新年記念小説A





新年一発目だからだろうか。
笑えるくらい真剣な目で今まさにおみくじにチャレンジしようとしてる真ちゃんを横目に、オレも200円を巫女さんに渡して一回チャレンジしてみることにした。

そんな真剣になんなくても、だいたい大吉とか吉とかでさ、あんま悪いのはでなくなってると思うよーって言ったら鋭い目付きで「うるさいのだよ」と一刀両断されてしまった。
高尾ちゃんのフォローを足蹴にするなんて真ちゃんらしいよホント。

まーそんな風にさ、相棒のオレに優しくしないバチがあたったんだよきっと。

おみくじ開封するなり石のように固まって顔面蒼白になる真ちゃんの手元覗き込んだら、"凶"だって、"凶"!
笑える、まじ笑える!

だってオレ大吉だし、おみくじ引いた周りの人らみ〜んなそれなりに嬉しそーな顔してんのに、そんな中、190cm越えの険しい顔した石像が現れたんだからマジ爆笑!

でもその大爆笑を必死に噛み殺すオレ、偉い!
だって真ちゃん真剣だからね、笑ったら絶対怒るから。




「………縁起でもないのだよ…」
「気にすることないって!ただの運試しでしょ!」
「…お前は大吉だからそんなことが言えるのだよ。」



ありゃりゃ、拗ねちゃってるよ真ちゃんてば。
うーん、どうしようかね、って思ったオレがとった行動はまぁ王道というか、至ってシンプルなもので。



「んー、真ちゃんのおみくじ貸してみ?」
「何をするのだよ。」
「はいはい、いーから!」
「あっ、」



何故か怪しむような視線で見下ろされちゃったけど、そーゆーのも慣れちゃってるから気にしない。
するりと奪い取った真ちゃんのおみくじを自分の持ってた大吉のおみくじと一緒にして、くるりと一結びにした。

それを神社の木の枝にくくりつけて、後ろの真ちゃんに振り返って言ってやったのだ。




「オレのと一緒にしたから大丈夫じゃん?」
「…訳がわからないのだよ。」
「だから、大吉のオレと〜、凶の真ちゃん、このおみくじみたいにさ、一緒に居たら"吉"くらいになるんじゃね?」
「どんな理屈なのだよそれは。」
「いーじゃん!今年も一緒に居てくれるんでしょ?オレの運、分けてやるっつってんの!」
「……。」



けっこういいコト言ったと思ったのに、真ちゃんはなんだか眉間にシワ寄せて厳しい表情になっていた。
あれ?って思ったら、むすっと閉じていた唇がゆっくりと動いて。




「……俺がお前の幸福を奪うのは、良くないのだよ。」
「え?なんで?」
「馬鹿かお前は。幸せにしてやりたい相手から幸せを奪ってどうする。」



なんて、ド真面目な顔して何言い出すんだろうか。
一瞬、マジで時間止まったかと思った。
(そんくらい、衝撃受けた。)


「ん?高尾?」
「…、……新年早々きた〜…」
「何が来たのだよ?」
「なんでもない…こっちのハナシ…」
「?」




ああ神様。
年明け早々ありがとうございます。


ほんとに天然でツンデレを貫ける緑間真太郎は最強で、そして最高の相棒で、オレはきっと今年も真ちゃんには敵わないんだろう。

だって、今年はまだ始まったばかりなのに、オレはもうすでに最高にしあわせなのだから。


熱くなっていく顔を地面に向けて、そう思ったことは、

真ちゃんには
まだナイショ。




〜END〜




********


この二人ほくほくするよー!
可愛いよ!
高尾くん飄々としてるくせに真ちゃん大好きすぎるのがたまらん。





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