病み気味紀平と※【紀平×原田/玩具/無理矢理/嫉妬レイプ】
これ程までに、死にたくなったことはあるだろうか。
腹の中、焼け付くようなひどい腹痛と便意に全身から汗を滲ませた俺は息をするのだけでも精一杯で。
「きひら、さ、お願い、そこを…」
「だーめ」
即答。扉を塞ぐように立つ紀平さんは無邪気に微笑む。
「やるんだったらここでしなよ。大丈夫、ちゃんと見ててやるから」
それが嫌というのがわからないのだろうか、この人は。
言っている間にもぎゅるるると悲痛な音を立てる腹部をぎゅっと抑えた俺は、紀平さんを見上げる。
おそらく、この人に何かを盛られたのには違いないだろう。
先ほど出されたジュースのグラスを一瞥し、俺はもうなんだか泣きたくなってくる。
すると、不意に伸びてきた手に頬を撫でられた。
「何を泣いてるの、かなたん。別に、恥ずかしいことじゃないんだから。人間誰だって最初は一人で便の処理だって出来なかったんだからさ、ほら、かなたんが二十歳になって漏らそうがそれは恥ずかしいことじゃないよ」
顔を上げさせられ、こちらを覗き込む紀平と目があった。
何を言ってるんだ、こいつは。
グサグサと刺さる言葉の数々に心折れそうになったが、状況が状況だからだろうか。焼きつくようにひりつく喉からは声が出ない。
早く、今直ぐそこを退いてもらえればよかった。
だけど、どうやら俺の体の方に限界が来てしまったようだ。
滲む脂汗。
少しでも動いてしまえば塞き止めていたダムが決壊してしまいそうで。
その場から動くことができなかった。
「その顔、もう限界みたいだね」
「………っ」
「いいんだよ、俺の前では我慢しなくても。したいだけすればいい。俺が、見ててあげるから」
緊張した腰に、紀平の手が伸びる。
優しく背筋を撫でられれば、その感触につられて僅かに全身の緊張が緩んだ。
それが、まずかった。
目を見開いた俺は、全身の血の気が失せていくのを感じた。
慌てて紀平さんの腕をどかそうとしたが、紀平さんは動こうとしない。
それどころか、俺を離してくれようともせず。
「いいよ、かなたん。いっぱい出して、綺麗にしないとね……その腹ん中に溜まった誰のかも分からない精子も全部、綺麗に」
いつもと変わらない優しい声。
いつもと変わらない笑顔。
なのに、それが恐ろしく見えてしまうのは、きっと。
◆ ◆ ◆
「紀平さん、ごめんなさい、ごめんなさ…っ」
「謝らなくていいよ、別に俺怒ってないし」
そういう紀平さんの声はいつもよりも低く、それが不機嫌なときのものだというのはすぐにわかった。
覆いかぶさってくる影が動き、全身が緊張する。
腰を撫でられ、服の裾が大きく捲れた。それを気にする余裕なんかなくて。
俺はただ恐怖諸々で硬直する。
「でも、ちょっと気分が悪いかな。かなたんってば、無防備過ぎるんだもん」
耳元で聞こえる声は直接鼓膜に浸透する。
するりと腰のラインをなぞるように下着の中へと滑り込んできた無骨なその指に、堪らず「っ、ぁ」と小さく声が漏れてしまう。
慌てて臀部を撫でる紀平さんの手を掴もうとするが、逆に手首をとられた。
「だから言ってるじゃん。そんなんじゃ抵抗にすらならないって」
つぅっと手首の血管をなぞられ、耳元で囁かれるその声にぞくりと震える。
慌てて振り払おうとするがやはり敵わなくて。
それどころか、もう片方の手が伸びてきて徐にパンツを脱がされる。
ずるりと腿まで落ちるパンツ。それを上げるよりも先に、剥き出しになった下着に触れる紀平さんの指先に神経が集中する。
「もしかして、それもわざと?」
「違…っんん」
言いかけて、慌てて口を閉じる。
下着を捲るように撫で回してくる手が、裾から入り込んできた。
割れ目に這わされる指に、全身が反応するのがわかった。
触れられた箇所が、じんじんと熱くなる。
「紀平さ、ぁ」
大きく下着をずらされ、外気に晒される尻。
寒さよりも羞恥で全身が熱くなる。
慌てて服の裾を伸ばし、剥き出しになった尻を隠そうとするが、片手では上手く行かなくて。
そんな俺を見兼ねたのか、紀平さんが手を離してくれる。ほっと安堵した矢先だった。
「俺、心広くないからさ、あんまあーいうのやめてくんないかな。ただでさえ、人前に出したくないのに」
どろりと、冷たい液体が下半身に垂らされる。
びくっと震え、下腹部に目を向ければボトルを手にした紀平さんの手があって、透明な液体から発せられる甘い香りに目眩を覚えた。
濡れた下半身からどろりと滴る液体の感触が気持ち悪くて、泣きそうになりながら慌ててそれを拭おうとするが、腕は動かない。
代わりに、紀平さんの手が俺の性器に触れた。全身が、緊張する。
なんで、なんでこんな事になったのだろうか。
