「ぁ、だめ、っ櫻田君、だめっ」

「だめだめうるせぇな、ダメなのはお前のちんぽだろうが」


なんて口の悪さだろうか。
耳を塞ぎたくなる罵倒に顔が熱くなると同時に、抉るような直接的な刺激に痛みにも似た鋭い快感が押し寄せてくる。


「くっ、ぅ、んん……っひ、いぁあ……っ!」


声を抑えようとしても歯が浮いてしまい、耐え切れずに気の抜けるような間抜けな声が漏れる。
実際、ぐにぐにと先端を指でいじられる度に全身の力が抜けそうだった。
だけど、やつが根本を掴んでるせいで射精しようとする下半身は力むばかりで。
イクにイケないジレンマに頭がクラクラしてくる。
息が浅くなった。


「も、むり、だってばぁ……っ、おれ、やめ、さくらだく、手っ、てぇ……っ!」


離して、と訴えかけるように首を横に振る。
滲む視界。
目尻からぽろぽろと涙が溢れた。
その感覚すらわからなくなるほど、俺の気分は切羽詰まっていた。
櫻田の腕を掴み、ぐいぐいと離そうとするが櫻田は楽しそうに笑うばかりで。
俺から手を離すわけでもなく、それどころか反応を楽しむかのようにひくつく尿道口に小指を宛てがい、窪みに指先を沈める。
瞬間、電流が走ったみたいに視界が白ばんだ。


「ひぃ……っ!!」

「アヘり過ぎなんだよ、何言ってんのかわかんねえから」


閉じているそこを無理矢理抉じ開けるように入ってくる指先に痛みが走り、目を見開く。
それ以上に溜まっていた先走りがとろとろと溢れ出し、櫻田の指先を濡らした。
やばい、やばい、と思いつつも、股間には熱が集まるばかりで。
みちみちと裂ける尿道口に恐怖を覚えた俺は懇願する。


「いか、イカせて……くだひゃ……っ」

「んー?ふふふっ、どうしよっかなー」


もったいぶるように笑う櫻田は先走りを使い、ぬるぬると指の腹で内壁を擦り上げる。
感じたことのない、敏感な箇所を這いずる感覚に堪らず俺は「ひぃっ」と息を飲んだ。
それは目が覚めるような、危うい快感だった。


「ぁ、やぁっ、だめ!さくらだく、だめ、それ以上いじっちゃ、だめぇ……っ」



じゅぷじゅぷと濡れた音を立て、小指が体内に沈んでいく。
ゆっくりと肉が裂け、拡張していくような感覚にぞくぞくと脳髄が撫でられるような気分になり、恐怖と快感で頭の中がぐちゃぐちゃになってもうなにがなんだかわからくて。
ガクガクと腰が震える。
それを押さえ込むようして、ぐっと櫻田が小指に力を入れた時。
ドクン、と心臓が大きく脈打った。
そして、


「っあぁ!」


脳天から突き抜けるような快感とともに、頭の中でなにかが弾けた。
指で栓をされた尿道からはなにも出ない。
それでも、自分がイッたというのは理解できた。
その快感も束の間。
射精できないせいで全身に汗が滲み、今度は息苦しさが襲いかかってくる。


「ぁ、っや、ぁあ、も、むり、むりぃ……っ!」


これ以上は、本当に壊れてしまう。どこがとは言わないが。

限界まで張り詰め、挙句の果てに小指で栓された性器は鬱血したみたいに真っ赤に充血し、止まらない先走りでどろどろに汚れていた。
まるで自分のではないような、寧ろそうであってほしいくらいの痛いたしさに思わず目を瞑る。
暗い視界の向こうで、櫻田が笑う気配がした。
そして、次の瞬間。


「ぶってんじゃねえよ、むっつり野郎」

「っん、ぐぅ!」


ピンっと勃起したそこを指先で弾かれた拍子に小指が外れ、そして、溜まっていた精液が先端からどろりと溢れ出した。
勢いこそはなかったが、溜まっていた大量の精液が弄くり回され敏感になっていた尿道を通り、外へ出る感触は我を忘れて惚けるほどの心地よさで。


「は……っぁ……っ」


浅い呼吸を整えるように繰り返す。
お陰で、射精の気持ちよさで再び熱が集まり始める下半身。
再度硬くなり始める俺の股間に目を向けた櫻田はその顔に軽蔑の色を浮かべた。


「どんだけだよ、あんた。出したばっかでもうこれかよ、大人しそうな顔して相当だな」

「見な、いで……っ」

「勿体ぶるような価値もないだろうが、どうせヤリまくってんだろ?なぁ」


酔っ払って絡んでくるおっさんよりもお下劣極まりないその櫻田の言葉にじわじわと顔が熱くなる。
じろじろと性器に向けられる不躾な視線になんだかもう泣きたい気分だった。
し寧ろ、見られるだけなら良かったのかもしれない。


「っ、や、ぁ……っ」


そのまま誰のかもわからない机の上に押し倒されそうになったかと思いきや、足首を掴まれ乱暴に開帳させられる。
暗くはない無人の教室で後輩に組み敷かれ、下半身剥き出しの俺。
こんな姿、誰かに見られたりでもしたら舌を噛み切るレベルだ。


「や、櫻田く……って、ちょっ!」


どうにかして止めないと。
慌てて櫻田を見上げたとき、スカートをたくし上げるようにしてもう片方の手で派手な下着から性器を取り出す櫻田に俺は凍り付いた。
いや、わかっていた、櫻田にも俺と同じものがついていることは重々承知していたが、こう、短いスカートの裾を持ち上げるようにして反り返った勃起したそれは普通に見るよりもえぐくて。
乾いた唇を舐め、性器を握るなりそのまま人の肛門にそれを宛てがってくる櫻田に俺は「ひ、ぃっ」となんとも情けない悲鳴を上げる。


「念願の美少女とのセックスだろ?もっと喜べよ」


ガタッと机を揺らし、逃げようとする俺を机へと押さえ付けた櫻田はにやぁっと凶悪な笑みを浮かべた。
取り敢えず、俺が知っている美少女にはそんなものついていない。
そして自分で言うな。

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