※色々酷いです


齋籐佑樹、十七歳。
いじめっ子と留年の危機を免れるために俺は田舎の馬鹿校からこの全寮制男子校へやってきた。
この学園で求めることはただ一つ。
平穏な学園生活だ。
そのためなら俺はなんでもしよう。





「ッあ、や……っそこ、そこ好きっ、さいと、もっと……もっとぉ……ッ」

「そこって言われてもわからないんだけど」

「そこっ、そこぉっ!お尻の奥、指でグリグリされるとお腹ジンジンして気持ちいいのぉ!」

「……へえ、そうなんだ」


変に感情が昂りやすいクラスメイトの志摩亮太を宥めるためにケツに指突っ込み適当に体内掻き回していたら、どうやらハマったようだ。
よっぽどなのか既に呂律が回っておらず、いつもの饒舌な彼の姿はそこにない。
酷い熱を持った志摩の中は指を動かす度にぎゅうぎゅうと締め付けてきて、かなり指が疲れる。
壁に凭れるようにして座る俺と向かい合う膝立ちになる志摩は内壁を指の腹で擦り刺激する度にビクビクと腰を痙攣させ、そのまま腰を抜かしそうになる度に支えを求めるように俺の頭部をきつく抱き締めた。
志摩の胸元が顔に押し付けられ、視界が暗くなる。
息苦しい。
そのとき、丁度シャツ越しに押し付けられた胸板から突起が口許に掠り、特になにも考えず俺はそれを口に含んだ。


「ッはぁ、さいとぉ……ッあ、やだ、舌でぐりぐりしないでぇ」


唾液を絡めた舌先でシャツごと濡らすように舐め、肌に張り付いたシャツには小さく勃起したそれが浮き出る。
腰を突き出す志摩のアナルへの愛撫と同時に、口に舌と唇を使って硬い芯を持ったそれを強めに刺激した。
唇を寄せ目の前尖った乳首を軽く吸い、口内に含んだそれを舌と唾液で刺激すれば、だらしなく開いた志摩の口からは吐息混じりの喘ぎ声が漏れる。


「は、もぉ無理、無理だよ齋籐っイクっイッちゃう!」


堪えきれず、自分で自分のものを取り出し先走りで濡れガチガチに膨張した性器を擦る志摩はそう悲痛な声を上げた。
そんなこと報告されても……。
なんて思いながら俺は志摩の手の中でドクドクと脈を打つそれを一瞥し、口を含んだ突起に軽く歯を立てた。
瞬間、志摩の体内が先程と比べ物にならないくらい強い力でぎゅっと俺の指を締め付ける。


「ッぁあ!」


そう声を洩らす志摩は、ビクッと大きく腰を跳ねさせた。
そして、扱く手を止めた志摩の性器から勢いよく精液が飛び出す。
制服に掛かる熱を孕んだ液体に、俺は僅かに顔をしかめた。





「……落ち着いた?」

「うん、なんとか」


後処理を済ませ、そう頷く志摩に「ならよかった」とだけ答えた。
いきなりキレ出した志摩を強引に落ち着かせた俺は見事ぶっかけられた制服の上着を脱ぐ。
場所は空き教室。
本来ならば授業中であるはずの俺がなんでこんなところにいるかと言えば、俺が他の生徒をたぶらかしているとか身に覚えのない噂を真に受けた志摩に連れ出されたからだ。


「じゃあ、俺先に戻るから」

「あ、ちょっと待ってよ」

「なに?」

「普通こういうときはキスするんだよ」


どこの世界の普通を言っているのだろうか、この男は。
志摩なりに甘えてるのだろう。
正直あまり乗り気ではなかったが、渋る俺に段々不機嫌になる志摩に慌て「わかったよ」と頷いた。


「んー」


顔を近付ける俺にそのまま顔をくっ付けてくる志摩。
俺は軽く志摩の唇に触れるだけのキスをした。
「はい」そう言って顔を離せば、志摩は嬉しそうに目を細めて笑う。


「齋籐、大好きだよ」


どうしてこうなったのだろうか。





面倒事に巻き込まれないよう日々奮闘し、なるべく荒波立てないように毎日を過ごしてきた。
たまにごちゃごちゃあったが強引に何事もなかったことし、作られた平穏の中で俺は暮らしていた。
しかし、どうやらそれが不味かったようだ。