いつでも逃げようと思えば逃げられる可能性もあるのにそれでもこの場にいるのは、やはり、紀平さんの言葉があるからだろう。
今思えば、今日は一日中紀平さんの機嫌が悪かった。
それがさらに悪化したのは、確か四川に絡まれた時だ。
まあ、その、いつもの調子で面倒な絡み方をしてきたやつと揉めていたとき、たまたま居合わせた紀平さんに助けてもらったのだ。
そこまではよかった。
不機嫌オーラ纏った紀平さんに事務室に連れ込まれて、現在に至る。
正直、何がなんだかわからなくて、混乱するばかりで。
ただ、紀平さんの怒った顔は見たくない。
「ふっ、ぅ、…く、」
下腹部から響く濡れた粘着質な音。
ローションを塗り込むように四肢に触れてくる紀平さんの濡れた手に腰を掴まれ、そのまま露出した肛門に触れる。
ぬちゃ、と粘っこい液体を絡めた指先が窄みをなぞり、そのもどかしい感触に思わず「ひっ」と息を呑んだ。
「ぅ、んんっ……ふ、……っ」
ぐっと力を入れるだけで、ローションでずぶずぶに濡らされたそこは俺の意思関係なく紀平さんの指を飲み込む。
指とともに体内へと流れ込んでくるローションの感触が気持ち悪くて、自然と逃げるように腰がうねる。
それでも紀平さんは構わず二本目、三本目と指を滑り込ませてきて、痛みもなく難なく飲み込んでしまう自分の体に恥ずかしさと息苦しさでいっぱいになって顔を隠すように口元を手で覆えば、顔を近付けてきた紀平さんに指を甘噛みされた。
「ぁ…っ」
「声、聞かせて」
甘えるようにじゃれついてくる紀平さんだけど、その声は俺に有無を言わせない。
震える指にぎゅっと力を入れて、顔から手を離した俺は紀平さんの胸元にしがみついた。
同時に体内に埋め込まれた指が大きく曲げられ、ぬるりとした中の確かな異物感に腰が震える。
驚きのあまり、ぴん、と背筋が伸びた。
「ん、く、ぁ……っや、紀平さ、ごめんなさ…怒らないで…っ」
出し入れするように激しく内壁を刺激されれば、ぞくぞくと甘い疼きに腰が痙攣し、力んだ下腹部は紀平さんの指を締め付けてしまう。
それでも、紀平さんの手は止まらない。
ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなるような品のない音に泣きそうになって、堪らず顔を隠すように紀平さんにしがみついたとき、目があってそのまま唇を重ねられる。
「ん…っ、ふぅ…っぁ…っ」
ちゅ、ちゅ、と唇を吸われ、吐息が混ざる。
優しいキスに頭が真っ白になって、ぽろぽろと目から涙が溢れる。
そんな俺に薄く笑った紀平さんは目から溢れた雫を舐め取り、そのままぐりっと中を大きく掻き混ぜる。瞬間、電流が走ったかのように思考が飛びかけた。
それも束の間。
「ぁっ、待っ、あ、紀平さっ、や…っ!」
絶え間ない指攻めに、ぐりぐりと弄ぶように前立腺を刺激されれば、波のように襲いかかってくる快感に目の前がチカチカして、熱を持った性器から先走りが溢れる。
やばい、やばい、やばいって、これ、ほんと。
恥ずかしくて、情けなくて、ローションと先走りでどろどろに濡れただらしなく勃起した自分の性器を隠すように触れた瞬間、糸が切れたように先端からびゅるっと精子が跳び出す。
指の隙間を掻い潜って飛び散ったそれは紀平さんの顔を汚し、そのことの重大さに気付いた俺はさぁっと青褪めた。
「ごっ、ご、ごめんなさ…っ」
慌てて、拭こうと手を伸ばしたときだった。
薄く開いた唇から赤い舌が伸び、口元を汚す白濁を舐め取る。
「…狡いなぁ、かなたんは」
そして、三日月型に唇を歪めた紀平さんは怪しく微笑んだ。
いつもの爽やかさの欠片もないその笑顔に、全身が凍り付く。
「上手くなったね、俺の扱い方」
ぬちゅ、と音を立て体内に入り込んでいた数本の指がずるりと引き抜かれる。
拍子に、指の腹で中を擦られ、思わず「ぁ、」と息を漏らした時。
目の前に迫る紀平さんと目があった。
「舌、出して」
吐息混じりに囁かれ、何も考えたくなかった俺はただ言われるがまま口を開き、恐る恐る舌を突き出した。
「…ん、ぅ」
出しました、と紀平さんを見上げる。
しかし、紀平さんはなにをするわけでもなくにやにやとこちらを見下ろすばかりで。
開きっぱなしになった口から唾液がだらだらと溢れ、拭うこともできずにそれは顎先へと落ちていく。
きっと、紀平さんから見た俺の顔は酷いことになっているに違いない。
それを考えたら顔が熱くなって、なんだかもう泣きたくなった。
「き、ひらしゃ…」
「ごめんね。かなたんがあんまり素直で可愛いもんだから、つい」
つい、なんなんだ。
舌を出したまま、それを引っ込めることも出来ずにいる俺にそう笑う紀平さんはそのまま噛み付くように唇を重ねてくる。
