黒子くん誕生日記念小説(火黒+紫氷)







1月30日、
部活終わり後の、さらに自主練終了後のことだった。





「あ〜…その、…今日、泊まっていかねぇ?」





少し照れ臭そうにそう言った火神くんに、僕は頬が緩みそうになるのをグッとこらえて、一言「いいですよ」と返した。

ちゃんと覚えてくれていたんだと分かっただけで、こんなにも嬉しい。
(…そういえば、家族以外の人が1番に祝ってくれるのは初めてかもしれません。)


着替えが終わってから家に「今日は友達の家に泊まります」と連絡を入れると、「分かりました。でも明日は必ず帰ってくるように。」と返事がきた。

きっと、毎年のように、苺のショートケーキを用意してくれているんだろうな、と思ってまた、頬が緩んだ。















〜黒子くん誕生日記念小説〜















………あの、すみません。
冒頭の幸せな雰囲気を返していただけますか、火神くん。


そう思いながら斜め上に視線を送ると、青ざめたまま暫く動かなかった火神くんの唇はフルフルと震えていた。






『とりあえず…今日はいろいろ美味いモン用意してっから。』
『期待しています。』
『吐くまで食っていいからな、黒子?』
『ふふっ、それはイヤです。』



そんな会話をしながら火神くんのマンションまでやってきた僕ら。
だけど、マンションのドアの前で最初の異変は起きた。




『…ん?あれ…?』
『火神くん?』
『……鍵が…空いてる。』
『え?』



確かに閉めたはずなのに、と首を捻りながらドアを開けた火神くんが次の異変に気付いた。
玄関に、見慣れない靴があったのだ。



『…か、火神くん…』
『お、落ち着け…泥棒なら玄関から入らねーし、靴も律儀に脱がねーだろ…』
『……それもそうですね。』



そう言いながら、僕と火神くんがほぼ同時にゴクリと生唾を飲んだ時でした。




『タイガ、Welcome home!…あ、黒子くんじゃないか、Long time no see,were you fine?』




奥からヒョッコリ現れて、とっても流暢な英語で(尚且つものすごく自然に)迎えてくれた人物は、僕が…そして僕以上に火神くんがよく知る人物。


………氷室辰也…さん。



ええ、我が目を疑いましたよ。
いっそ夢であればと願いましたよ。

ですが…火神くんの顔色からしても僕だけが見ている夢でないことは明らかで。




『?どうかした二人とも…あ、さすがに突然訪ねてきたのは驚かせちゃったかな?Sorry!』




はは、と微笑む氷室さんにイロイロ突っ込みたい。


なぜ此処にいるんですか。
なぜ入れたんですか。
鍵かかってましたよね。

それよりなにより
なぜ…今日、このタイミングで、なんですか…。





「…タツ、ヤ…??」





ようやく火神くんの声が聞こえてきました。
こっちにも思わず突っ込んでしまいたくなるんですけど。

はぁ…なんですか、
その情けない声は…。






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