12月25日 駅前


齋藤「栫井まだかな…」

志摩「お待たせ」

齋藤「待ってないしなんでいるのここに」

志摩「え?だって今日俺と約束してたよね?」

齋藤「初耳なんだけど……」

志摩「夏頃に『クリスマスは一緒に過ごそうね』って約束したよ」

齋藤(覚えてないしそれは約束というのかそもそも……)

志摩「酷い、俺齋藤とクリスマス過ごすのだけを楽しみにしてここ数ヶ月ずっとクリスマスのことばかり考えてたのに齋藤は俺のことを裏切るんだ。おまけに一週間切ってから誘ってきた栫井にほいほいついていくなんて裏切りだ!」

齋藤「そんなこと考える暇あったら勉強しなよ……」

志摩「そうやって話を逸らそうとする!」

齋藤(持ち出してきたのは志摩じゃん……)

栫井「……おい、なんでこいつがいるんだよ」

齋藤「ごめん、なんかついてきちゃってたみたいで……」

志摩「出たな人の恋人に手を出すヤリチン野郎!」

栫井「お前に言われたくねえしそもそも付き合ってないだろ」

志摩「付き合ってようがいまいが俺は齋藤と将来約束し合った仲ですから

栫井「クソ……面倒くせぇ……どうにかしろよこいつ」

齋藤「ご、ごめんね栫井……ほら志摩、これさっきそこで貰ったポケットティッシュあげるから大人しく学園に帰りなよ」

志摩「雑!俺への扱いが雑すぎるんだよねそもそも!!そんなに齋藤は俺よりあいつが良いっていうわけ?!」

齋藤「そういうことになるよね」

志摩「そこは言い澱んでほしかった!!」

栫井「男のくせにネチネチうるせぇな……つか、寒いしそろそろ行くぞ。目立つ」

齋藤「あっ、うん……!」

志摩「待ったーー!!」

栫井「チッ……なんだよ、まだあんのかよ」

志摩「俺は齋藤とのデートをちゃんと念入りに計画したプレゼントも用意してる!けどお前はどうなんだよ、どうせいきあたりばったりなんだろどうせ」

栫井「三ツ星レストランのディナー予約してその後ホテルのスイートルームも取ってるけど」

志摩「お前それでも高校生かよ!!最低だな!!」

齋藤(志摩が自分で自分の首を締めてる……)

志摩「俺は納得しないからな、せめて齋藤が『クリスマスプレゼントだよ』って言いながら俺にベロチューしてくれるまで俺は引き下がらないから!」

栫井「キスで帰るんならやってやれよ」

齋藤「それくらいならまあ……」

志摩「躊躇ってよ!フリでもいいからそこは躊躇ってよ齋藤!なんで『お安い御用』みたいな顔してるの?!やめて!!」


ベロチュー


齋藤「落ち着いた?」

志摩「来年のクリスマスは絶対俺と過ごしてね……」

齋藤(デジャブ感じる……)




栫井「やっと帰ったのかよあいつ」

齋藤「……ちょっと可哀想だったかな」

栫井「……あいつと過ごしたいんなら今からでも行けばいいだろ」

齋藤「い、行かないよ。……行ったら行ったで怒るくせに……」

栫井「……」

齋藤「あの、ところで栫井……さっき言ってたその、ディナーとか……ホテルとかって……」

栫井「あれ、嘘」

齋藤「……へ?」

栫井「全部あいつの言った通りだよ。……計画とか面倒だから考えてねえし」

齋藤「そ、そうなんだ……」

栫井「嫌なら別に……」

齋藤「ち、違うよ、そうじゃなくて……びっくりしちゃって……だから安心したっていうか……」

栫井「嫌か?」

齋藤「えっ、や、そ、そういうことじゃ……ないけど……」

栫井「……真に受けんなよ、いちいち」

齋藤「うん……」

栫井「……」

齋藤「そ、そうだ、あの……プレゼント……持ってきたんだけど」

栫井「は?……なんで」

齋藤「な、なんでって……クリスマスだし……あ、あの、ごめん……迷惑だったよね、やっぱいいや」

栫井「……別にいらねえって言ってねーだろ、勝手に決めてんじゃねーよ」

齋藤「……あっ」

栫井「……」

齋藤「今見ないの?」

栫井「別に、いつ開けようが俺の勝手だろ」

齋藤「そうだけど……ちょっとリアクション見たかったな……」

栫井「俺は嫌だ」

齋藤「なら仕方ないよね……」

栫井「……ん」

齋藤「?え、何これ」

栫井「やる」

齋藤「……いいの?」

栫井「いらねえなら捨てる」

齋藤「いるっ!いるよ!……ありがとう」

栫井「……おい、今開けんなよ……!」

齋藤「えっ?どうして?……って、わぁ……」

栫井「……チッ」

齋藤「栫井、センスいいよね。腕時計、大切にするね」

栫井「なんで今付けるんだよ」

齋藤「へへ……だって、栫井からのプレゼントだし……駄目?」

栫井「……勝手にしろよ。失くすなよ」

齋藤「うん……大切にする」

栫井「……別に大切にしなくていい」

齋藤「うん、分かった」

栫井「……」

齋藤「これ、栫井が選んでくれたんだよね」

栫井「いいだろ、もう、その話は……ほら、さっさと行こうぜ。外寒いんだよ」

齋藤「うん、ありがとう」

栫井「デレデレしてんじゃねえよ……ほら、手」

齋藤「……あっ」

栫井「……今日は冷えるな」

齋藤「……うん、そうだね」


↓おまけ



縁「そんなことがあって泣いて帰ってきたんだね、よしよし、可哀想な、亮太君にはサンタさんからプレゼントをあげよう」

志摩「なんすか……っていうかなんすかそのコスプレも……似合ってないし……」

縁「泥酔してトナカイのコスプレした伊織の写真」

志摩「いらねぇ……(でも今後脅す材料になる可能性があるので念のため持ち帰る)」

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