いっそのこと、気絶でもした方がましだ。


「っぃ、ぎっ、ひ、うそ、入ってる、入ってますってばぁ……ッ!」

「あーあ、齋藤君のお尻の穴、こんなに広がっちゃって。ちゃんと元に戻るかな?」

「いっや、だぁ……ッ」


茶化すような縁の言葉がただただ笑えない。
中で二本の性器が擦れるたびに腰が震え、ただでさえ一本だけでも辛いのに多分というか確実にどっかいかれてしまってるだろう。


「っふ、うぅ……ッ」


突っ込まれてしまった今、行為が終わることをひたすら祈ることしかなくて。
出来る限り負担が掛からないように力を抜くが、中で交互に突かれる度に全身が硬くなり、細やかなそれも無意味なものになる。


「大丈夫だろ」

「なにその自信」


濡れた音が響く中、俺を間を挟んで二人がなにやら話し込んでいる。
人が、こんなに死にそうになっているのに、なんの与太話する余裕があるなんて。
悔しいというかそんな雑談交わす暇があるならさっさとイッて欲しいのだけれど。
なんて思いながら、目下の阿賀松に目を向けたとき、視線が絡み合う。
熱い吐息を漏らした阿賀松は、口元を緩め笑った。


「貰い手がなくなったら、俺が貰ってやる」


「えっ」と、俺は息を飲む。
全くなんのことかわからなくて、わからないけど、多分、もしかしたら、きっと、俺の話しだろう。
飛び出したその一言に、いつもの軽口だとわかっているはずなのに、繋がったそこがきゅんと熱くなって、次の瞬間、全身を巡る熱が顔面に集まった。
しかし、それも束の間。

ズッと、背後の縁が腰を引いたと思えば、乱暴な動作で深く捩じ込まれた。
まるで意識を逸らさせるかのように激しくピストンをされ、目の前がチカチカと点滅し始める。


「っ、ぁっ、はっ……あぁッ!せんぱ、せんぱいっ!」

「ちょっとさあ、ねえ、なに?いまの?さらっと抜け駆けしてんじゃねーよっ!」

「ひいっ!」


ごりっと奥を抉られた瞬間、背筋に電流が走り、胸を仰け反らせた。
口を開くこともままならず、溢れる唾液に舌を這わせた阿賀松はそのまま俺の背中に手を這わせた。
首筋に顔を埋めてきたかと思えば、そのまま筋を舐められ、全身がカッと熱くなる。
意識があっちこっち飛んでしまい、なにがなんだかわからなくなる俺だったが、触れられた箇所、繋がった場所への感覚だけは嫌にはっきりしているわけで。


「っやっ、まっ、もっと、ゆっくりぃ……っ!だめですっそんなっ、裂けちゃいますって……っんひ、ぁっ、あぁっ!」

「いいな、それ……っ真っ二つに裂けてみろよ……っ!避けてもてめえにはやらねえけどなぁ!」

「っ、伊織まじうるさいんだけど……っ!俺は本物の齋藤君一体いたらいいんだよ!」

「あっ、ひっ、あっ、もっ無理……ッ!」

「その考え方自体がおこがましいんだよっ!いい加減諦めろよ!」

「嫌だっ!」


というか人に突っ込みながら言い争うのをやめてもらえないだろうか。

二人の声が響くし、耳痛いし、しかもヒートアップするに連れ人の扱いが乱暴になるし、怖いし……というか、死ぬ。


「ひっ、あっ、ぁあっ、あぁぁ……っ!」


通常よりも二倍のピストンの激しさに腰が、腿が、掴まれた肩が、悲鳴を上げる。
まるで食われそうな勢いで突っ込まれ、息継ぐ暇もなくもがき、阿賀松の背中に手を回したとき。
反り返った性器が腹に当たり、びくりと全身が強張った。そして。


「んんぅああッ!!」


もう出ないと思っていたそこからは搾り出されるようにして精液が飛び出し、迎えた何度目かの絶頂とともに俺の意識は二人に挟まれたままどっかに飛んでいった。

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