もんはんしよ! | ナノ



「大倶利伽羅!モンハンしよ!一狩りいこ!」

ばーんとゲーム機器を持ちながら、相手に向かって叫ぶ。時間的にはもう寝る時間だけど、どうしてもやりたくなった。今やりたい。一狩り行きたい。そんなわけで、相手の部屋にばーんと来たわけだ。
だけど、相手は今まさに布団へと入る瞬間。めちゃくちゃコチラに厳しい視線。ううん、なかなかのバッドタイミング。

「一狩り」
「誰が行くか。寝ろ」
「んんんん寝ないで、寝ないで!一回だけ付き合ってよぉ」

もう布団に入りこちらに背を向けた相手にへばりついて、ゆっさゆっさと布団をゆする。だけど動かない。全く動かない。くっそ、一回位付き合ってくれてもいいじゃないか。

「良いもん、私今日ここで寝るもん。寝ないで狩り行くもん」
「……やめろ」

もそりと布団の中の相手が肘を上げてこちらを見た。心底うんざりという様な視線だが、言っておくがまだ9時前だからね?明日は朝から何かを淹れているわけでも無いわけですよ。
そんなわけでさっそく私は部屋の端にある机の上にあるゲーム機を取って相手に手渡した。

「……一回だけだからな」
「やったー!ありがとう!」

布団に座れば、その隣に大倶利伽羅も座ってくる。肩と肩が触れ合うその距離に、少しだけ心臓が早くなるのを隠しながら操作をしていく。

「あのねー、証が欲しいの。二つ名の。あと尻尾」
「…それは二人じゃきついんじゃないのか」
「んなことない!…多分」

握りこぶしを作りながら集会所を立てる。いや、でも実際二人じゃきついかもしれない。というより、絶対きつい。ランクの高い長谷部を連れてくるべきだったか。

「でもせっかくだから大倶利伽羅と二人でいちゃこらしたかったんだよ〜!」
「は?」
「冗談ですていうか嘘ですごめんなさい」

ぱこんと大倶利伽羅が私の頭を叩く。同時にクエストを開始したが、今見た大倶利伽羅の装備めっちゃ燃えるやつじゃなかった?気のせいじゃないよね?あれ?
「って、あー!!ほらやっぱり燃えるやつじゃん。絶対大倶利伽羅死ぬやつじゃん…」
「どこで死ぬかは俺が決める」
「今いうべきセリフじゃないよそれ…!!」

やはり二人は無謀だったか。わが本丸のハンターチャンピオン一期を連れてくるべきだった。でも二人で行きたいって思ったんだもん…!嘘ですこの時間にゲームやろうとすると一期怒るから嫌なんです。

「あーほら、大倶利伽羅もう死にそって、あっ…!!」

デーン、と音を立てながらまさかの私撃沈。え、まさかの。

「えっ…ご、ごめん、まだいけると思った。油断した、ほんとごめん」
「いいから早く戻ってこい」
「あっ、それちょっとときめいた。もっかい言って」
「…………」
「シカトはやめてってば…!!」

がらがらとネコタクに運ばれていく。いやぁ、本当にまさか私の方が先に死ぬだなんて。なめてたなぁ。油断した。いや、油断しなくても死んでたかも。次は油断せず行こう。うん。

「おい、そろそろ相手死ぬぞ」
「え、待って待って、早すぎない!?捕獲したいし、倒すなら私がそこに行ってからにして!」

ダッシュ。ひたすらダッシュ。肉食うのは後でにしてその場に向かう。大倶利伽羅ってそういう所あるよなぁ、なんて。いや、それよりも一度も死なないってどういうことだ。大倶利伽羅強すぎるだろう。

「ほら!もうつくよって、あーー!!!」

エリアに着いた瞬間にクエストクリアの文字。どうやら捕獲してくれたらしい。いやいいんだけど。嬉しいけどさ…!
「尻尾………いや、付き合ってくれただけで嬉しいからいっか…。ありがとう」

結果的に証はゲットできたし、それだけでOKだ。よしよしと満足していると、大倶利伽羅がこちらを見ている事に気付いた。

「どしたの。もう一戦いっとく?」
「あぁ」

首を回してじいっと大倶利伽羅を見る。「ほんとに?」と聞けば、肯定の視線がこちらに飛んできた。途端にぶわっと喜びが頭に舞い上がる。刀剣男士だったら桜が舞っているに違いない。

「い、いいの?がっつり終わらせる気満々だったのに。いこいこ!やった!めっちゃ嬉しい!!」

再びクエストを受注しながら食事を食べる。あぁ、なんだかとっても幸せだな。大倶利伽羅と夜に二人でこんな風にモンハン出来るなんて。このままやってたい。無理だけど。確実に明日怒られる未来が見えているから無理だけど。でもやっぱり嬉しいなぁ。

「おいアンタ死んでるぞ」
「んああああああ」

結局深夜までやって、翌朝怒られました。


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