びく、と後ずさった時には遅く、舌もろとも紀平さんに咥えられた。
「っふ、んん、ぅん…っ」
逃げようとする舌を捕まえられ、噛まれ吸われ、絡められ、口内に響く濡れた音と奇妙な感覚にぞくぞくと全身が震えた。
なんとか引っ込めることに成功したと思えば、すぐこちらの口内へ滑り込んでくる紀平さんの舌に根本から愛撫され、舌についたピアスがひどく冷たくて、舌を掠める度に脊髄が蕩けてしまいそうなそんな甘い感触を覚える。
全身から力が抜けそうになって、紀平さんに抱き抱えられた。
ようやく舌が引き抜かれたと思えば、開きっぱなしで舌を弄ばれてるせいか先程よりも多く溢れる唾液を舐め取られ、情けなさ諸々でますます顔が熱くなった。
「っぁ、も…俺…っ」
「なぁに?」
「我慢…できません…っ」
「我慢って何?」
「〜〜〜っ、きひらさん…っ、い、いじめないで下さいぃ…っ!」
涼しい顔してしらばっくれる紀平さんに、いつもの俺なら憤死確実だと分かっていたがまた勃起してしまった今頭は気持ち良くなることでいっぱいになっていて。
散々指で掻き混ぜられ、慣らされた尻からローションが滴るのを感じ、更に鼓動は早くなる。
焦れったくて、腿を擦り合わせながら紀平さんの腿に手を置いたとき。そのまま手首を掴まれた。引き剥がされ、びくっと震えながら紀平さんを見上げれば、こちらを見下ろす紀平さんと目が合う。
「やだな、誰に仕込まれたわけ。俺、かなたんをこんなはしたない子に育てた覚えないんだけど」
淫乱、と紀平さんの口元は笑う。
その一言に自分の取ろうとしていた行動を思い出し、どくんと心臓が跳ね上がった。
「ちがっ、おれ、紀平さんだから…っ」
「またそーやって煽ってさぁ。ずるいよね、なんか。かなたんばっかり」
蕩けかけた脳みそでは紀平さんの言葉の意味を理解できなくて、どういう意味かと疑問符を浮かべた時、紀平さんにぐっと腰を抱き寄せられる。
紀平さんの腰に跨るような体勢にぎょっとしたときだった。
すぐ背後からジッパーを下ろす音が聞こえて、尻の割れ目に硬い感触が当たる。
後ろを振り返らなくても、それが何かはすぐに分かった。
バクバクと脈が加速し、思わずごくりと固唾を呑む。
「…っぅ、あ」
「どうしたの?挿れて欲しかったんだろ、これ」
濡れた肛門に先端を宛てがわれれば、くちゅ、と濡れた音が立つ。
硬く、熱を持ったそれに全身の血液が沸騰するみたいに熱くなって、自然と息が乱れ始めた。
焦らすように、入りそうで入らないよう窄みを撫でるそれに俺は恐る恐る頷く。
「あっ、あのっ、きひらさ、ゆ…ゆっくり…」
恥ずかしくてたまらなかったが、今はただなにも考えないくらい気持ちよくなりたかった。
上目に紀平さんに縋れば、紀平さんはおかしそうに笑う。
「そうだね、…善処するよ」
そして、俺は紀平さんの『善処』が全く当てにならないことを知る。
腰に回された大きな手。指で慣らされ、既に受け容れる準備が出来ているそこは少しでも体重を掛けただけで安易に宛てがわれた性器を呑み込むことはできる状態だった。
それをわかっててだろう。紀平さんは俺の腰を掴むと、そのまま自分の下腹部に跨がせるように腰に落とさせてくる。
瞬間、ずぷっと根本まで一気に体内に異物が入り込んだ。
「ぁあっ!」
視界が白く点灯し、ローション濡れの内壁を擦り上げられ全身の筋肉が凝縮する。
慣らされたそこは痛みすらないが、流石に指と比べ物にならないほどの質量、衝撃に
素面でいられるほど鍛えられていない俺は腹の中の抉るような圧迫感に口をパクパクと開閉させた。
次の瞬間、僅かに腰が浮いたと思いきや勢いよく下から突き上げられ、開いた口から自分のものとは思えないような甘い悲鳴が漏れる。
強引に中を擦られればひゅっと喉が鳴り、体の芯が蕩けそうなほどの快感に背筋がぞくぞくと震えた。
「っは、ぁ、や、きひらさ、うそ、待って、」
「ごめんねー、手がさぁ、ほら、滑っちゃって」
笑いながら、逃げようとする俺の腰を掴まえ、更に腰を深く落とされ、奥をぐりぐりと先端で刺激されれば、逃げることのできない快感に頭が真っ白になる。回された手が、優しく腰を撫でた。
「っ、…奥までズッポリ入っちゃった」
耳元で囁かれる甘い声にぴりぴりと鼓膜が痺れ、自分でもわけがわからないくらいなにも考えられなくなる。
わざとしたくせに、優しくしてって言ったのに。
言いたい文句は沢山あったのに、乱暴に突き上げられれば開いた口からは肺に溜まった空気が喘ぎ声になって溢れた。
「っう、ふ…っく、ぁ…っ!」
やばい、やばい、どうしよう、怖い、怖いのに。
再度視界が潤み始め、泣き顔を見られたくなくて俯いた俺はそのまま紀平さんの背中にしがみつけば、優しく背中を抱き締められる。
