君と飴玉9 | ナノ


翌日も、やはり俺は近似で、定められた数の刀装を作り、飯を食べ、戦に出た。
3日。俺がここに来てから3日だ。まだまだ人の体にも、この生活にも慣れるには早すぎる段階。
ただ、戦に関してだけはそうではない。
この審神者は優秀だ。
3日で俺に人の体における戦を慣れさせるほどに優秀だ。俺はこの日、特がついた。来て3日で特。体はどんどん思うように動くようになり、疲労を感じさせない己の身は他2人に負けない程に戦った。

ひたすらに、ひたすらに戦った。

その日の何度目かの出陣を前にして、審神者は言った。「大将首を討ち取れ」と。それが、刀として従者として、将から言われた言葉ならば、昂るのは誰であろうと仕方のない事だろう。もちろん、そんなことは一切顔に出さなかったが。
そうして、俺達は新しい時代へと足を踏み入れた。

「今日はガンガン進むのう。なんじゃろうなぁ」
「あしたはほんまるのきゅうじつですからね!きょうじゅうにすすみたいといっていましたよ」
「なんでもいい。行くぞ」

敵はもうすぐそこだ。索敵をしながら、遠くの敵の数を把握する。だが、その数にどこか違和感を覚える。

「どうしたが?」
「…いや、数がおかしい」

普通敵は6体で一隊作っているはずが、どう見てもあれは3部隊程はいるように見える。何度見ても見間違いではない。
遠くの敵の瞳が、ぎらりと光った瞬間に体が足の底から熱出すのがわかった。

「とうせきへい、きますよ!」

ひゅんひゅんと飛んで来る石をよけながら、前へと躍り出る。その数に思わず眉を顰めた。

(何だこの数は)

まだ距離はあるが、ぞろぞろと湧き出る軍勢。敵の奥が見えない。対してこちらは3振り。明らかに不利だろう。それでも、負ける気など毛頭ないが。
集団の中に突っ込みながら、刀を振り上げる。その間にも何振りかを屠り、体に返り血が溢れかえる。後ろの死角から襲いかかってきた刀をすんでの所でよけて、そのまま相手を切る。
ずしゃ、と重たい音を立ててその地面に倒れ込む。びゅ、と刀を横に振れば付いた血が地面に飛び散った。
気付くと、敵の真ん中まで来ていた。うようよと蠢く敵は、こちらの動きを観察するようにしている。

「おんしゃ、行くの早すぎじゃあ!」
「でばんとっちゃいやですよ!」
「俺一人で十分だ」

肉の断ち切る音と共に来た二人と背中合わせにして、周りを取り囲む奴らに刀を向ける。
ぴりぴりとした殺気は、留まることを知らない。

「行くぞ」

地鳴りが聞こえるほどの咆哮と共に、地面を蹴った。




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