本当、自分が嫌になる。
簡単な方に流されようとする自分が。
「ほんとに、ほんとに口だけだからね」
目の前、仁王立ちになる櫻田の前にしゃがみ込んだ俺は上目に櫻田を見つめれば、櫻田は鬱陶しそうに舌打ちをした。
「ごちゃごちゃうるせえんだよ、さっさとしゃぶれよ」
言った傍から、短いスカートの裾を持ち上げるそれを唇に押し付けられ、堪らず口を開いてしまえばそのままずぼっと根本まで捩じ込まれる。
咥内いっぱいに広がる肉質と独特の味に息苦しさを覚え、目の前が滲んだ。
「んん゙っ」
確かに、櫻田に乗ってしまった俺も悪いのだけれど、だからといってやはり気持ちいいものでも楽しいものでもない。
だとしたら、俺は相当の馬鹿かマゾヒストか。
口の中で溢れる唾液がやつの性器に絡み付き、ぬるみを帯びたそれは滑るように喉奥にまでやってきて。
逃げ腰になる俺の後頭部を撫で、そのままぐっと下腹部を寄せてくる。
器官まで入って、まるで喉を性器に見立てるようにしてずぶずぶと腰を動かしてくる櫻田。
込み上げてくる吐き気に耐え切れず、嗚咽を繰り返す。
それがよかったようだ。
喉の奥のそれが大きくなる。
「ふっ、ぅ、んむぅ…っ」
このままでは顎が壊れると身を案じた俺は慌てて性器を吐き出す。
目の前、スカートの下から覗く唾液濡れした勃起した性器はなかなかグロテスクで、思わずドキリとした。
しかし、すぐにそれどころではなくなる。
「ちんたらしてんじゃねえよ、下手くそ。ちゃんと喉まで咥えろよ!」
性器を口から零してしまう俺に、苛ついたように櫻田は声を荒げた。
怖い。
喉って、苦しいし痛いし嫌なんだよ。
なんて言ったら殴られるかもしれない。
おずおずと櫻田の細い腰を掴んだ俺は、再び目の前の性器を掴み、そっと唇を寄せた。
「ほ、ほう……?」
小さく口を開き、亀頭の部分をぱくりと咥える俺に櫻田は不服そうに眉を顰め、舌打ちをする。
「……っちげぇよ、ばぁか。だらしねえ顔すんなっての」
どんな顔になっているのか気になったが、なにかを咥えていると鼻の下が伸びてしまい締まりがなくなってしまうのだから仕方がない。
だけど、やっぱり恥ずかしくて慌てて性器から口を離そうとした矢先のことだった。
髪を撫でていた櫻田の手がそのまま頭を鷲掴み、抱き寄せた。
拍子に、緩んだ口元に先程よりも膨張した性器が捩じ込まれ、心の準備諸々が出来ていなかった俺はもろ喉を突き上げられ、一瞬目の前が真っ白になる。
「っ、ふ、ぐぅっ、んんっ」
ドクドクと脈を打つ咥内いっぱいいっぱいのそれは鼓動に合わせるようにして出し入れされ、先走りと唾液でぐちゃぐちゃに混ざり合った咥内から受け止め切れなかった唾液が唇の端から垂れ、顎から落ちる。
苦しい、苦しいけど、なんか、すごい、やばい、心臓が死にそう……。
恐らく、それが櫻田の服装のせいだとは思うが、背徳感というか非日常染みた目の前の淫猥な光景に全身の血液が沸騰したみたいに熱くなって、自分がひどく高揚しているということが嫌でもわかった。
それは、櫻田も同じのようで。
乱れる呼吸。
荒々しい仕草に、乱暴なピストン。
喉を性器に見立て、好きなだけ突いてくる櫻田に『そろそろか』だなんてまたどこか他人事のように思いながら、ぎゅっと目を瞑ったときだった。
ずぽっと音を立て、いっぱいいっぱいに勃起した性器が引き抜かれる。
そして、次の瞬間。
「っ、ひぃ」
ドロリとした液体が顔面にぶっ掛けられ、思わず俺は顔を背けたが、遅かった。
辺りに広がる青臭さ。
咄嗟に目を瞑ったおかげで眼球直撃は免れたが、髪先から頬へと滴る粘着質な白濁に背筋が凍る。
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