密着する上半身。流れ込んでくる紀平さんの体温に安心しかけた矢先だった。
腰を掴まれ挿入された状態のまま、ソファーの背もたれに押し倒される。
大きく動く視界。覆い被さってくる紀平さんに見下され、息が止まりそうになった。
「ひ、ぁっ、あっ、も、やっ」
「嫌?」
「…や、じゃないですけど…っ、ぅそ、ちょ、ぁ、っだめ、息が、死ぬっ、も、ゆっくり…っ!」
対面座位に比べて受け入れやすい体勢になったお陰か、激しさを増すピストンに耐えられず、ぎゅうっと紀平さんの腕を掴み懇願すれば、はぁ、と色っぽく息を吐きだした紀平さんは困ったように笑う。
腰を打ち付けられる度に体内に流し込まれたローションが飛び散り、下腹部を汚した。
それ以上に、更に奥へと流れ込んでくるローションに腰が疼いて、出し抜きの度に擦り上げられ、射精したばかりで萎えかけていた性器は再び持ち上がり始める。
既に精液でどろどろに汚れている性器を握り込んだ紀平さんは自らの唇を舐めた。
「あー…っと、なんだっけ?ゆっくり?ごめん、ちょっと無理かな…うん、取り敢えず中で出させて」
いつもと変わらない、だけどどこか切羽詰まったような声だった。
バカになっていた俺の頭ほ一瞬その言葉の意味を理解できず、「えっ?」と疑問符を頭上に浮かべる。
その矢先だった。
逃げることもできず、震えていた腰を抱き寄せられ、根本まで深く挿入された時、体内に埋め込まれた性器がびくっと痙攣し、次の瞬間、大量の熱が腹を満たしていく。
「は、ぁあっ、や、だ、んぁあ…っ!」
無意識の内に紀平さんの腰に回していた両足は爪先までぴんと伸び、注がれる精液が体内でローションと混ざり合い、その感触に目の前が真っ白になった。
続けざまに勃起した性器から精液が飛び出した。
はぁはぁと犬みたいに舌を出して喘ぐ俺。
腹ん中、射精したばかりの紀平さんのが再度大きくなり始めているのを感じ、泣きそうになる。
何度やっても慣れない。それは、今に始まったことではない。
指先一本動かすことすら億劫になるほとの脱力感。
散々紀平さんに嵌められ、無理矢理ぐっぽりと拡張されたケツの穴から溢れるどろどろとした液体。
満たされたのは、腹の中だけだろうか。
一旦中に挿入っていた性器が引き抜かれ、開いたそこからどぷりと大量の白濁が溢れ出す。その熱に、じんわりと視界が滲む。
「っふ、ぅ…っ」
「…泣かないでよ。ごめんね、ちょっと乱暴し過ぎた。反省します」
ごめん、ともう一回頭下げる紀平さん。
一回射精して落ち着いたのか、先程よりもいくらか柔らかくなった雰囲気に、ほっと全身の緊張が取れる。
「きひらさ…」
「そうだよね、俺ばっかり良かったらダメだよね」
よかった、機嫌が治ったみたいだ。
そう、安堵しかけた矢先のことだった。
「へ?」
伸びてきた手に肩を掴まれ、そのまま抱き寄せられる。
そして、抱擁するように首筋に顔を埋めてくる紀平さん。
ふわりと香水の甘い匂いがして、胸が高鳴る。
「ちょっ、あ、あの…」
いきなり優しく抱き締められ、俺下丸出しだし汚れてるしこんなに近付いたら紀平さんの服まで汚してしまうってかなんか下半身に当たるんですけど!と一人どうしたら良いのかわからずがっちがちに緊張していたとき、首筋に生暖かい吐息がかかり、ぞくっと全身が震えた。
やばい、心臓が、心臓の音が漏れる。
静まれ静まれと念仏を唱えながら「き、きひらさん」とやんわりと体を引き離そうとしたとき。
ぬるりとしたなにかが首筋に触れる。舌だ。血管をなぞるように這わされる熱く濡れたそれにびくっと目を見開く。
「な、なに、やって」
ふるふると震える全身。身動ぎ、慌てて紀平さんの胸を押し返そうとしたとき、もう片方の空いた手がシャツの上から胸を撫でてくる。
薄い生地の上からピンポイントで乳首をぎゅっと抓られれば、堪らず「んっ」と声を漏らしそうになった。
そして、俺はそこで気付いた。
まさか、まだ開放してくれないのか、と。
「ぁ、や、そこは…っ」
「んー?なに?かなたん好きだよね、乳首弄られんの」
加えられる刺激によって固く凝ったそこをくにくにと押されれば、じぐじぐと胸の奥が熱くなって、自然と腰が揺れる。
好きなわけがない。
そう言いたいのに、股がもぞもぞして、声を噛み殺すのが精一杯で。
唇を噛んで首を横に振り、何とか否定する俺に、くすくすと笑う紀平さんは乳首をぐっと押し潰し、そして思いっきり摘み上げた。
「っ、ひ、ぁあっ!」
頭から爪先にかけて走る甘い刺激に目の前が真っ白になって、悲鳴に似た声が漏れた。
咄嗟に目の前の紀平さんをぎゅうって抱きしめれば、少しだけ微笑んで紀平さんは俺の下腹部に手を伸ばし、そして服の裾から覗く勃起したそれに触れる。
