「ひぃ……ッ!!」


ぐぐっ、と肛門を強引に拡げ、内壁を押し進んでくる性器に堪らず背筋を仰け反らせる。
押し潰されるような圧迫感に身悶え、目の前の阿賀松に抱きつけば、そのまま背中を擦られる。


「っあ、うそっ、やだ、先輩っ!」

「やりやがったな、てめぇ。方人」

「っはは!まさか、今更齋藤君に独占欲なんて発揮しないよねぇ?」


にやにやと笑う縁に、小さく舌打ちした阿賀松は顔を強張らせる。
阿賀松に縋っても無駄だというのは重々承知していたが、あまりの重量に、熱に、耐え切ることが出来ず俺は藻掻くように阿賀松にしがみついた。


「ほーら、さっさと逃げないともっと奥までいっちゃうぞ」

「あっ、んん……っ!」

「……っまあ、無理だろうけどね」


腕を引っ張られ、ぐっと腰を寄せられれば、埋め込まれた硬いそれが奥へと無理矢理入り込んでくる。
貫かれたような衝撃に頭が真っ白になり、一瞬、息を忘れた。
そして次の瞬間、内壁を濡らすローションを絡め取るようにゆるく擦るように腰を動かし始める縁にハッとした俺は青褪めた。


「ッはぁ……ぁ……ッ、やっ、あっ、やめっ、せんぱっ!うそっ!抜いて、ぇっ、抜いてくださいっ!」

「んーと、やだ」

「っあっ、ひッ、やっ、いやだ、せんぱっぁ、あがまつせんぱ、たす……っ助け……ッ!」


ずぷずぷと次第に早まるピストンに腰が動き、それが嫌で必死に腰に力を込めるけど余計中の縁のが大きくなるばかりで。
こんな醜態を阿賀松の前で晒すことに耐え切れず、込み上げてくる羞恥の涙を飲みながら堪らず懇願すれば、こちらをじっと見据えていた阿賀松と視線がぶつかった。


「……」

「せんぱ……っあ……っ?」


なにも言わない阿賀松は、返事の代わりに俺の腰に触れる。
腰を抱き抱えられ、まさか本当に助けてくれるのか、と驚く俺だったがよく考えてみなくてもそれはありえないことな訳で。
「えっ?えっ?」と狼狽える俺を無視し、すでに縁のものを深く飲み込んだそこに指を捩じ込めば、阿賀松の意図に気付いたらしい縁は顔を引き攣らせた。


「ん?って、ちょ、伊織、なにして……」

「そのままそいつ、捕まえてろよ」

「うっそ、冗談でしょ」

「どうだろうなぁ……っと、」


ぐっと広げられたそこに、もう一本、先端を充てがわられ、ようやく阿賀松が何をしようとしているのか気付いた俺は全身の血の気が引いていくのを感じた。
まさか、まさか、冗談だろう。
しかし、そんな俺の意思は反対に強引に拡げられたそこに先端をつぷりと埋め込まれ、


「っや、待ってくださっ、ぁっ、む、無理ですっ無理ですからっ!」

「……はっ、無理じゃねえだろ?……やるんだよ。舌噛まねえように黙ってろ」

「っうそ、駄目ですっ、せんぱ……っあぁ……――ッ!!」


慌てて二人の上から逃げようとした直後のことだった。
腰を支えていた縁の手が離れ、支えを無くした俺の腰はそのまま落ちるわけで。
そのまま体重で一気に突き刺さるそれに、最早声にならなかった。


「は……ぁあ……ッ」


開いた口が閉じれず、どれくらいだろうか。確かに俺は短い間意識が飛んでいたと思う。
捩じ込まれた二本の性器の形に無理矢理広げられる痛みを和らげるほどローションは万能ではない。
どこか切れたような音がして、それが下半身からなのか俺の我慢の糸なのかわからなかったけど、これが夢ならどれだけよかっただろうか。そう思う程度には、打撃は大きかった。 


「っ、ふ、……ま、流石にキツイよなぁ……」

「っぁ、あぁ……ッ」

「そりゃそーでしょ……ってね」


引きつったように笑う縁は、半分まで飲み込んだ俺の腰を両手で掴み、そのまま一気に下ろす。
瞬間、突き抜けるような痛みと奥をえぐるような挿入感に麻痺しかけていた脳味噌は一気に晴れ、感覚を取り戻した。
戻したのはいいが。


「あぁっ?!」


体が、鉛みたいに動かない。
動くこと自体が恐ろしく、石みたいに二人の上で固まる俺に阿賀松と縁はなにやら目を配せあった。
そして、「よいしょっと」と小さく息を漏らし縁は腰を持ち上げる。
力を振り、逃げようとするが阿賀松に抱き締められ、そのまま相手の腕の中に収まってしまった。
慌てて降りようとするが抵抗する力もなく、おまけにケツの違和感のせいで動くことも儘ならない。

四面楚歌とはこのことだろうか。

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