氷室辰也・誕生日記念小説







前から思ってたけど。
最近改めて思う。
室ちんという人間は何事も解りやすいヒトだと。


好きになる前は「ウザいし訳わかんない」ってゆー印象くらいしかなかったけど、好きになってから……特に、付き合うようになってからは解りにくいどころか「面白いくらい、ほんと解りやすいなー」って印象に変わった。
(しかもわりと早く。)

例えば、キタ●ウみたいな前髪で左眼を隠してるように、どっかで本心までも隠そうとしてるトコがある。
例えば、作り笑顔が異常に上手くて、そして多い。
例えば、あんな顔して目的のためなら手段なんか選ばない。
などなど。

…あーそういえば「キ●ロウみたいな前髪だねー」って室ちんに言ったら、その直後に上段蹴り喰らったこともあったっけ。
(だからもう二度と言わないって心から誓った。)あとは、

室ちんはあんまり(というか、ほとんど)自分のテリトリーに他人を入れない。
つーかテリトリー外の人間は室ちんにとって「他人」なる。
他人に見せる顔は「爽やかお兄さん」って感じ。
たとえ本心からじゃなくても周りに合わせたり、笑顔振り撒いたりするのは朝飯前だから…とりあえず「第一印象はかなりいいタイプ」ってやつ。
(まーオレは最初それがウザッて思ったんだけどね)


でも、一度自分のテリトリー内に迎え入れた人間には全く違う一面を見せる。
もしくはその「内側の人間」に関わる出来事や人物にも、そういった一面を見せる。

それはもう「解りやすい」くらいに。

つまりオレが今、室ちんを「解りやすいヒト」って思えるのは、オレが室ちんのテリトリー内に存在する人間だからなんだけど。
そういう意味では…まぁ嬉しいことなんだけど。


…………うん。
……ただ…けっこうねー…困ることも多いっていうか。
色々「えっ…。」て思うことがあるっていうか…。


とりあえず、まず言いたいのはやっぱコレかな。
さっきもチラッと言ったけど、ニコニコした綺麗な笑顔でけっこうな無茶するんだよね…あのヒト。

特にあの、何かで意見が対立したり揉めたりしたら「バスケ」か「拳」でカタつけようとすんのはマジでやめてほしい。
ちょっと考え方が偏りすぎな気がする。

それについて、柔らかーく、オレ的にかなりオブラートに包んで注意したことあるんだけど、



『ねー室ちんさ、すぐバスケか暴力で解決させよーとすんのどうかと思うよー?』
『えっ??』
『だから、まず相手の意見きくとかさー』
『えっ、うん。だからボールを通じて語り合った方が早いだろ??』
『………じゃあ喧嘩は??』
『うん、だから、拳で語り合った方が早いから?』




……あー駄目だ。
こりゃ駄目だって思ったね。

ボールを通じて語り合うって何それ。
ちょっと爽やかに聞こえる分『拳で語り合う』よりはマシな気したけど。
つーか拳で語り合うって……ほとんど室ちんが一方的に語ってるだけだよねアレ。
相手はただの一言も語る間なんかねーし。


んーと…それから…
あのヒト好きキライがかなりハッキリしてる。

オレとか劉ちんは『顔は笑顔、心で"コイツ殺すか"ってなってる状態』の室ちんにすぐに気付けるようになったけど(ってゆーか"なってしまった")、周りから見たら普通に笑顔で会話してるだけにしか見えないらしい。

でも分かるほうにはホントに毎回ハラハラで……そういえばWCが終わったあの時もハラハラしたっけ……






『室ちん明日さー、火神ん家に行くっつったじゃん??』
『ああ、秋田帰る前にね。アツシも来るだろ?』
『ん〜…なんか峰ちんとミドチンも来るから顔だす。』
『………んっ?アツシ、One more please??』
『だから火神ん家に皆集まるからオレも顔出さなきゃな〜って…』
『………誰が来るって?』
『え、峰ちんとミドチン…』
『……へぇ……青木君が俺の前にノコノコ顔出すんだ…』
『……。』




オレは恐怖した。
峰ちんを『青木』呼びした室ちんの笑顔に。
(つーか『峰ちん』って言ったよねオレ)

つまり、峰ちんは……好きかキライかがハッキリしている室ちんの『キライ』な方の人間に位置付けられていた。
その気付いてはいけない事実に気付いてオレは固まった。




『む、室ちん…峰ちんのことキライだったっけ?』
『いやだなアツシ。俺は彼を尊敬してるくらいだよ?ほら、秀才止まりの俺と違って彼は天才だし?凡人の延長線の俺とは違って彼はあっち側の人間だし??一度会ってキッチリ語り合いたいと思っていたんだから。ふふっ。』



