赤降の今後について陽泉が本気で考えてみた





とある日の放課後、福井はホワイトボードの前で黒マジックペンを握りしめていた。
場所、極寒秋田の陽泉高校バスケ部部室内。

本日の議題内容―――、




「赤降の今後について、だ!アツシ、まいう棒ばっか食ってないで発言しろ!」


キュキュッとボードに議題を書き込んだ福井にそう告げられた紫原からは盛大な溜め息が吐き出された。



「…そんなんどーでもいいし。」
「本人たちの問題じゃないかな?」
「それより劉福の今後について考えたらいいアル。」

「アツシと氷室、話題広げる努力をしやがれ。劉はもう喋んな。」



お決まりの福井突っ込みが炸裂したところで本題に突入。
そもそもどういった意味での今後についてを考えたらよいのか、と氷室が尤もらしい質問を投げかけた。
それに紫原が反応する。



「だから結局ヤるかヤらないかじゃん?」
「赤司くんと降旗くんが…だよね。………………。」
「室ちん今想像してるでしょ…。」



宙を仰いで数秒黙り込んだ氷室に紫原がぼそりと呟く。その会話に便乗したのはもちろん、進行役の福井だ。



「想像した結果どーだよ?」
「…えっと、降旗くんの赤司くんに対する反応から見ても…事に及ぶにはまだ当分先かと。」
「氷室の予想ではどのくらい先アルか?」
「そうだな…、5年くらい?」
「もしそうだったら赤ちん気狂って日本列島沈めにかかりそうなんだけど。」



確かにめでたく付き合うことになったとはいえ、一方はエンペラー赤司征十郎。方やもう一方は頑張り屋の天使・降旗光樹。
ナニしたりするという想像が追い付かないのも無理はない。

議題難航が予測されると思われたが、福井がここで何かピンと閃いた。



「ラチあかねーし、ここは3択にしようぜ。ちなみに外れたやつは当てたやつの言うこと絶対きくこと!!」


キリッと言い切った福井がホワイトボードに書いたのは



【3ヶ月以内に赤降は…?!】

【@チューもできない】
【Aチューまですすむ】
【Bチュー以上すすむ】


それを見たメンバーが目を丸める中、紫原は冷ややかな視線を福井に向けて口を開いた。



「…福ちんさー、赤ちんで賭けなんかしたら殺されるよ。」
「バレなきゃいんだよ!」

「福井さん、それ犯罪者と同じ言い訳ですよ。」
「うっせー氷室。オレが主将だ!何でもアリだ!」

「…主将はワシなんじゃが…。」
「あ、モアラいたアルか(笑)」
「わり、岡村。いたのか(笑)」





岡村の、ひどくない?という発言さえスルーして「さぁ@ABどれか選びやがれ!」とどんどん進めていく福井の顔は今だかつてないくらいイキイキしていたとかしてなかったとか。



「えー…赤ちんで賭けんのとかなんかヤだし…てかそもそもフリハタが分かんねーし。」
「でもアツシ、もしお前が当てて氷室が外したら!」
「たら〜?」
「何でも1こ、氷室にいうこときかせれんだぞ?」



ニヤリと意味ありげに笑って福井がそう言うと、紫原の瞳の奥の奥の奥あたりがギラリと光った。
そこに待ったをかけたのはもちろん、氷室。



「Wait!その流れは嫌な予感しかしないんだが?!」
「…氷室!仮にお前が当ててアツシが外した場合を考えろ!」
「えっ?」
「アツシと日が暮れるまで1on1百回券とかどうだ?!」
「……Fantastic!!!!」



待ったをかけた筈が、思い切り福井に言いくるめられている。
氷室の右目はキラキラと輝いていたとかいなかったとか。



「それ絶対ヤだし…せめて3回にしろし。」
「諦めろアツシ。俺は本気で当てにいくことに決めたから。」
「は〜…どこでやる気スイッチ入んの、室ちんてば…」



といいつつ、紫原も当てる気でいる様子に福井は気付いていた。
うまく言いくるめられたダブルエースに劉が加わる。



「もし私が当てて福井が外したら福井、私のいうこと何でもきくアルか?」
「…おっ、オレが外すわけねーだろ。陽泉の百発百中男、福井様とはオレのことだ!!」



「…そんなん誰も呼んでないし。」
「人生で一度も呼んでませんよ、福井さん。」
「阿呆アル。」




3人からの冷たい意見もさらりと流し、結局その後5分ほどで会議は終了。
部室のホワイトボードにはこう書き残されていた。



【@チューもできない…アゴリラ】
【Aチューまですすむ…氷室、オレ】
【Bチュー以上すすむ…アツシ、りゅう】



この三ヶ月後、誰が笑って誰が泣きをみるのか、まだ誰も知らない。





〜END〜




********



例の如く、私が赤降の今後について考えあぐねていたので陽泉メンバーに考えてもらった結果……

…なぜこうなった(・∀・)


※ましろ様、アンケートへのコメントありがとうございました!
今後もちょこちょこ…このシリーズ更新します(笑)





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