赤司様誕生日記念小説







こんなことであの赤司が喜んでくれるなんて思ってない。
けど、黒子が、高尾が、氷室さんが、笠松さんまでもが口を揃えて言うもんだから…




『行った方がいいです。』
『もーいい加減白黒つけてこいって!』
『俺もそろそろハッキリさせた方がいいと思うよ?』
『男ならバシッと決めてこい。』





だから、意を決して行動に起こすことにした。















〜赤司様誕生日記念小説〜














「…、……光樹、?」






相変わらず、圧倒的なオーラを纏っているなぁとか。
やっぱりえげつないほど綺麗な顔と風格してるよなぁとか。
つい見とれちゃうんだよなぁとか。
(あんまり近くに来られるとオーラ凄すぎて見とれるというよりは固まっちゃうんだけど)

で、そんな赤司が見せる驚いた顔と声が、ちょっと好きだなぁとか。

―――……なんて思ってる場合じゃないかもだけど。





ザワザワザワって、体育館中がざわつきはじめて、それらの視線が俺に集中している。
予想はしてた。
してたんだけど…
(…ううっ、予想以上だよすでに…)





「あーっ!誠凛の1年PGくんっ!」
「あらやだ、フリ君じゃない。」




そう言って俺に近付いてきたのは洛山の無冠の五将、葉山小太郎と実渕玲央。
あっという間に両手に洛山状態になって俺は小さく萎縮してしまった。


京都、洛山高校。

俺は今まさに、ここ洛山の、バスケ部が練習中の体育館まで…たった一人で訪れていた。

『すみません、赤司…征十郎くんいらっしゃいますか?』と体育館の扉を開けたのが数秒前。
黒子の話では洛山バスケ部は現在、冬休みで自主練中だから監督は不在、そのため比較的簡単に訪ねることができるって……そういう話だったはずなのに…。


扉を開けた瞬間からザワザワがすごいし、試合とは違った意味で足が震えるんだけど!!!





「なになに?赤司に用事ー?」
「ちょっと小太郎、引っ付きすぎよ!降旗くん固まっちゃってるじゃない!」
「…、…あ、すみ、すみませんっ、練習中にっ…」



ぎゅむぎゅむと二人に挟まれながら俺はその隙間から、さっき視界に入った赤司の姿を探した。
そしたら。




「玲央、小太郎。」
「なーに?赤司?」
「やだ、征ちゃんてば、怖い顔しないで!」
「……光樹から離れてくれ。今すぐだ。」



赤司の声が聞こえる。
と同時に葉山さんと実渕さんが少し名残惜しそうに俺を解放してくれた。



「あ、赤司!」
「…光樹…、一体どうして…」
「ごめん突然…本当にごめん、すぐ出てくからっ…」
「…いや…えっと…」
「?赤司?」
「……どうしよう、…驚いて言葉が出てこないんだ。」




そう言って言葉に詰まって困ったように口元を覆う赤司の姿には『迷惑』とか『なにしに来たんだ』とか、そういう雰囲気はなくて。
その心配も勿論していた俺は、とりあえずホッと安心していた。

本当に驚いている赤司を見て、まるでサプライズ成功、みたいな気持ちにもなってしまった。





「…あのさ、赤司…ちょっと二人で話せる…かな?」
「勿論だ。―――すまない、少し空ける。各々練習を進めておいてくれ。」



赤司の澄んだ声が体育館に響く。
その声がまたキレイだな、って呑気なことを思っていた俺の手を赤司がギュッと握って、そのまま体育館から連れ出された。





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