黄瀬と笠松 起











なんかよく怒鳴られるし
(つーかよく蹴られるし?)

正直好かれてんのかどうか…自信はあまりない。
…だけど、信頼はされてる。
バスケのプレーに関しては認めてくれてる。
それは分かる。

で、オレも信頼してる。
厳しいし怖いし(つか暴力的だしっ)
…でも…うん、言葉通り「頼り」になる。
ある意味オレなんかより…チームに絶対必要な人だとも思う。

誰よりも努力して
自分に厳しくて
決して弱音なんか吐かない
弱い姿を見せない

それがオレの
オレたち海常の、「主将」

…主将、笠松先輩。













〜起〜












「おい黄瀬!」
「なんスか?」




練習直後チョイチョイと手招きされて呼ばれる。
側に寄ると、いきなりガシッと(細いくせに)逞しい腕で首を絞められた。



「ちょっ、痛ッ…痛いっス!!!」
「ふざけんなお前っ!!あの場面はダンクじゃなくてパスだろっつってんだろ何回も!!!!」




さっきのプレーをさっそく怒られているオレ。…まぁ確かに無理にダンクでもってかなくてもパス出して先輩に回してたら…3点だったかもだけど。でも、全部、全部わかってた上で、ああしたんだってことは死んでも言えない。

だって。
だってさ。




「聞いてんのか黄瀬っ!!」
「…聞いてるっスよ。」




……こうなるかな〜ってさ、思ったんだもん。
ラリアットみたいなコトされてるけど、痛いのは嘘じゃないけど。
…めっちゃ先輩の匂いする。




「先輩、痛いってば」
「お前が悪ぃーんだろが!」




うん。
そーだね、オレが悪い。

女の子じゃないのに
先輩は女の子じゃないのに

それどころかバスケ一筋で
ほんっとに男らしくて、
男の中の男、ザ★主将!って感じで

だからオレがこんな気持ちになるなんて本当どうかしてて
なにかの間違いだって思いたいんだよ

でも自分でもさすがに気付いてしまったから
…だから、オレが悪い。





「なーにやってんの。」
「あ、森山、いやこの馬鹿がよ…!」
「はいはい、まったく笠松も黄瀬も〜、早く着替えるよ〜」
「…おう。おい、黄瀬!…お前最近ヘンだぞ?…疲れてんなら明日の練習は休め、いいな!」




………疲れてる、ね。
いやまぁ確かに疲れてはいるけど…
(もうすぐWCだし…絶対勝ちたいから倍の練習してるし。…にしても、)


あの様子じゃ万が一にも思ってないんだろうな〜
…オレがあんたに惚れてるって…
(いや、バレないように我慢はしてるんだけどね、色々と)


それでも確かに最近はヤバイ。

力ずくでキスしてやろーかとか
無理矢理押し倒してやろーかとか

自分でも引くくらい、マジでぎりぎりなコトばっか考えるようになってる



…ねぇ、先輩。
オレ聞き分けのいい後輩じゃないよ。
本当に惚れてる相手に理性保ち続けれるくらい紳士でもなければ伊達男ってわけでもない。

ほんとはさ、
手ぇ出したくて仕方ねーんだよ

それで嫌われても、それでも、
触ってみたい
キスしてみたい





「…あ〜あ、どうしよ。…もう…引き返せねーよコレ…」





だけど顔がニヤける。
だって
バスケも、レンアイも、
本気になれるんだったらそれは、




「ほら黄瀬、なにしてんの、おいてくぞ〜?」
「ほっとけあんな馬鹿は!!」
「ちょっ、ひどっ、先輩!今のはひどくないっスか〜?!!」







それはさ、
願ったり叶ったり、じゃん?








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