「……先輩、最近一年生の間でよくない噂を聞きます……」

「噂?」

「……はい。先輩が見境なく男をタラシ込んでいると……」

「俺が?まさか」


自室にて。
ソファーに腰をかける俺の足の間に膝立ちになった江古田は、露出した性器をたっぷりと唾液で濡らし小さな両手を使って上下させる。
江古田が手を動かす度に室内にグチュグチュと粘着質な濡れた音が響いた。


「誰が言ってたの?」

「……親衛隊の方たちが先輩のこと要注意人物だって……」

「はッ……親衛隊って、ああ、芳川会長たちのか」


全くもって身に覚えがないが、どうせまた俺のことを気に入らないやつが適当なことを言い回っているのだろう。
別に、ありもしないことを言われることには慣れている。

テレビを眺めていた俺は、たどたどしい手付きで扱く江古田を見下ろした。
目の前の性器に興味津々になって食い入るように見詰めてくる江古田は頭上から向けられる視線に気付いたようだ。
伏し目がちな江古田は、おずおずと翳った双眼をこちらに向ける。


「……江古田君はどう思う?」

「……どう、とは……」

「噂のこと」

「……噂ですか……」


いきなりの問い掛けに少し困惑したのか、僅かに江古田の手が鈍った。
しかし、俺の視線に気付いたのか慌てて再度手を動かし出す。


「……僕は、先輩が要注意人物だなんて思いません……」


両手で搾り取るように擦り上げられる度にじゅぷじゅぷといやらしい音を立てながら性器に血液が集まっていく。
江古田の薄い両掌で左右から押し潰されるように根本から先端にかけて竿全体を刺激され、江古田の手の中で自分のものが硬くなるのがわかった。


「ありがとう。嬉しいよ」


相変わらず表情は暗く感情は読み取れなかったが、だからこそ江古田の素直な言葉は嬉しかった。
口の端を持ち上げ笑みを浮かべた俺は、そう言いながら江古田の小さい頭を優しく撫でる。
僅かに頬を赤くした江古田は、どこか気恥ずかしそうに俯いた。
そして、勃起した性器をぎゅっと握った江古田はおずおずと俺を見上げる。


「……では、あの、これ……僕の中に入れてもらってもいいですか……?」





翌日。
江古田からの忠告はどうやら本当だったようだ。


「ッあ、もっ……やっばい、腹ん中すご……はっ、ああッ」

「ちょ……先輩、声でかいですって……ッ」

「やっ、だって齋籐君の、奥に、おくにぃ……っ」


例の如くなにかとちょっかいかけてくる縁をあしらうため男子便所の個室へ連れ込んだ俺は、壁に手を付きこちらに腰を突き出す縁の尻を揉みながら深く挿入を繰り返す。
タイル張りの静かな便所内には縁の声が響いた。
幸い人がいないからいいが、縁の喘ぎ声はかなりでかい。
なんだかこっちが恥ずかしくなりながら、俺は締め付けてくる内壁にカリを擦りつける動作を繰り返す。
深く根本まで腰を打ち付ける度パンパンと乾いた音が響き、予め慣らすために使用したローションが泡立ち濡れた音を立てた。
挿入している内に中のローションが掻き出され、縁の股に透明の液体が垂れる様は中々生々しい。


「ちょ……やっそこまじでやばいからッ、んぁッ、さいとうく、さいとうくんっ」

「先輩、声、声!」

「だって、だってぇッ!ッあ、さいとうくんが悪いじゃん!はッあ、そんなにさあ、がっついちゃってさぁ……ッ」


そう声帯を震わせる縁は、恐らく笑っているのだろう。
まあ今に始まったことではないので強くは言わないが、嘲笑を孕んだ艶かしいその声にぞくりと腰が震えた。
俺はマゾ属性でも持ち合わせているのだろうか。
なんて思いながら俺は薄い肉のついた臀部全体を揉み扱き、結合部を指で拡げる。
激しいピストンを繰り返したせいか入り口の肉が捲れている。
臀部を鷲掴んだ俺は縁の下半身を固定し奥を突くように射精するまで何度も腰を打ち付けた。

