「っそ、……んな………っ」


絶望的な一言に目の前が真っ白になり、一瞬気が遠のく。
バクバクと脈打つ心臓は今にでも破裂しそうで、すぐそこまでせり上がっている熱に耐え切れず先端からはとろとろと溢れ出す透明の汁が性器をぬらすばかりで。


「伊織ってそーいうの好きだよな。嫌われるぞ」


「っふ、ぅッ」


ぎちりと内壁を刺激され、腰が揺れる。
溢れ出る先走りと唾液は止まらなくて、中で縁の指が動く度に「あっ、あっ」と声が漏れた。
脳髄がじんじんと熱くなり、思考回路までも痺れてくる。


「いいんだよ、こいつ、こういうの好きだから」

「あ、ほんとだ。すっごい締め付けてくる」

「だろ?」

「入れちゃっていい?」


なんでもないように交わされる会話に、嫌な汗が滲む。
なにをさらっと当たり前のように。


「だっ、だめですっ!」


今この状態で突っ込まれてみろ、考えることすら恐ろしくて、青ざめ顔を横に振れば阿賀松が「嫌われてんじゃん」と笑う。


「少しは俺のものっていう自覚が出てきたみてぇだな。ん?ご褒美に、一回出してやるよ」


その言葉を頭が理解するよりも早く、阿賀松は締め付けていた手をぱっと離す。
勿論、今にも射精したくて限界突破しているところを力ずくで塞き止めていたものがなくなったとなると、あとは塞き止められていたものが暴発するわけで。


「っひ、ぁ――ッ!!」


ビクン、と脈が一層大きくで響いたと同時に、体内に篭っていた熱が一気に放たれる。
目の前が、頭が、真っ白になって、もしかしたら意識が飛んでいたのかもしれない。突き抜けるような爽快感とともにどっと襲い掛かってくる疲労感に脱力したとき、目の前の阿賀松の顔がみるみるうちに不快なものになっていく。


「クソ、飛ばしすぎなんだよてめぇは……あんたのせいで汚れただろうが。綺麗にしろ」


そんな無茶苦茶な。
限界まで溜めるまで溜めさせておいて横暴な阿賀松に今更なにも言わないが、精液を絡めた指を目の前に差し出されると自分のものとはいえ顔が引き攣ってしまう。


「え、いや……っ」

「はあ?嫌じゃねえよ。てめえのだろうが。責任とれよ」


確かに、そうだけど。と、差し出された手から顔を背けようとした瞬間、片方の手で顎を固定され、強引に唇へとねじ込まれた。


「んっ、ぅぶっ」


瞬間、咥内いっぱいに広がる独特の匂いと熱い液体に吐き気を催したが、それすら構わず無理矢理喉奥まで入り込んでくる指にそれどころじゃなくなるわけで。


「ふ……っ、んん……っ」


逃げる舌を掴まれ、精液に濡れた指を擦られる。
そのまま咥内をぐちゅぐちゅと掻き回されれば、息苦しさと恥ずかしさと人間扱いされていない屈辱で頭がごっちゃになり、次第に全身が熱くなった。


「でも本当すごい量だね。伊織にちゃんと相手してもらえなかったんだ?」


可哀想、と呟き、縁は指を引き抜く。
ちゅぽんと音を立て、執拗に解されたそこからとろりとローションが垂れ、それを拭う余裕もなく体に力がこもる。


「うるせえ、こいつマグロだから普通んときヤル気になれねえんだよ」

「あ?そうなの?俺ならマグロ大歓迎だけどなぁー。ほら、好き勝手できるし?いいじゃんマグロ」


マグロ連呼され、いたたまれなくなった俺が身動いだ時、ふと縁に腰を掴まれた。
高く腰を持ち上げられ「っえ」と慌てた俺は思わず振り返る。


「縁先輩っ、なにを」

「んー?なにって?そりゃあ、ねえ?」


わざとらしくはぐらかす縁は言いながら剥き出しになったそこに取り出した自身を宛てがう。
押し当てられるその感触に青褪めた俺は慌てて逃げようとするが、確りと腰を抱き寄せられれば余計密着した下半身にぬるりとそれが触れなんかもう声にならない悲鳴が出た。


「っぃ、やっ、ちょっ、待ってくださッ」

「だーめ、待たないっ」


甘い声とは裏腹に、アザが残りそうなくらい強い力で俺を押さえ込んだ縁は問答無用で押し当てたそれをぐっと押し込んでくる。
受け入れるため、指で解されたそこは少しの力でも簡単にそれを飲み込んでしまう。
痛みはない。痛みはないが、指よりも何倍もある質量のそれを捩じ込まれればもちろん息が詰まるわけで。

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