赤司くんのアプローチ大作戦!






俺は今、死刑宣告を受けた。

比較的平凡な毎日を過ごしている平凡な俺が、突然死刑宣告を受けた理由を誰か20文字以内で簡潔に教えてください。




「僕の言った事が聞こえなかったのかな?光樹?」




赤い髪、オッドアイ、全てを平伏せるような声の人間が(えっ?人間でいいのこれ!?)微笑みながら俺に詰め寄る。

いや、なんっ…
ええっ?!

なんで俺っ?!!
なんで光樹呼び?!!!
なんでキセキの時代のキャプテンが、洛山の主将赤司征十郎が、俺に、俺に何の用件があるからってココに存在してんの?!!!

言いたい事は山ほどあるのに、まさに蛇に睨まれたカエル状態の俺は口をぱくぱくさせて目を丸くさせるしか出来ない。




「光樹?聞こえなかったかい?」
「え、あ、あの、」




死刑宣告ですよね
聞こえました、聞こえましたが!!
でも俺まだ死にたくないよ!!

『何も言わず目を綴じてくれ』なんて!!!

無理無理無理。
目を綴じたが最期、気付けば俺はあの世の住人になってました、なんてイヤだ。イヤすぎる。



「な、な、なんで?!」




声は震えてしまったけど、俺にしてはよくやった方だと思う。誰か褒めて!!じゃない、誰か助けに来て!!!




「困ったな。」




そう言って苦笑する姿はハッキリ言って格好いい。というか綺麗。
だからこそ赤司にそんな顔させているのが俺だってことに余計?でいっぱいになる。
ほんと、頭の上に100個くらい?マーク浮かんでる。




「仕方ない。君にこれを渡したくて…驚いて欲しかったから目を綴じてくれって言ったんだけど…」




そう言いながら一歩、二歩と近付く赤司。俺はもちろん動けない。
赤司がポケットに手を入れて、それを俺に差し出そうとする動作を理解して、まだ俺は「ころされるー!!」と本気で焦っていた。

それくらい、赤司征十郎という人物が俺と関わるようなことはありえないのだ。

いよいよ赤司が手にした物が俺の目の前で披露されることになった。
ビクビクと引ける腰をなんとか据えて、片目で恐る恐る確認する。


ーーーー…、…ん???
(あ、あれっ…)





「テツヤの話では君が喉から手が出るくらいに欲しい物だと聞いて、ね。」
「こ、これっ、これっ!!!!!!」
「喜んでくれて嬉しいよ。」



赤司がふわりと微笑む。
その優しくて綺麗な表情は凡人の俺には眩しすぎて、それだけで うっと怯んでしまいそう。

だけど、だけど、
赤司が俺に差し出したものは、確かに俺が以前黒子(火神もいたけど)に熱弁しちゃった『喉から手が出るくらい欲しい物』で、

ううっ、目が釘付け!!
なんか赤司の手に飛びつきたいくらい!!

そんな俺の心の中も、赤司のエンペラーアイは見透かすのだろうか。優しい声が掛けられる。




「受けとってくれるかい?」
「えっ、でも、いいのっ?!!!」
「いいも何も、言っただろう?君に渡したくてって。」
「なんで俺なんかに…で、でも嬉しいっ!!ありがとう赤司、くんっ!!!!」
「…。(感無量だ…!)」




ありきたりのお礼しか言えなくて今の嬉しい気持ちを全部伝えられないのがもどかしい。
だからギュウッと赤司の手を握って感謝の気持ちを表した。
ちょっと強く握ってしまったからだろうか、赤司はクッと上を向いて暫く無言だったけど。



「ほんっと嬉しい〜…!!これ、超レアカードでさっ、絶対手に入らないと思っててっ!うわぁあぁ〜夢みたい!本物だぁ!!どうやって手に入れたの?!!ほんとに貰っていいの??!」




あんなに固く締まっていた喉が全開オープンだ。あの赤司にマシンガントークしちゃってるなんて。
なんてゲンキンなんだ、って自分でも思う。周りにそう突っ込まれても文句いえない。

数分前の自分にグーパンチしたい気分だ。
赤司…いや、赤司くんって……
めっちゃイイヤツだったんだね!!!




「…本当に可愛いな光樹は。」
「えっ??」
「いや、何も。」




ふっと笑って赤司が踵を翻した。そのまま黙って去ろうとする背中に慌てて叫んだ。




「あっちょっ…赤司、くん!!!」




ちゃんとお礼したいし、なにより、こんなレアなものをタダで貰って何にも出来ずにお別れするのはさすがに非常識すぎる。
だからとりあえず、アドレス教えて!と叫んでいた。

赤司が俺の言葉を聞いて、右手をグッと握りしめたのが見えたから「あっ俺調子乗った?!!!あれ?やっぱ殴られる?!!」と一瞬恐怖に顔が強張ってしまったけど、

結局殴られることはなく、なんだかすごく御丁寧なことに連絡先を綴った名刺を渡されていた。

俺の手の中にはお宝レアカードと、まさかの赤司征十郎の名刺…という、軽いハズなのにずっしり重いものが納まっていた。

















その夜、






『テツヤ、さっき光樹から初メールが届いたよ。』
「…よかったですね。…約束のバニラシェイク30個無料券はいつ頃?」
『近々そちらに必ず届けるよ。ところで、』
「はい?まだなにか?」
『高尾というのは秀徳PGのあの高尾か?』
「ーー…は?」
『光樹からのメールで…例のカードを"高尾にさっそく自慢したらすっごい羨ましがられちゃった!!!ほんと赤司くんありがとう!!!"って可愛いっ…じゃなくて、高尾とはどこの高尾だ?!!』
「……秀徳の高尾くんだと思いますよ。」
『………なん、だと…』
「すみません、深夜2時に迷惑極まりないので切ります。」
『あ、テツーー……、』














それから何故か、その後頻繁に赤司からプレゼントをもらうことが増えました。
そして、黒子が毎日のようにマジバに通うようになりました。






〜END〜








*******




レアカードはオークションで15000円でした。『降旗くんのアドレス>15000円』


1年PG組(高尾と降旗)が仲良し友達だといいなーという妄想(・∀・)
一緒にトレーディングカードで盛り上がってほしいという願望!!





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