
能力値ではウィンディやギャロップには劣ってしまうけれど、
トリッキーな戦いや状態異常系統のな攻撃が好きな私にとって、妖しい光やおにびを覚えるロコンは好きなポケモン上位に入る。
「擬人化、できる子いるんだねえ。」
妄想の世界だと思っていたが、こうしてみると美味しい。実に美味しい。
「…引かないん?」
「特には。」
「……俺な、人になれるからちょくちょくなって遊んどったんよ。」
「うん。」
「したら仲間からも気味悪いって言われてもうて、群れから外された。」
「……うん。」
「1人には、慣れたと思っとったんや。あんたに会うまでは。」
「…え?」
「あんたと話すのが楽しゅうて楽しゅうて。もうどうにかなってまいそうやわ。」
「あ、ありがとう。」
「あんたトレーナー?」
「えっと、これからなる予定。」
「…そか、」
これってあれかなあ、誘って欲しいパターンかなあ。
だとしたらロコンがパートナーなんて美味しい展開、是非とも受け付けたいのですが。
「あのさ、」
「なあに?」
「一緒に、来ない?よかったら、だけど」
「い、いいん!?」
「うん、私も貴方と喋るの、楽しいから。」
「わっ!わわわ!嬉しいわ!どないしよう!」
「ふふ、喜んでくれて嬉しいよ。ありがと。」
「ん!なあなあ!」
「どうかした?今ボールはないけど。」
「歩くから大丈夫!それよか名前くれへん!?名前!」
「名前?なんで?」
「ほしいんよ!なあなあ、頼みますー」
「じゃ、じゃあ巴(ともえ)!…駄目?」
「ううん!かまへんかまへん!嬉しい!」
にこにこと笑っている彼を見てとりあえずほっとした。
「よかったあ。あ、」
「どないかしよったん?」
「あんたって、いうの。やめて?」
「あー、でもあんたの名前知らない。」
「あ、ごめん!えっとね、あずさって呼んで?」
「ん!あずさ」
「はいっ!なんですか?」
「はははっ!これからよろしゅうな!」
「うん、よろしくね!巴!」

味方を1人見つけました。





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