真っ赤に充血したそこは先端から溢れる先走りでどろどろに汚れ、少し紀平さんが触っただけでもぐちゃりと淫猥な音を響かせた。
「ほら、ぎゅーってしただけでこんなに濡れてんじゃん」
「っぁ、うそ、ちが…っ俺、おれ…っそんな…ぁ…っ!」
「嘘じゃないって。ほら、自分の目で見てみなよ。すっごい勃ってる」
ここなんてお漏らしみたいでさ。
そう笑う紀平さんに全身の血液が顔に集まるのがわかった。
「や、やだ、紀平さん」
くちゅくちゅとわざと音が出るように触ってくる紀平さんの意図が分かり、それでも止めさせることが出来ないもんだからなんだかもう頭がおかしくなりそうだった。
絡み付いてくる長い指に濡れた音を聞かされ、腰がピクピクと痙攣する。
力を振り絞っていやいやと首を横に振りながら紀平さんの腕を縋るように止めれば、俺の思いが通じたのか紀平さんは性器から指を離した。そして、俺の顔を覗き込む。
「かなたんはさぁ、舌と指、どっちが好き?」
なにを聞いてくるんだ、この人は。
べ、と舌を出し、俺の精液で濡れた指先で自分の舌を摘む紀平さんに顔を赤くした俺は狼狽えながらも首を横に振った。
「どっちもや、です…っ」
「そっかぁ、そりゃ残念」
そういう紀平さんはさして残念でもなさそうで。その代わり、パンツのポケットからじゃらりとなにかを取り出した。
「なら、かなたんはこっち派かなぁ」
そう言って、手のひらに乗せたそのなにかを見せてくる紀平さんに思わず「ひっ」と息を呑んだ。
鮮やかな色の手のひらサイズの楕円形のリモコン付き玩具には見覚えがあった。ローター。そんな名前が脳裏を過ぎった。
「そ、それ…」
「かなたんが我儘さんだからさぁ、ははっ、どーせ使う日が来るかなぁって持ち歩いてたんだけど正解だったかな」
「も、持ち歩いてたんですか!」
「え?寧ろかなたん持ち歩かないの?」
なんだその反論は!持ち歩かねーよ!可愛く小首傾げんな!などと言いたいことはいろいろあったが、このタイミングでそれを取り出した紀平さんに嫌な予感がして、青ざめた俺はぱくぱくと口を開閉させる。
そんな俺を他所に、ローターに軽く口付けをする紀平さんは笑った。
「あ、かなたんには必要ないか。俺が持っとけば」
どういう意味ですか、それは。そう、問いかけようとしたが、言葉にならなかった。そして、その言葉の意味はすぐに理解する。嫌でも、理解させられた。
どうみても小さいし、威力だって大した事無さそうだし、どうせAVとかで感じるあれも演技かなんかだろう。
それが今まで俺がローターに対して思っていたことだった。
だから、たかが玩具だし別にそんなにでかくないし大丈夫だろう。そう、自分に言い聞かせていた俺はすぐにそのイメージを撤回させられるハメになる。
「や、ぁ、ちょっ、だめ、止めてくださ、ぁあ…っ!」
最後は最早声にならなかった。
逃げようとする肩を掴まれ、布越しに突起をなぞるように振動するそれを押し付けられれば、逃げられない振動にぞくぞくと体が震えた。
全身の血液が胸に集まり、更に硬さを増すそこに加えられる断続的な刺激に腰が揺れ、耐えれず縋るように紀平さんの服にしがみつく。
「やだ、これ、紀平さん、外して…っ」
喋れば喋ろうとする度に唾液が溢れそうになり、だけど次ぎから次へと襲いかかってくる快感に指先から力が抜けてしまい、それを拭うことすらままならない。
そんな俺を見下ろす紀平さんはクスリと笑い、僅かにローターを浮かせる。
「んー?やだ」
先程よりも軽くなる刺激に内心安堵した矢先だった。
再度乳輪付近にローターを押し付けられたと思えば、そのまま突起の周囲をなぞるようにぐるりと円を描くように押し当てられ、ビクッと肩が跳ねる。
「ぁ、や、きひらさ、んんぅ……っ」
「ごめんね、俺、結構根に持つタイプだから」
「俺の舌も指も嫌いなかなたんは玩具で遊んでなよ」と、冷ややかに笑う紀平さんは腹部を撫でるように服の裾を捲り上げる。
皮膚を滑り、胸元までやってきた手はもう片方の突起に触れ、硬く凝ったそこを指先でなぞるように弄ぶ。
左右に加えられる別々の刺激に神経が掻き乱され、おかしくなりそうだった。
「ごめんなさい、ごめんなさい…っ」
体を捩らせ、そう、泣きじゃくりながら謝れば、ふ、と柔らかく微笑んだ紀平さんは震える俺の額に優しくキスをする。
そして、
「やーだ、ってば」
にこっと口元の笑みを深くした紀平さんの楽しそうな声を合図に、右胸に押し当てられたローターの振動が大きくなり、一瞬、息が止まった。
まるで、自分の体ではないみたいだった。
「は、ぁっ」
疼き、快感に震える胸を覆うように庇うが、無理矢理腕を外され強引に硬く凝り始めたそこにローターを押し当てられる。
先程よりも強さが増したそれは最早凶器に等しい。
