夏なので〜、その後話。
※『夏なので、仕方ないのです』のその後話です。
読んでなければちょっと解りづらいかも……ですがどっちにしろあまりオススメできないどうしようもない内容です。
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目が覚めたとき、日付はとうに変わっていた。
深夜3時。
身体が重くてベッドから起き上がれない。
ごろりと寝返りをうって、ぼけーと天井を見ながら少し頭の中を整理する。
(…あれ…劉…?いねぇのか…?)
まず腰が痛い。
つーかもうなんかケツが痛い。
でもそれより何より…
なんか…腹?ケツ?…今までにない感じがする……
なんだ?と思ってとりあえず起き上がろうとした時だった。
「……、……っ!!!!」
ヒッ!と悲鳴に似た声が出そうになったけど咄嗟に両手でそれを押さえ込んだ。
ありえねーっつーか、恥ずかし過ぎるっつーか、とにかく言葉にならない。
だって、け、ケツから…何か出てきた…。
ドロリと漏れ出たそれは、紛れも無く…劉に出されたもの。
それくらいはさすがに分かる。
…意識飛ばす直前に…腹ん中がすごく熱くなった気がした。
それは多分、ナカに熱いもんが放たれたからで……
「あ、福井起きたアルか?」
「…ッ!!!」
突然キッチンの方から聞こえてきた声に肩が大袈裟に震えてしまった。
さっきまでシャワーでもしてたんだろう、上半身裸で肩にタオルをかけた劉がいた。
両手にはそれぞれスポーツドリンク。
自分でもゴクリと飲みながら、オレにも「はい」と手渡してくる。
まだ乾かしきれてない髪から時折ポタッと水滴が落ちるところとか、全く無駄な脂肪がない引き締まった肉体とか、伸ばされた長い腕とか……
(…コイツこんな…かっこよかったっけ…)
「ん?福井何で顔赤いアル?」
「あ、赤くねーよ別にっ…」
「……照れてる?」
「はぁっ…?!!!なっ、なんでっ、つか何に照れねーといけねんだよ!!!」
「ふふっ、可愛い。」
「人の話を聞けよッッ!!!」
劉はいろんな意味で目敏い。
何気にすごく気ィ付く奴だし、空気もちゃんと読める。
それなのにオレにだけ何でその『空気読める』を実行してくれないのか、って思う。
あーもう…すっげぇムカつく。
……何でオレが劉なんかにいちいちドキドキとか…しなきゃなんねーんだよ…。
今も、ベッドに腰掛けてくる劉の顔がまともに見れない。
何か、じーっと見られてる気がするし…
いやこれ…気がするっていうか…うん、めっちゃ見られてるよな…。
「……劉、お前…見すぎ。」
「だって福井がコッチ見ねーカラ。」
「…あんま、見んな。…多分オレ酷ぇ顔してるし。」
…多分。つーか…確実に。
涙すげー出た気がする。
涙っつーか…ずっと泣いてたレベルじゃね?
咽も痛いし…
(ドリンクもう半分飲んじまった…)
昨日…は、何かヤバかった。
ずっと…何つーか、…気持ちいいのが続いて…まともに頭働かないどころか…
変なコトまで口走ってしまった記憶も…ある…ような……。
『福井、大丈夫か?』
『…ん、ゆっくり…されんの、気持ち…いいっ…』
……………
………………
…………死んでしまいたい。
こう…中途半端に覚えてるってのは…マジで死にたくなるな…。
ちょっとでも意識すると忘れたい記憶とか、耳にまだ残ってる…低い声で囁かれた劉のやたらエロい言葉とか、そういうのがフラッシュバックしてくる。
うわ、
(か、顔…熱い…。)
「ところで福井、」
「…な、何だよ…?」
「身体平気アルか?腰痛い?」
そう言いながら伸びてきた劉の手はオレの腰を労るように、優しく撫でた。
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