2(side赤司)










少し散らかった机の上。
無造作に転がっているバスケットボール。
壁に貼られたバスケットプレイヤーのポスターに、床に落ちているバスケ情報誌。

初めて訪れる光樹の部屋。
それは想像していたものと近くてどこか安心した。
そして、可愛いな、と思った。



「ご、ごめん、散らかってて…!」
「片付けなくていいよ。普段光樹が過ごすありのままの部屋が知りたいからね。」
「…へ、変な赤司…」
「そうかな?」




変だよ、と繰り返しながら床に散らばる雑誌を片付けていく光樹。
髪から覗く耳がなぜか赤い。



「コート脱いで赤司。シワになっちゃうよ!」
「ああ、ありがとう。」
「…。(うわっ…高そうなコート……)」
「光樹?」
「あっ、ごめんね、えっと…なんか飲み物持ってく――、」





光樹の言葉を遮るつもりはなかったのに。
手が勝手に動いていた。

なぜならずっと、触れたかったからだ。
さっきも…誠凛高校の校門前で光樹に布越しに触れられた時も、……抱きしめたくて仕方なかった。

こうして、抱きしめて
直に触れたかった。





「…あ、あか、し…?(うわっうわっ…うわぁっ…!!!!!!!!!)」
「……僕もだ。」
「え?」
「ずっと会いたかった。こうしたかった。何をしていても…光樹の事ばかり考えてしまう。」
「そ、そっ、それは、こ、困るね…」
「ふふっ…そうだね。困るね。」
「…………、……………赤司。」





消えそうなほど小さな声で名前を呼ばれたと思えば、光樹の腕が控えめに僕の背中に回されて。
そして本当に控えめに、ぎゅっと力を入れてくれた。
抱きしめてくれているんだろう。
相変わらずどこか遠慮がちだけど、そこが光樹らしくて可愛いなと思ってしまう。



「…光樹、顔を上げてくれるかい?」
「…………う、うん、」
「…瞳を綴じてくれるかい?」
「…う、うっ…、うん…、」
「好きだよ。」




ストレートな言葉に弱いのか、瞳を綴じたままの光樹の顔からぼふんと湯気が出て、ふるふると震える唇から「……お、オレも!」とずいぶん可愛い言葉が飛び出たところで、唇を重ねた。


光樹はキスに慣れていない。
自分からは何も出来ないところがまた可愛い。
でも一生懸命に、キスを受け入れてくれる。

もう少し唇を開けるように促せばそうしようと頑張ってくれて、舌を絡ませるとビクリと震えながらも懸命に応えようとしてくれる。





「……ん…ふ、ぁ、…んン…」
「…。」
「ン、ん…、っ…」
「……。」
「っは、ぁ、あ……、……………っ、」
「光樹?」
「…………な、なんか…は、恥ずかしい、ね…。」





そう言って視線を反らしてしまう姿がたまらない。
可愛いくて仕方ない。

好きだと
愛してると
痛感してしまう。





「―――…光樹、」





別に敦に急かされたからじゃない。
応援されたからでもない。

ずっと機会を伺っていたし、何より会う度に触れたいという想いは募るばかりだった。

裏表のない素直な態度
ころころと変わる表情
はにかむように笑う顔

すぐに赤く染まる頬
キスをするときに小さく震える睫毛
全てが愛おしくて、
全てに、惹かれていた。


だから、キスをした後そう言ったっきり恥ずかしそうに俯いてしまった光樹を、そのまま後ろに押してしまった。
……つまり、押し倒してしまった。





「…あ、赤司…??」





そして今、キョトンと目を丸くして僕を見上げる光樹。
…どうしよう。
……我慢…出来るのか、僕は。





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