「……っは?」


脳が櫻田の言葉を理解するまで時間が掛かった。
しかし、理解したところでなぜそんなことを櫻田が言い出すかわからなくて、ますます混乱する。


「あんた言っただろ、女としてるみたいだって。だから、お礼だよ、お礼」


俺に視線を合わせるようにその場に座り込む櫻田。
その細く長い指先がするりと下腹部に触れ、そのままジッパーを摘む。
反応を楽しむようにゆっくりと下げられれば、情けないことに勃起してあまつさえ先走りで濡れた性器が勢い良く溢れた。

正真正銘同じ男ではあるが、確かにそこらへんの一般男性に比べては顔は女性よりの美形だし、もし、罵詈雑言ばかりを吐き出すあの形のいい唇が自分のものを頬張ったら。
脳裏に生々しい想像が過ぎり、ドクンと心臓が飛び跳ねる。
全身の血が下腹部へと集中し、櫻田の前だというのに素直に反応する自分のわかりやすい下半身が恥ずかしくて堪らない。

冷めた櫻田の視線が自分のそれをじっと見据える。
背筋が凍るようだった。
それでいて、全身は熱くなるばかりで。


「すっげー汁。そんなに期待しちゃったわけ?先輩にそんな趣味があったなんて、僕、軽蔑しちゃうなー」


わざとらしい口調で小馬鹿にする櫻田はピンっと先走りを垂らす先端を指で思いっきり跳ね、瞬間、脳天まで突き抜けるような刺激に一瞬視界が眩んだ。


「ぃ、あ……っ」


ただでさえ中途半端に弄り回されて敏感になっていた下半身にその一発は大きくて、響く余韻に腰がピクピクと震える。
指先についた先走りを舌で拭うように舐めた櫻田は、呆然とする俺を見下ろし、そしていきなり噴き出した。


「っふは!なんだよ、その顔!お前、マジにしてんじゃねえよ!誰がこんなきたねえの舐めるかよ!」


まあ、内心そんなことだろうとは思っていた。
思っていただけに、それでも甘い期待をしてしまった自分が恥ずかしくて、かああっと顔に熱が集まる。
靴を脱ぐ櫻田の笑い声に耐えられず、泣きそうになりながらも慌てて下半身を隠そうとしたときだった。

短いスカートから伸びる白いニーソックスに包まれた長い足が、再度下腹部へ伸びる。
瞬間、薄い布地に包まれた櫻田の足がにゅるりと濡れた性器を捉えた。


「お前なんか、これで十分だろ」


ビックリして、急所を踏まれ動けなくなる俺を見下ろし笑う櫻田はそのままうねうねと足の裏全体を使い、勃起した性器の輪郭を確かめるようになぞる。
ぬちゃぬちゃと音を立て足で弄くり回されれば、その読めない動きと直接踏まれているという恐怖で頭が真っ白になった。
一旦糸を引きながら櫻田の足が離れたかと思えば、そのまま親指と人差し指の間に挟めるようにして性器を擦り上げられ、ぞわぞわと全身が震える。
手とはまた違う、ぎこちない動き。
それでも、顔を上げれば足の動きに合わせてちらちらと揺れるスカートが視界に入り、慌てて目をそらした。
これは、やばい。
なにがって、こんなシチュで興奮している自分の浅ましさが。


「はっ、あ、うそ、やっ、指、指……っ!」

「すっげぇ汁。ぐっちょぐちょじゃねえの。お前、どんだけ興奮してんだよ。これで勃起とか終わってんじゃん」

「っごめ、んっ、なさ……っあ、は、やばいって、櫻田君、だめ、も、俺……っ」


早漏と罵られようが、先程までの性器への刺激でもう限界に近かった俺の下半身は足でぐちゃぐちゃに掻き回され、既に射精寸前だった。
きっと俺の顔は涙と汗で情けないことになってるだろう。
汗を拭う暇もなくて、櫻田の足の指に扱き上げられる度にビクビクと別の生き物みたいに跳ねる腰は既に俺のものではないようで。
あぁ、やばい、イキたい。
そう、下腹部に力を入れた時だった
限界まで膨張し、ガチガチに張り詰めた性器に衝撃が走る。


「ひ、ぃっ」


息が止まるようなその衝撃に思考が飛びかけ、目を見開けばそこには意地の悪い顔をして俺の性器の根本を掴む櫻田がいた。


「っぁ、さくらだ、く」

「だぁれがただでイカせてやるっつったよ」

 
「こんなきたねえもんで俺の体汚されてたまるかっての」言いながらも、ぎゅうっと根本をきつく指で作った輪っかで絞め上げてくる櫻田。
赤く充血し、我慢汁を垂れていた性器がびくんと震える。
息苦しい。
また、イキ損ねてしまい、行き場をなくした射精感に頭がおかしくなりそうだった。
意識が朦朧としてくるのがわかる。


「な……っ、にを、」

「直ぐ出しちゃつまんねーだろ、なぁ先輩」


櫻田は、俺を馬鹿にするときに限って後輩ぶる。
にやにやと笑いながらもう片方の手で反り立った性器を指でなぞる。
そして、先端までやってきたその長い指先は先程でどろどろに汚れた尿道に触れた。
そして、次の瞬間。


「っ、い、ひっ」


細い指が、ぬぷりと尿道に押し当てられる。
目が覚めるような刺激に、息が詰まりそうになった。
それでも、櫻田の指は離れなくて。
抉じ開けるように尿道を穿る櫻田に、俺はやつがなにをしようとしているのか理解し、青褪めた。

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