……あ、やば。
峰ちん終了のお知らせだコレ。

笑顔のまま息継ぎナシでそう返した室ちんを見て、オレは峰ちんサヨナラと本気で思った。

そもそも最後の台詞が明らかにおかしい。
それに、一度会ってキッチリ語り合うって……それ例の『拳で』だよね。
『拳で一方的に』のヤツだよね。



あの時、すぐに機転をきかせたオレが峰ちんに『来ないほうが峰ちんのため』ってメールした結果、火神ん家では誰の血も流れなかった。
(峰ちん来ないって分かった瞬間、室ちんが舌打ちしたのはオレと黒ちんしか見てない)

ちなみに黒ちんからは、峰ちんだけじゃなくて黄瀬ちんも室ちんと会わせるのは止めた方がいいっていうアドバイス(?)をされた。




『……室ちんって黄瀬ちんに会ったことあるっけ…?』
『え?黄瀬くん?モデル()の?彼は今日来ないの?……会って一度挨拶したかったのになぁ。』
『挨拶?』
『ああ。「はじめまして、"それ以前の問題の氷室辰也です"、今後ともよろしくね」……ってね。』
『…………。』
『まぁ彼モデル()だからね。忙しくてなかなか会えなさそうだよね。人気モデル()なんだよね?アツシやタイガの方が格好いいのにね?日本人の感覚って不思議だね。』
『……うん、そーだね…。』




うん、黒ちんの言う通り、多分室ちんと黄瀬ちんを鉢合わせさせた瞬間、黄瀬ちんも人生終了させられちゃうなコリャ…って思ったっけ。
海常のせんぱい達と打ち上げ(?)行っててくれてホント良かったよ…。



まぁ、そういうわけで、室ちんはキライな人間にはエグいくらいに容赦ないってこと。

だけどね。
その反動なのか何なのかはわかんねーけど、室ちんってば好きな人間にはこれまた解りやすいくらい……すっごく可愛くなるんだよね。
(天使と悪魔が表裏一体って凄くない??)


手を繋いだら幸せそうに笑ってくれるところとか、
キスしたら赤い顔して照れちゃうところとか(帰国子女のくせにね)、
セックスのときは恥ずかしそうに声抑えて、やだやだって子どもみたいに首振ってオレにイかされんの我慢したりさ。

それはもう、めっちゃくちゃ可愛くなるんだから。




―――――あっ、
(ウワサ?をすれば、室ちんだー。)







「あれっ、アツシ。」
「…部室?いっしょに行こー?」
「ああ、行こう。今日は1年生も交えて5対5のミニゲームをしようと思ってるんだ。」
「ふーん?」
「アツシに憧れて入ってきた1年けっこう多いよな。頑張って期待に応えてやれよ?」
「……そーゆーの興味ないんだけど。てか室ちんの方が引くくらい人気だったじゃん。」
「え、そうだったかな?妬いたりしたのか?」




ふふっと笑ってそう言う室ちんに、オレは今まで「んなわけねーし」って言ってきたけどさ。
でも、室ちんのこと、前より分かっちゃうオレは、今までとは違うことも言えちゃうんだよ。



「?アツシ??」
「そだね、…ちょー妬いたかも。」
「えっ?」
「でも、室ちんはオレのだから。…アンタの隣を誰かに譲る気なんてねーし――…。」
「ッ!!!」




校内だからって油断した室ちんがいけない。
一瞬の隙をついて、唇に触れるだけのキスをしてやった。




「すきあり〜」
「…っっ……あ、アツ…っ、おまっ…」




そしたらほら、もう真っ赤になって。
オレの名前もまともに呼べないくらい動揺しちゃって。
ほんと、可愛いーんだから。


だからさ。
オレ思うの。

室ちんに嫌われちゃったら確かに人生終了かもしれない。

だけどね、
愛されちゃったら。
そして愛しちゃったら。

それはもうきっと、
人生薔薇色、なんじゃないかな?





〜END〜



********


エレガントヤンキーな氷室さんも、可愛い天使な氷室さんも、どっちも好き(*^o^*)

しかし氷室さん15才の時の強さヤバいよ。半端ねーな!
総長レベルだよアメリカギャングめ!

一応コレ氷室さん誕生日記念のはずなんですが、日常の紫氷話になった…。
こういう何でもない日が幸せっていう話もたまにはいっか…



2014/10/30
キサラギハルカ




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