Question Time!




※R指定ではないですが内容がお下品です。


********











「室ちんに質問がありまーす。」


と、薮から棒に言われた俺は「今度は一体なんなんだろう」と小さく溜め息を吐き出した後にアツシと視線を合わせた。

今更何を畏まっているんだか。
普通に聞いてくればいいのに。



「質問って?」
「えっとねー今から2択で聞いてくから全部答えてくれるー?」
「…まぁいいけど…」



相変わらず何を考えているのか理解に苦しむ。
まぁ質問に答えるくらい別にいいか…と首を縦にふるとアツシはニヤリと笑った。

ん?なんだその怪しい微笑みは?と思った俺の頬に、アツシの手の平が伸びてきて「ん??!」と思ったときにはそのままペトリと触れられていた。




「じゃー質問その1〜。」
「…、……。(この手は何か意味があるのだろうか…。)」
「オレにキスされんのは好き?嫌い?」
「…、…、……は?」
「好き?嫌い?」




あれ?
俺が思ってた質問と何か違うぞ?!
っていうか…それを今更答えろと言うのか…?!
今、ここで…?!!!

内心では相当あたふたしていたと思う。だけど俺はそれが表に出ないタイプらしい。

は?という言葉を発してから暫く何も言えずにいると、頬に触れていたアツシの手が「えいっ」と、その肉を摘んだ。

自慢じゃないけど俺は顔に余計な肉はついていない方だ。だから摘まれると結構痛かったりする。



「ひ、ひたい、」
「…好き?嫌い???」



早く答えてよ、と言わんばかりの威圧的な瞳と強い口調。
これは…アツシのヤツ、ふざけているんじゃない。
至って真剣なのだ。

ようやくその事実に気付いた俺は先程の質問に早く答えなくては、と思う反面で…その質問を思い出して、少し恥ずかしくなってしまった。

だって…本当に…
今更…
(…聞くなよ、そんなこと。)

じとりとアツシを見上げると、パッと摘まれていた頬を解放された。
俺を見つめる紫色の瞳に身体の奥がじわりと熱くなる。



「…室ちん。」
「……、好きだよ。」
「答えんの遅すぎ。オレちょっと傷つきかけたんだけど。」
「…、……ごめん。」




あれ?
何で俺がいたたまれない気持ちになってるんだ?
何で謝ってるんだろう?

…それになんだか…
身体が…熱いっていうか、この雰囲気が……擽ったくて困る。

顔…大丈夫だろうか…
赤くなってないだろうか…
こんなことで赤くなっていたら格好悪すぎる。

未だに頬にアツシの手が優しく触れているから、少しでも顔が熱くなるとすぐにバレてしまいそうで早くこの状況から逃げたいと思った。

そんな俺にはお構いなしにアツシはまたゆっくり口を開いた。


「じゃあ次〜」
「…まだあるのか?」
「うん、まだあるよー。」
「……次は何だ?」



もうこうなったら早く答えて早く終わらせるしかない。
そう悟った俺は何でも答える覚悟でアツシの次の質問を待った。
アツシは頬をむにむにと触りながら、言った。



「質問その2〜。乳首は口で舐めるのと指で弄られるのどっちが好き?」



………ちょっと待て。
確かに何でも答える覚悟はあったが、それでもちょっと待て。
何だその質問は。
どうしてそんな質問を顔色一つ変えず、むしろシレッとした顔でできるんだ。



「室ちん、答えて。」
「…、ひ、ひたいっ…」



また容赦なく頬を抓られる。
なんの拷問だこれは。

ていうか…
えっと…
乳首…が…何だって?