目の前が真っ白になって、散々無機物で嬲られぷっくりと腫れた乳首がむず痒くて掻き毟りたくなったが、ローターが邪魔して儘ならない。
「ぁ、や、ひっ、だめ、やだ、これやだ、乳首、乳首おかしくなっちゃ、ぁ、やあぁ…っ!」
声帯が震え、呂律が回らない。
そんな俺に薄く笑った紀平さんは開きっぱなしになった唇からだらしなく垂れる唾液を舐め取られる。
舌に埋め込まれた金属の球体が唇を掠り、ひんやりとしたその感触に全身が緊張した。
「すごい涎。そんなに良いの?これ。今度も一つ買っとこうかな。……ここと、こっちと、そんでここにも。あと2つあったら丁度いいかなぁ」
右胸、左胸、そして濡れた性器。
それぞれの先端を指先でぴんと跳ねられ、あっという間に反り返った性器が震える。
声を出すのも辛くて、はぁはぁと犬のように舌を垂らして喘いでいると不意にするりと背後に伸びた紀平さんの大きな手が丸出しになっている尻に触れ、その谷間の奥、皮膚を滑る指先に肛門をなぞられ、思わずビクッと跳ね上がった。
そして、
「ああ、こっちもか」
そう笑いながらぐっと腰を抱き寄せられ、耳元で囁かれれば頭に血が上り顔が熱くなった。ひくり、と下腹部に力が入る。
「馬鹿みたいに涎垂らして玩具相手にマジイキするかなたん想像したら堪んないよね」
両胸の乳首、性器のてっぺん、お尻の穴。
全身の性感帯という性感帯全てにローターを押し付けられた状態のまま固定され、放置された時のことを想像してしまう。
片胸だけでも限界なのに、四方から襲いかかってくる快感は想像つかない。腰がブルリと震え、思わず固唾を呑んだ。
「あ、今想像したでしょ」
えっち、と紀平さんは笑う。その言葉に、かっと顔が熱くなった。
そして、じわりと視界が滲む。
「は、ぁ、っ外して」
精神的、肉体的な羞恥に耐え切れず、ぽろぽろと涙が溢れる。
わけがわからなくて、頭の中がぐちゃぐちゃになって、張り裂けそうなくらい膨張した性器が苦しくて、いやだいやだと首を横に振れば、紀平さんは笑みを引っ込めた。
そして、俺の胸からローターを退く。
ほっと安堵した矢先のことだった。
「しつこいよ」
シャツを強引にたくし上げられ、胸を露出させられる。
繊維が伸びる、とかそんな心配する余裕なくて、あっと青ざめた時。
逃げ腰になっていた背中を抱き寄せられ、そのまま赤く、つんと腫れ上がった突起に振動する楕円の玩具を押し付けられる。
散々嬲られ、全身の神経が集中していたそこは嫌でも敏感になってしまっていて。
「ぁああっ!!」
瞬間、脳天から突き刺すような快感が爪先まで全身を一気に通り抜ける。
白ばむ視界。何も考えることができなくて、ただ、俺は自分の勃起した性器から勢い良く飛び出した精子が紀平さんの服を汚すのを目で追った。
「ははっ、すっごいなぁ。かなたん乳首でイクようになったんだ。はしたないなぁ、かなたんは」
止まらない腰の痙攣。
思い通りにならない自分の体が歯がゆくて、情けなくて、嘲笑する紀平さんの言葉に涙が止まらなくて。
「ぅ、うぅ…」
「ほら、泣かないの。ぞくぞくすんじゃん」
「なんで、そんな、っ意地悪ばかり…っ俺、なんも…っ」
「んー、だってほら。そうやって、かなたんがそんな可愛い反応するから」
虐めたくなっちゃう、と語尾にハートがつくような相変わらず軽い調子で笑う紀平さん。
ちゅっと、鼻の頭にキスをされ、至近距離で目があった。
「い、虐めないでくださいぃ…っ」
本当、なんなんだもう、なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
紀平さんは嫌いじゃない。ないけど、あまりの横暴さに段々怖くなってきた。
ひぐ、としゃくりあげて泣いたとき、不意に顎を掴まれる。
「ふ、ん、ぅむ」
ぬるりとした指先。それが俺の精子だと気付いた時、唇を銜えられていて。
ほら、また、流されそうになる。
腰が震え、触れ合った箇所から流れ込んでくる紀平さんの熱に頭がぼおっとする。
今度は、すぐに唇が離れた。
「…あー、もう、ほんと堪んない。可愛すぎ。もーやだ、かなたん嫌い。俺のこと殺す気でしょ、絶対」
「なに、言って」
意味がわからない。
取り敢えず、褒められているとわかってこんな状況でも照れてしまう。
すると背後にするりと伸びた手は、背筋を降下し、円を描くように腰を撫でられた。
焦らすような、やらしい手つき。散々嬲られた俺の体の神経は嫌になるくらい敏感になっていて、ただ触られただけで射精したばかりの性器が持ち上がり出す。今だけはこの愚息が憎たらしくて堪らない。
「ぁ、やっ、も…っだめですってば」
「悪いけど俺も、駄目なんだよねぇ」
と、軽薄に笑う紀平さんはそのまま尻の割れ目に指を這わせる。
