「っあ、やだ、嫌だ……ッ!志摩……ッ!」

「なんで?方人さんとはする癖に俺はダメなんだ」

「違っ、なにも、してな……っぁ、んんっ!」


口にし掛けた言葉は物理的に遮られ、酸素ごと奪われる。
全て悪い夢だと思いたかった。
だけど、重ねられた唇の感触が酷く生々しく、夢と思うには熱を帯び過ぎていて。


「っふ、ぅ……んむぅ……ッ」


重ねられた唇から舌を引っ張り出され、唾液ごと吸い上げられればゾクりと震えた背筋から力が抜けそうになり、腰に回された志摩の手に抱き寄せられ、離れられなくなる。

息が苦しい。頭がクラクラする。体中が痛い。

だけど、一番痛いのは。


「……っ、志摩、やめて、お願い……っ」

「どうして……」

「っ、ぁ、だめ、嫌だ、志摩……!」

「……どうして、俺じゃダメなの」


掠れた声。
俺を見据える悲しそうな目が、なによりも胸に深く突き刺さって、ぎちぎちと音を立て、心が軋んだ。

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