…………。
どれくらい眠ったのだろうか。
微睡みの中、徐々に意識が覚醒する。
布団、布団はどこだろうか。
布団がない。
というかなんか下半身が寒いというか熱いというか、腹の中にハンパない違和感が……。

下腹部を中心に全身に広がる違和感に顔をしかめ、鉛のように重い瞼をうっすら持ち上げる。
そして、俺は目を見開いた。


「…………ぇ?」


仰向けに眠る自分に覆い被さる陰。
それだけならまだ、いや全然よくないがまだよかった。
問題は自分の格好だ。
何事かと心臓が止まり、慌てて飛び起きようとするが体が動かない。
詳しく言うなれば、主に下半身が。
動揺したまま自分の下腹部に目を向ければどうしたことだろうか。
いつの間にか下着が脱がされていた。
それだけでも目玉飛び出そうになるのに、あろうことか太股を掴まれ思いっきりケツの穴に挿入されていた。
これは本当意味がわからない。


「ぇ?は、ちょっ……待っ、やッまじ、っなん……なに、なにやってんだよっ」


寝起きの呆けた脳は一気に冷え返り、現在進行形で挿入される熱いそれに顔を青くした俺はなにがなんなのかわからなくなって思わず声を荒げた。


「……っ見てわかんない?セックスしてんの、あんたのケツ使って」


頭上から返ってきたのは吐息混じりの聞き覚えのある小憎たらしい声。
「目ぇ覚ましたんならさっさと締めろよ」そう言いながら人の腰を掴み、中を抉るように腰を打ち付けてくる不躾な人影もとい栫井平祐はそんなことを言い出した。
意味がわからない。
なんで栫井がここにいるんだとかなんでセックスに結び付くのかとか色々言いたいことはあったのに口を開こうとする度に内壁を思いっきり擦られ腰が跳ねる。


「っあ、や……ッまっ、やめ……っ」

「うっせーな、勝手に人のベッド使っただろ。使用料ぐらい払えよ」

「ひとのって、これ、栫井のじゃな……っい゙ぃッ!」


「黙れよ」体を揺すられ、息絶え絶えに喘ぎながらそうあまりにも横暴すぎる栫井に反論しようとしたら言い終わる前に思いっきり玉を叩かれた。
乾いた音がして下腹部に針が刺さったような激痛が走り、拍子にうっかり舌を噛んだ俺はなんかもう泣きたくなった。というか泣いた。


「お前が生徒会室にいるだけでも空気が悪くなるっていうのに、なんでこんなところで暢気に寝てんだよっ。本当腹立つ、会長たちに色目使ってんじゃねえよ」

「は、ぁ、ちがっ、なに言って……ッ」


後半もうただの当て付けじゃないか。
要するに気に入らないからという理由で俺は現在進行形でレイプされているわけか。横暴すぎる。

栫井が喋る度に下腹部の結合部から振動が伝わり、腰全体が疼くように痒くなる。
眠っている間に体の中にローションかなにか塗り込まれたようだ。
擦られるように出し入れを繰り返す度にぐちゅぐちゅと耳障りな音が響き、掻き出された液体が股座を伝って気持ち悪い。


「っ、ぁ、やめッ、も……っやだってば……ッ、かこい、かこい……っ」


俺が眠っている間も擦られていたようだ。
腫れた内壁はじんじんと痺れ、僅かな振動だけで体が反応してしまう。
じんわりと体の芯が熱くなり、全身に汗が滲んだ。
未だ現状を把握しきれていない脳味噌が逆上せ上がったみたいに麻痺し、自然と呼吸が乱れる。


「……男のくせに寝込み襲われて喜んでんじゃねえよ、気色悪い」


寝込み襲ってガチガチに勃起させた性器突っ込んでるやつにだけは言われたくない。
体内でドクドク脈打つそれを内壁に擦り付けるようにぐちゅぐちゅ音立てて摩擦させては更に硬くしてくる栫井を見上げる俺はそう視線で訴えればどうやら気付かれたようだ。
乱れた服の上から思いっきり乳首をつねられ、右胸に鋭い痛みが走る。
こいつはあれか、読心術かなにか心得ているのだろうか。

←前 次→
top