そのまま左右に割り開かれ、閉じていた肛門を無理矢理開かされた矢先だった。
ローターを持っていた紀平さんの手が俺の背後に回される。
まさか、と青ざめた俺が慌てて振り返ろうとしたときだった。
肛門に、無機質なそれを押し当てられる。
「ぁ…、あ……っあぁ……っ!」
まさか、おい、ちょっと待て。
喉が詰まり、うまく言葉が発せない。
電源は切られているようだが、入れる気満々なのは目に見えている。
ちょっと、待ってください。そう、言おうとしたときだった。
ぐっ、とカプセル型のそれを強く押し込まれ、ずぷりと体内に異物が入り込んでくる。
手のひらサイズとはいえ、ケツの穴に入れるにしてはいささか大きいのではないのか?と思わずにいられないその無機物の侵入に全身の筋肉は緊張し、それどころか肉を抉るようにずぶずぶと容赦なく奥へとねじ込まれるそれに息が止まった。
そして、体内奥にそれを残したまま指を引き抜きちゃっかり舐める紀平さんに、なんだかもう違和感と恐怖でがくがくと体が震え始める。
「ぁっ、やだ、抜いて、紀平さんっ、紀平さんっ!」
リモコンを手に取り、早速スイッチを入れようとする紀平さんに泣きつけば、こちらに目を向けた紀平さんは「んー?仕方ないなぁ」と笑う。そして、ぽんっと俺の頭を撫でた。
「じゃあ、これが終わったら抜いてあげる」
そうじゃない!というか俺が言わなかったら抜かないつもりだったのか!
なんだかもうこの人相手に常識云々を求めていた俺が馬鹿だった。
しかし、だからといってこのままではまずい。
なにがまずいのかもはや分からなくなった俺だが、とにかくまずいのだ。
自分のケツから尻尾みたいに生えたコードになんだかもう生きた心地がしなくて、泣きそうになりながらもコード引っ張ってケツの中のそれを引き抜こうとした時、徐に紀平さんは自分のベルトに手をかける。
「え、ちょ、待って、なにして」
「ん?だって、ほら、こうしないと挿入れれないし?」
口から魂が出かけた。
それはまずい。だって、卵くらいのが入ってるってだけでも苦しいのに、そんな。そんな無茶苦茶な。
やめてください、やめてくださいと泣きそうになりながら脚をバタつかせるが、両足を閉じれられないよう無理矢理M字に開脚させられ、潰れたカエルみたいな自分の格好になんかもう死にたくなる。
慌てて脚を閉じようともがいた矢先、ケツに違和感。
どうやら、一歩遅かったらしい。
恐る恐る視線を自分の下腹部に向ければ、自分の肛門に宛てがわれる勃起した性器が視界に入り、顔が熱くなった。
そして、次の瞬間。
わなわなと震える俺を笑った紀平さんは、そのまま逃げようとする俺の腰を掴み、既にローターを飲み込んだそこに自らの性器をねじ込む。
「ひ――っ!」
みちみちみち、と緊張で閉じていたそこに割って入り込んでくる肉厚に息が詰まった。
痛み、というよりも息苦しさ。
苦しくて、怖くて、痛くて、ぎゅうっと目を瞑った俺は押し潰されないよう必死に紀平さんにしがみつく。
嬉しそうに目を細めた紀平さんは息を吐くように笑い、そのままズッズッと腰を進めてくる。
先ほどの残った精液がいったお陰か、挿入は次第にスムーズになるが、それが俺にとってはいいのか悪いのか最早わからない。
奥に入れられたローターの紀平さんのが腹ん中でぶつかった時、その衝撃に全身が跳ね上がる。
「やっぱ、きついなぁ。これ入り」
ぼやく紀平さんは乾いた唇を舐める。
そんなの、入れる前に気付けよ。と突っ込みたかったが、最早言葉にならない。
反省して抜くかと思いきや、それどころか紀平さんはリモコンを握り直す。
もしや、まさか、嘘だろう。
俺が慌ててリモコンを取り上げようとした瞬間だった。
カチリ、と小さな音がすると同時に、体内奥深くに挿入されたそれは勢い良くうねるように振動し始めた。
激しく内壁を擦り上げられ、堪らず、腰が痙攣する。
「っあ゙、うそ、やっ、待っ、抜いて、抜いて下さいっ!」
下半身が別の生き物みたいにうねる。
慣れない感覚が怖くて、悲鳴を上げれば紀平さんは振動を更に大きくした。
あまりの圧迫感に目を見開き、「ぁあっ!」と声をあげれば、紀平さんはリモコンから手を離し、そして、跳ねる俺の腰を掴む。そして、そのまま腰を進める紀平さんにぐりっとローターを押し込まれ、頭が真っ白になった。
「あらら、ごめんねー。抜いてあげたいところなんだけどさ、奥まで行っちゃって無理そうなんだよね、っこれ」
お前が突っ込むからだろ!としか言い用がないのなだが、構わず腰を動かし内壁全体を無機物と性器で刺激されればもうなにがなんだかわからなくなって、ただ逃げるようにもがくことが精一杯で。
ごりごりと腹ん中でぶつかるそれに続々と背筋が震え、腰が跳ねる。
