I'm angr… hungry!







「…むかつく。」
「え?」





ぼそっと呟いた言葉にキョトンとした綺麗な顔がすぐにオレへと向けられる。
加えていつもの優しくて落ち着いた声で「どうした?」と問われたオレは返事をせずにポテトチップスの袋をビリッッと開けて黙々とそれを口にほうり込んだ。

さすがに何かを感じたのか、読んでいた難しそうな小説をパタンと閉じてオレの近くまで寄って再度問い掛けてくる。
でもオレは目を合わせようとせずにバリバリとポテトチップを食べることで怒りを抑えていた。



「敦?」
「………。」
「何?何か怒ってんのか?」
「……むかつく…」
「何が?俺が?」
「室ちんはさぁ〜…馬鹿なの?」
「はぁ!?」




じとりと睨み上げると、『馬鹿』って言葉にはさすがに冷静さを欠いた室ちんが眉をしかめて上擦った声を上げた。
構わずに続ける。
と、その前に、見下ろされるよりはオレが見下ろして言いたい。
立つのめんどいけど、そうも言ってらんないか。




「だから〜室ちんは馬鹿?」
「…意味が分からない。」
「だってオレを怒らせること平気で何回もするじゃん。」
「したつもりはないけど…?」
「今日だけでもう5回なんだけど。」
「…え?」



あ、考えてる考えてる。
考え込んでる室ちんの顔にジトーッとこれでもかと視線を送ること10秒。


「…ごめん、全く分からない。」
「なにそれ?ちゃんと考えた?」
「考えたよ、だけど身に覚えがな―っ…ンんッ?!!!」




5回もオレを怒らせること言っといて『身に覚えがない』?
あぁもう、むかつくからもう何も聞きたくない。
何も言わせない。
…その舌ひねりつぶしちゃおうか。




「んんっ…、ッ…、ンんっ…!!!」



どんどんと胸元を叩かれる。
けど全然いたくないし。

抵抗してんの?
それで?そんな力で?
そんなんじゃオレびくともしないんだけど
(室ちんってもしかしてほんとに馬鹿なのかな〜)

後頭部に手を回して逃げられないようにしてから、咥内を犯しまくってやった。舌を絡めて歯の裏も全部舐めてやったら室ちんの身体から力が抜けていくのが分かって面白くなる。

前から思ってたけど室ちんってキス好きなのかな〜…
わかりやすいくらいの反応だもん。

暫く無理矢理そうしていたけど、とうとう室ちんの膝がガクンと折れてズルッとその場に崩れ落ちてしまって。




「あれ?もう限界?」
「っ…は、はぁっ…は、」
「…室ちん?」
「…っ…、敦、本当に、俺…なにかした…のか?」




あ、なんかすごいエロい顔になってる。
顔真っ赤だし動揺してるし唇が(オレのだけど)唾液まみれでテカッてるし、しかもなにその超感じちゃってる表情。
めっちゃかわいいんだけど何なのそれ。



「ん〜…やっぱもういい。」
「よ…よくないだろっ…」
「でもなんか、オレのキスでそんな顔してくれんの見たらど〜でもよくなったし。」
「っ?!!(ど、どんな顔してるんだ俺は!!!)」




ぼふんっと頭から湯気でも出たみたいだ。みるみる顔を赤くしていく室ちんはかわいくて面白い。

クールでカッコイイっていろーんな女子から言われてるけど…カッコイイ??
かわいいじゃなくて???
(ん〜…よく分からない。)




「…ぁ、敦、……ちゃんと言ってほしい。」



絞り出したような小さな声。
室ちんなりに反省でもしてくれるのだろうか。
…こう素直に聞かれたら、言うしかないじゃん。
もういいって言ってやったのに。
(ほんと真面目だよな〜)





「…じゃあ言うけど。」
「うん。」
「オレの前で"タイガ"って連呼しないでくれる?」
「…うん、…ん?…えっ??」
「だから、室ちんタイガタイガって煩いんだよ。」




今日タイガ試合何時からだったかな、とか
タイガのことだからまたダンクばっかりなんだろうな、とか
黒子くんとタイガのコンビって面白いよね、とか
タイガとアレックスってさ…、とか
タイガって昔からさ、とか……………………


ほんっっと、
今日一日で(しかも本読んでたんじゃないの?)
何回タイガタイガって言ったと思ってんの

ほんと煩いったらないよ
けっこう本気でむかついたんだから



「……。」
「ちょっと室ちん聞いてる?」
「…は、あははっ…、」
「は?何笑ってんの?…俺怒ってたんだけど?」
「はは…っ、ごめん、でも、」



そのときの室ちんの笑った顔は、オレのむかつきとか怒りとかを一瞬で払拭してしまうくらいに綺麗で可愛くて、思わず目を丸めてしまったら
今度は室ちんから軽いキスをされた。

突然すぎる。
こういう時は室ちんが年上って痛感してしまう。


「敦のほうが馬鹿だよ」
「…?」
「タイガにヤキモチ焼くなんて、馬鹿だよ。」
「………。」
「ふふっ」





クスクス笑いながらまた、難しい小説を読み始めた室ちんの背中を見ながら、


ヤキモチとか冗談じゃないし
なにそれむかつく
ていうか火神がむかつく
アイツほんとむかつく

誠凜高校のバカエース火神へのありとあらゆるムカつきが溢れてきて


でもそれ以上に

不意打ちでかわいいことをしてくれた目の前の大好きな人への、もっともっと触りたいな〜っていう…

いやむしろもう食べちゃいたい的な欲求が溢れ出すぎて、

これをどう押さえ込んだらいいんだろう、って数分間真剣に悩んでしまった。





〜END〜






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