やがて、縁が満足するまで散々付き合わされた俺が漸く解放されたときにはもう既に午前が午後になっていた。


「んじゃ、また相手してよ!」


そう笑いながら手を振る縁とは対照的にゲッソリとした俺はそれに手を振り返す。
最初は縁を諦めさせるためだったのにどうしてこうなったのだろうか。
ミイラ取りがミイラになる。
なんて言葉を思い出しながら俺は教室へと戻った。
そして、俺は机の中に入っていたあれを見つけることになる。




『齋籐佑樹へ。
放課後、体育館裏に来い。
さもないと』

さもないと、なんだ。なんなんだよ。
ただ一言、そう書かれた手紙を見つけることになったのは俺が次の授業の準備に取り掛かろうとしたときだ。
机の中から出てきた既視感に溢れたその手紙に俺は眉を寄せる。
俺の本能が行くなと囁いてくる。
が、無視して後々面倒なことになるのも避けたい。
問題の種は芽を出す前に切っておくか。
そう判断した俺は手紙を机の中に戻し午後の授業を受けた。

そして放課後。
俺は言われた通りに指定された場所までやってくる。
体育館裏。
そこには見覚えがある男子生徒が一人立っていた。


「かっ栫井……?」


相変わらず眠たそうな顔をしたそいつに驚く俺。
まさか栫井が差出人とは思っていなかった俺は目を丸くさせた。
やってくる俺に気付いた栫井はこちらに目を向ける。
そして、そのままこちらへと歩いてきた。


「うわッ、ちょ、なに」


俺の手首を掴んだ栫井は、無言のまま俺の手を自分の胸元に当てる。
体温を感じさせない固い感触に、何事かと目を丸くした。
新手の誘い方だろうか。
なんて思ったとき、パシャリと明るいフラッシュが瞬く。
何事だ。
目を丸くした俺が発光源に目を向ければ、いつの間にかもう片方の栫井の手にはカメラが握られていた。
カメラを片手で弄る栫井は「犯行現場ゲット」と笑みを浮かべる。

犯行現場だって?
開口一番意味がわからないことを言い出す栫井に俺は目を見開いた。


「ていうか、なに撮って……」

「写真」

「なんで」

「いい天気だから」


さっき思いっきり犯行現場がなんたら言ってただろ。
すっとぼけるつもりかこいつ。
慌てて栫井から手を離そうとするが、キツく握り締められた手は離れない。


「お前、退学な」

「は?退学?」

「はしゃぎすぎなんだよ、齋籐佑樹」

「は……ちょ、意味が……」

「校則、風紀を乱す者は罰せよ。うちの生徒会にもお前に泣かされたやつから何通も苦情が来た。会長たちがなんも言わねーからわざわざ俺が来てやったんだよ、感謝しろよ穀潰し」


言いながら迫ってくる栫井がなにをいっているのかまるで理解できない。
苦情?俺が泣かせただって?
バカな。そんなことした覚えはない。
そこまで考えて、俺は胃がキリリと痛むのを感じる。
もしかして、もみ消したやつがやばかったのか。
なにかと言い掛かりをつけてきた親衛隊やらアンチやら片っ端からちょっと脅して黙らせたことを思い出し、顔面から血の気が引いていくのがわかった。
そんな俺を見て、更に栫井は笑う。


「じゃあ、今の写真って……」

「お前が強姦魔っていう証拠と証言」

「強姦魔だって?……今の写真だけで強姦した証拠になるって思ってんの?」

「否定しない辺りがくっせーな。ごちゃごちゃ言うなよ、誰も証拠が一枚とは一言も言ってないだろ」

「どういう……いッ」


そう言いかけて、いきなり栫井は俺の足を横に払う。
まさか転ばされると思っていなかった俺は見事バランスを崩し、その場に尻餅をついた。
そして、そのまま栫井に胸板を踏みつけられる。
視界には真っ青な空と侮蔑を孕んだような栫井の顔。
そのまま仰向けに倒れる俺の上に座り込む栫井は胸を圧迫され呻き声を漏らす俺の顔を覗き込む。
目が合って、栫井は目を細めた。


「だから、ここで証拠貰うっつってんだよ。言わせんなよ、グズ」


おしまい

←前 次→
top