「待って、ダメだってば、ダメだよっ!そんなの……っ!」

「……なんで?」

「だっ、だって、ここ、教室だし……」

「教室じゃなかったらいいのかよ、このド腐れビッチ野郎が!」


確かに、確かに今のは俺の言い方が悪かったけど!けれども!そんな言い方はないんじゃないのか。
なんて、反論する暇もなく、俺の細やかな抵抗を容易く振り払って櫻田は人のケツに捩じ込んでくる。


「ぁっ、んんっ!」


ぐっと押し込まれれば、乾いたそこを無理矢理裂くようにして先端が入ってきた。
目が覚めるような鋭い痛みにずくんと腰が疼き、全身が跳ね上がる。


「っ、ふ、ぅ……やっ、痛……っダメだってばぁ……っ!」

「うるせーな、今更嫌がってもおっせえんだよ!このノロマっ!」

「ひっ、酷いっ!」


元から櫻田相手に優しさなんて求めていないが、それでも、人のケツに突っ込んでるわけだから優しくしてくれてもいいのではないのだろうか。
とは、思うが、やつもやつで中々入らなくて苛ついてるらしい。
舌打ちして、俺の腰をぐっと寄せた櫻田はそのまま体重をかけるようにして腰を進めてくる。
うわ、うわうわ、なんか、どっか切れるような音が聞こえてきた。
つか、冗談抜きに死ぬ。
痛みのあまりに締め付けすぎたがどうやらそれがよかったのか、体内を進んでいくその先端から先走りが滲み出し、幾分滑りが良くなる。
良くなるが、それが結果的に俺にとっていいのかどうかかと聞かれればまた別の話ではあるが。


「っはっ、ぁ、や……っぁあっ、うそ、抜いてっ、さくらだく……っんんっ!」


乾いた内壁にぬるぬると先走りが擦り付けられる感触はなかなか気持ち悪くて、ある意味くせになりそうだった。
体内を這いずるぬめりを帯びた熱い肉に次第に脈は乱れ始め、やつの腰に合わせるようにして自分の腰が揺れている事に気づいたときは絶望せずにいられなかった。


「っはあ?まじで抜いていいわけ?」


そんな俺を知ってか知らずか、意地の悪い笑みを浮かべた櫻田は問い掛けてくる。


「なぁ、まじで抜いていいのかよ。おい」

「やっ……やっぱ、だめ……」

「本当、どうしようもねーやつだなあんたは!」


呆れたような、楽しむような、苛ついたような、そんな複数の感情が混ざりあったような声だった。
興奮気味の櫻田は腹から笑い、そして、僅かに腰を掴むその手に汗が滲んだかと思えば、そのまま乱暴に根本まで腰を打ち付けられる。


「っ、ぁっ、ちょ、待っさくらだくんっ!」


さっきまでは強引ながらもある程度手加減してくれていると思っていたが、どうやら俺は気づかぬ内にやつの地雷に触れてしまったようだ。
こちらを見下ろす目は冷めきっており、目があうなり櫻田は嘲笑を浮かべる。
そして、再度乱暴に腰を動かし始めた。
血か先走りか、もはや体内でぬめるそれがなんなのか判断付かなかったが、取り出す、やつの性器に傷ついた内壁を擦られればピリピリと痛みが走り、腰が疼く。
泣きたくなるほどの痛み。
それ以上に、そんな力任せな挿入されても萎えない自分に泣きたくなった。


「さいってー。あんたみたいなやつが会長の恋人名乗ってっと思うと吐き気がする!よくそんな面引っ下げて会長の前に出られんなぁ!」

「あっ、ひっ、ぁあっ!ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」

「許さねえっ、ぜってえ許さねえよ!てめえぶっ殺しても気が収まんねえ!どうしてくれんだよ、このイライラ!あぁ?!」

「ぅ、ひぐっ、ごめんさ、ぁっ」

「二度と会長に近寄んじゃねえ!金輪際!一生っ!破ったら、てめえを嬲り殺しにしてやるっ!」


浴びせられる罵詈雑言。
強引なピストンに堪えられずガクガクと痙攣を起こす腰はもう自分のものではないみたいで。
次々とやってくる痛みと快感が入り混じりぐちゃぐちゃになった刺激に脳は激しく揺さぶられ、奥を突かれる度に頭は白ばみ思考が飛ぶ。
最早、なにがなんだかわからなかった。
どうせ、ろくなことを言われていないのだろうが。


「ぁ、わかりましたっ、近付きませんっ!近付きませんからぁっ!お願いっ、痛くしないで………っ!」


声を張り上げすぎたお陰で喉は掠れ、目尻から涙が溢れた。
そう、痛いのは嫌だ。
ケツに挿入されること自体違和感は拭えないがまだ我慢できる。
だけど、痛いのは嫌だった。


「はっ、なんでてめぇなんかに優しくしなきゃいけねえんだよ!突っ込んでもらってるだけでもありがたく思えよ!なあっ!」


腰を打ち付けられる度にスカートが揺れ、あ、なんかこれって女の子相手にヤラれているみたいだ。とか思ってしまったが、不思議と興奮はしなかった。
それどころか、力任せに腰を打ち込まれ、裂傷のお陰で腫れ上がる内壁に更に性器で擦り上げられれば傷口に塩を塗り込まれた時以上の刺激に視界はちかちかと点滅し、飛びそうになる。


「っひ、ぁっ、はっ、ありがと、ぉ、ございま……っんぅうっ!」


痛みか、快感か。
どちらかさえ判断つかず、根本まで深く出し入れを繰り返す度に擦り上げられ、脳髄を奥から痺れさせるような挿入に泣きながら俺は自分の足を掴み、ただひたすら受け入れる。
あまりの痛みのおかげかマヒしてきた痛覚
は、痛みを痛みと認識することすら拒んだのかもしれない。
痺れ、ふわふわとした感覚は夢を見ているみたいで。


「……っはは!……ほんと、どうしよう
もねえやつだよな……先輩って……っ」


ピストンの度に勃起した性器が揺れ、腹に当たる。
俺の足を担ぎ、肩に乗せた櫻田は引き攣ったような笑みを浮かべ、そして、俺の腰をぐっと抱き寄せた。
先程まで緊張で閉じ切っていたそこは櫻田の性器を飲み込む。
そして、奥へと捩じ込まれたそれは大きく脈を打ち、次の瞬間、腹の中に嫌な熱が広がった。


「っはぁ……んん……っ」


体内に注ぎ込まれる他人の精液の感触にぶるりと腰が震え、自然と背筋が仰け反った。
染み込む櫻田の熱。
満たされていく腹部に、目を細めた俺は乾いた唇を舐める。

射精感に顔を歪める櫻田の顔は、結構、好きかもしれない。

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