僅かに頬を蒸気させ、息を吐きだす紀平さんは楽しそうで。
わざとローターを捩じ込むように奥を突き上げられれば突き上げられるほど、普段触られることがないところまでやってくるローターが怖い反面、手が届かないところに届くということが快感で、頭がおかしくなりそうだった。
「ぁっ、やだ、紀平さん、お腹が、お腹がぁ…っ!」
「あはっ、これ、ゴリゴリしてきもちーね。…っ、結構、ハマりそう」
「はっ、ぁ、…らさん、きひらさん…っも、助けて…っ助けてください…っ」
夢中になって腰を振る紀平さんに、飛びそうになりながらも必死に意識を取り留める俺は振り落とされないように紀平さんの背中に腕を回し、腰をぐっと寄せた。
先程まで笑みを浮かべていた目の前の紀平さんの顔が歪む。
そして、体内に埋め込まれ、乱暴に出し入れされるそれが大きくなったのが分かり、
ぎょっとした。
紀平さんは悔しそうな顔をする。
「…っだからさ、なんでそういう真似するかな。そんな顔されちゃ、優しくできないって言ってんだろ…っ」
逃げないようにしっかりと腰を掴まえられ、激しく腰を打ち付けられる。
吐き捨てるような声が蕩けかけた脳味噌に染み渡り、ただただ余裕がなくなったような紀平さんの態度が愛しく思える反面、受け止め切れず、全身が悲鳴を上げた。
それでも、その苦しさや重圧が心地よくさえ思えてしまう。
末期なんて、とっくに通り過ぎてるのかもしれない。
「ぁっ、はぁっ、あっ、きひらさっ、やっ、も、ゆっくり…ぃ
っ!」
軋むソファー。
ここがどこだってことは頭になくて、ただ、目の前の人に懇願する。
動けば動くほど腹の中で暴れる球体に内壁を大きく抉られ、腰が動く。
眉を顰める紀平さんは俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、ただ、掴まれた両腿に紀平さんの指が深く食い込んだ。
「あっ、や、怖いです、紀平さんっ、やだ、ぁ、紀平さんっ、きひらさ…んんっ」
言い終わるより先に、唇を塞がれる。啄むように唇を抉じ開けられ、黙らせるような強引な動作で挿し込まれた舌に俺は吸い付いた。
混ざり合う唾液。息苦しさを紛らすように、夢中になって俺は紀平さんの背中にしがみつき、キスに堪える。その間もピストンは止まらなくて。
「っん、ぅむ、ふ…っんぅ…っ!」
唇と下腹部、上下から流れ込んでくる紀平さんの体温を直接感じ、まるで夢を見ているようだった。
酸欠、体力消耗による疲労、過度の刺激による意識の朦朧。
実際、夢のないようなものでも構わない。
今はただ、何も考えることが出来ないようにこの快感に流されてしまいたかった。
息が苦しくなって、頭がクラクラする。
ぼんやりしながら紀平さんを見つめていると、不意に視線が絡み合い、そして、唇が離れた。
糸を引く唇が濡れていやらしい。
「きひ、らさ…っ」
「…ん?」
「んっ、もっと、もっと、きす、して…くださ……ぁあっ、ぁ、んん!」
「っは、も、かなたん…まじで…っ」
「そんなの、反則だからっ!」と声を荒げる紀平さんの顔は心なしか赤くなっていて。
それが酸欠によるものか、それともただ単に運動のためなのかわからなかった。
体内を出入りする性器が大きくなり、それどころか、ピストンは激しさを増す。
これは、まさか。
「やっ、激し、ぁ、だめ、きひらさ、中はダメですっ」
ローターが防水かどうかわからなかったが、流石に直接精液ぶっかけたらあれじゃないのか。危ないんじゃないのか。
このまま中で出す気満々の紀平さんを慌てて止めようとするが、紀平さんはというと舌打ちをして俺を睨む。
え、ちょ、怖いです。
「なぁ、そんなセリフどこで覚えてきたんだよ。っ、まじでやめてくんないかな」
怯んで、身を竦める俺はその言葉にびくりと緊張する。
逃げ腰をぐっと抱き寄せられ、再奥、ローターが震えるそこで性器は動きを止めた。
そして、紀平さんは笑う。
「っ、本気で、孕ませたくなっちゃうじゃん…っ」
「っ、ぁああっ!」
次の瞬間、破裂したかのような勢いで奥へと流れ込む熱に堪らず俺は絶叫した。
どくどくと止まらない精液に、腰がピクピクと震える。
体内でローターがぐちゅぐちゅと精液を掻き混ぜ、淫猥な音が腹の中で響いた。
息を求めるように口を開閉させる俺に、肩で息をする紀平さんはそのままそっと俺の額に唇を寄せた。
先程までの激しさはなかったものの、紀平さんの唇が触れたそこはどこよりも熱く、甘く疼いた。
***
「これだから、やなんだよねぇ。男相手に本気になっちゃうの」
「面倒くさいなぁ」
「でもさ、だってさぁ、可愛すぎるんだもん。ねぇ?…かなたん」
「部屋に閉じ込めて飼えたらいいのになぁ」
「あは、冗談だってば。冗談
…うん、冗談だよ」