肝試しするんだよ!(陽泉/紫氷+劉福+a)





夏。
真夏。
サンサンSUMMER。

―――…といえば。





「え〜…アイスクリーム?」
「野外バスケで1on1。」
「海だろ絶対!」
「山アル。」
「BBQとか楽しそうなんじゃが…」



誰ひとり意見が噛み合わない。
氷室に至っては夏は関係あるのかとさえ問いたくなる。
そんな5人の言葉に対して、スパンッッと竹刀が空を切り裂く音が響いた。



「馬鹿者どもが!夏といえば決まってるだろう!!――…そう、肝試しだっ!!!!!」



愛刀コテツを高らかに掲げて陽泉高校バスケ部女監督、荒木雅子は叫んだ。
そんな彼女を、彼女の前に立たされていたレギュラーメンバー達は目を丸くしてポカンと見つめるしか出来ない。

汗水流した部活後、そのまま部室に残るようと命じられた時から何やら嫌な予感はしていたが。
そんな予感的中組の紫原と福井辺りは「うげ。」と表情を歪ませていた。


部室内が静まり返ること数分。
荒木はギロリと鋭い目を向けて彼らに告げるのであった。



「まぁそういう訳でだな…今夜学校の裏手にある墓地で肝試しを行うことにした。」


「…はぁ?!どういう訳なワケ??!」
「肝試し…ですか?」
「うげっっ…!!!」
「福井?どうかしたか?悲惨な面アルよ。」
「…また急じゃな、監督。」




ますます眉を寄せる紫原と、その隣で首を傾げる氷室。
一気に表情が強張っていく福井と、その変化にいち早く気付き指摘する劉。
そして岡村のその言葉に荒木は説明口調で続けた。



「肝試しは精神を鍛える手段の一つだ。貴様らに足りないのは技術だけではない。メンタルも鍛える必要があるんだ。いいな!!集合は深夜0時、…以上だ!では解散する!」



半ば強引な解散宣言でとりあえずその場を立ち去る5人。

渋い顔をする者、平然としたままの者、青ざめる者…各々個別の心境を持ったまま、各自寮室へと戻るのであった。




(…肝試しかー…あんま得意じゃないんだけどなー…てかメンドすぎるんだけど。)

(確かに技術だけじゃなくて精神も鍛えるべきだけど…肝試しとは斬新だな…)


(…………やべ…オレ幽霊とかマジ苦手なんだけど…!でもバックレたら監督に半殺しにされる…)

(福井顔面蒼白アルな…。そういえば日本の肝試しって初めてアル。そんなに怖いのか?)


(…BBQじゃなかったんか…。というかあの墓地…本当に出るっていう噂があるんじゃが…)





深夜0時まで、
―――…あと4時間。







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