「ちょ、ちょっ、待ってくださ」


せっかく牛乳で喉を潤したばかりなのに、そんなもの見たくない。しゃぶるのはもっと嫌だ。
地べたを這う芋虫のように身を捩らせ、なんとか縁から逃げようとするが、もちろん逃げれるはずもなく。


「なにそれ、逃げてるつもり?」


「可愛いー」と笑う縁はこちらへと手を伸ばす。
思いっきり前髪を掴まれ、無理矢理上を向かされたと思った矢先唇をこじ開けるように強引に咥えさせられる性器。


「んぶっ」


口いっぱいに広がるその独特の味に吐き気が込み上げてくる。
咄嗟に息を止めるが咥内喉奥まで入り込んでくる硬い肉質を知らぬフリすることはできなかった。


「あー……すっげえ暖かい。ちんこ溶けそ」

「っふ、んんっ、ぐ……っ!」

「あ?苦しい?ごめんね、でも苦しそうな齋藤君も可愛いね!」


軽薄に笑いながら、俺の頭を固定した縁はそのまま腰を動かし始める。
意思に反して、溢れる唾液にまみれたそれはにゅるにゅると滑るように何度も奥を突かれれば、閉じれず開きっぱなしになった唇から涎が垂れた。


「目まで赤くしちゃってさあ」


うっとりと目を細め、微笑む縁は俺の目元に掛かった前髪を優しく掻き上げる。
潤む視界。
目があって、背筋が凍り付くようだった。


「っふ、んんっ、ぅ……っ!」


頬の肉の感触を楽しむように擦られ、えずく。
嫌だと懇願するように小さく首を振るが、縁はただ優しく微笑むばかりで腰を止める気配はない。
それどころか、徐に喉ちんこを突かれ、びくりと全身を強張らせた俺は目を見開く。
全身からどっと汗が出た。


「っはぁ、すごい喉ん奥ひくひくしてる。そんなに苦しい?吐きそう?あ、でも歯立てちゃ駄目だよ」


吐きたくても、口の中の勃起したそれが邪魔で吐けない。
上目で縁を見上げた俺は早く終わらせたくて、ヤケクソに勃起した性器に舌を這わせる。
舌を使って性器を摩擦すれば、口いっぱいに濡れた音が響きなんだかもう生きた心地がしない。
それでも、縁は嬉しそうだった。


「そ、優しくしゃぶって」

「っん、むぅ……っ」


何が悲しくて、縛られて、這い蹲らされて、おまけに男のものを咥えなければならないのか。俺はマゾか何かか。
そんな趣味はないとわかっていても、ここまで来ると必死に応えようとする自分が本当の犬に見えて仕方なくなる。
だから、現実から目を逸らすようにぎゅうと瞑れば、口の中のそれが更に大きくなるのがわかって。


「……っ」


このままでは、確実に。
口の中、唾液でぬるぬると滑るそれを舌を絡めるように吐き出そうとするが、忙しなく先端を抑える俺になにか察したようだ。


「だめ、このまま」


そう笑って、縁は俺の頬を両手で優しく包み込めば、そのまま強引に自分の腰に寄せる。
根本奥深くまで入り込んでくるそれに耐え切れず嗚咽したとき、性器を締め付けてしまったようだ。
薄く笑い、息を吐いた縁。
次の瞬間、口の中で限界まで膨張していたそれは勢い良く熱を吐き出した。


「んんっ!」

「っあー、出る出る。すげーきもちい」


吐息混じりの気だる気な声。
喉の奥に直接精液を流し込んでくる縁に目を見開いた俺は慌てて目の前の縁の腰を掴み、引き離そうとするが、俺の顔を固定する縁の力には敵わなくて。
びゅくびゅくと小さく痙攣しながらも溜まったそれを人の口の中に出し切ったとき、ようやく縁は俺から手を離す。
俺が縁の手を振り払い、蹲ったのはほぼ同時だった。


「っげほっ、ぅえっ」


口を開き、嘔吐する。
しかし、縛られているお陰で既に喉奥に直接流し込まれたそれを吐き出すことはできなくて。
せめて、と口の中に溜まったそれを唾液とともに吐き出そうとするが粘ついた精液は喉に絡み付いて中々離れない。
咽れば咽るほど喉は痛くなるばかりで。
痛みに耐えれず、涙目になりながらも精液を床に吐き出した時。
目の前に縁がしゃがみ込んだ。


「あーあ、せっかく齋藤君のために出したのに吐いちゃ駄目じゃん」

「っ、ご……ごめんなさい……」


怒られたら、謝ってしまうのは最早癖なのかもしれない。
笑いながら床の上に落ちた白濁混じりの唾液を指で掬う縁は、その濡れた指先を俺に差し出した。


「ほら、舐めて?」

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