「つーかさ、さっきから伊織ばっかずりぃ。次、俺もちゅー」

「っ、ん、るっせぇよ……」


唇を吸われ、舌を甘噛みされ、開きっぱなしになった口内には流れ込んでくる阿賀松の唾液と自分の唾液が混ざってなにがなんだかもうわからない。
朦朧とした意識の中、唇に触れる阿賀松の吐息が孕んだ熱だけがやけにはっきりしていた。
阿賀松の即答に「ケチ」と唇を尖らせる縁。


「いいもん。じゃあ俺、こっちもらうから」


言うやいなや、脱げかけの下着の中へと縁の無骨な手がするりと入り込んできたかと思うと、その指先は躊躇いもなく臀部の割れ目をなぞり、その最奥に触れた。
瞬間、問答無用で肛門に指を捩じ込まれる。


「っんん!っふ、ぅ……ッ!」

「あ、結構狭いな。意外。もっと緩いかなって思ってたけど、これならすぐいっちゃいそー」


中を探るように奥へとずぶずぶと入り込んでくる細くはない指に、乾いた内壁が引っ張られ、鋭い痛みが脳天へと突き抜ける。
身を捩らせ、縁の指から逃げるように目の前の阿賀松にしがみついたときだった。

ぬるりとしたなにかが、剥き出しになった下半身に垂らされる。


「んぅ――っ!!」


人肌ほど暖められたそれは、すぐにローションだとわかった。
余計な知識、経験のみ着実に蓄えていっている自分に凹む暇もなく、皮膚を滑り落ちていくぬめりのある液体を指に絡め取った縁は、濡れた指を同様濡れたそこへと宛てがう。
今度は、ローションの助けもあり、緊張する筋肉を押し広げるようにスムーズに入ってきた。


「っはっ、ぁっ、やめっ、そんな……っ!」


腹の中で指に絡み付く内壁が摩擦され、ぐちゅぐちゅと聞きたくもないような生々しい音が響く。
体の中を弄られる感触は不快以外のなにものでもないのだが、たっぴりとローションを流し込まれたそこを激しく擦られれば、腹の底から湧き上がってくる新たな熱に自然と息が上がった。


「大丈夫大丈夫。ちゃぁんと慣らしてやるから。俺、伊織と違って痛がる齋藤君に勃起するような変態野郎じゃないし」


にやにやと笑いながら、中をくすぐってくる縁にぶるりと腰が揺れる。
呻く俺の唇から垂れる涎を舐め取る阿賀松は肩を揺らして笑った。


「ハッ、よく言うよ」


阿賀松の言葉には同意するが、俺からしてみればどっちも目糞鼻糞というか俺にとってやさしくない人間であることは間違いない。

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