本気でそんな質問に答えなきゃいけないのか?と恐る恐るアツシを見上げると、俺の答えを待つアツシは先程より具体的な言い方で聞き直してくる。



「口とか舌で舐めたり噛まれたりされんの好き?…指で摘んだり引っ張ったりされるほーが好き?」



ね、どっち?と答えを促してくる。
さっきのキスの質問はともかく、今回のは…しかも今、リアルな聞き方をされたからヤバい。
その感覚を思い出そうとしているのか、脳が勝手に働いてしまう。
思い出してしまったら、さすがにポーカーフェースなんて貫けない。



「室ちん?」
「〜〜〜〜っ…、」
「…。(うわ、そこで赤くなっちゃうんだー…)」
「ど、どっちって…、そんなの分からない…!」
「だーめ。ちゃんと答えて。…あ、ちゃんと答えてくれたら後で1on1してあげてもいーよ?」




アツシのこの提案に普通の人ならなんて返すのだろうか。
なんて返すのが正しいのだろうか。

アツシと1on1…
俺の今からしようとしてる返事は正しいだろうか。
いや、きっと正しいはずだ。
(間違っているはずない!)




「…その言葉…忘れるなよ…。」
「うん。(室ちんていろいろ間違ってるよね…まぁ可愛いけど。)」
「……………………………………………………、………く、口で…されるのが……好き、だ。」




顔から火が出そうだ。
こんな…至ってまともな精神状態の時にセックス中のことを事細かく思い出して…改めて答えなきゃならないなんて。
むしろセックスする以上に恥ずかしいものがある。

一気に身体が熱くなる俺とはまるで正反対に、アツシは「ふーん、そっか。」といった態度だから何だか憎い。

一体なんなんだ。
結局何が聞きたいんだ。




「じゃあ次ね。室ちんさ、ちんこ口でされんのと手でされんのどっちが好き?」
「っ?!!!」
「ほらほら、1on1したいんでしょ?答えて?」



1on1という単語がこんなにも俺を縛り付けるとは思いもよらなかった。
質問も…何だかどんどんエスカレートしている気がする。
もうアツシの顔をまともに見るのは無理だ。

顔を見ないように、見られないようにと床へと俯いても……相変わらずむにむにと頬を押したりしてくるアツシの手の平のせいであまり恥ずかしさは変わらない。

その恥ずかしさをグッと堪えて俺は答えた。
(なぜなら1on1がしたいから!!!)




「……、…………口でされるのは…まだ…慣れない…」
「あれ?フェラ良くなかった?室ちんイってくれたから良かったんだと思ってた。」
「……、よ、良くない訳じゃ…ないけど…」
「?どーいうこと?」
「…、だ、だから…つまり…」




良すぎて困るってことだよ…
言わなくても理解してくれ頼むから…!
アツシは頭がいいはずなのにこういう時にその力を発揮してくれないから本当に困る…

それに…何て言うか…
口でされるのは…アツシを汚してしまうようで、そういった意味でも抵抗がある。

俺のものを啣えて…
厚い舌で舐め上げたり、唇で食むようにしたり…
あのアツシにそんなことをさせるのはいけないことだと思ってしまう。



「…室ちん?(なんか顔真っ赤になってんだけど何か想像してんのかな…)」
「っ…、え、えっと……だから…、て、手で…される方がいい…かな…」
「ふーん…手でぐちゃぐちゃに扱かれんのが好きってこと?」
「っ…、ゆ、ゆっくり、される方が…いい、けど…」
「(…あ。やば。何か勃ちそーかも。)」
「…し、質問…もう終わりか?」
「あー…うん。(これ以上はオレが無理かな…)」




よし、答えた…
全部答えたぞ…!
思わず心の中でガッツポーズを決めた俺。

これで何はともあれアツシと1on1だ。
さぁいつする?
今からでも俺はいっこうに構わないが?

逸る気持ちを抑え切れていたかどうかはわからない。
ただ、パッとアツシを見上げた瞬間、がっつり視線が重なっていて。
アツシはやや呆れた口調で呟いた。



「…室ちんのバスケ馬鹿。(アンタのせいでオレ今やばいんだっての。)」
「え?」
「……まぁいーけど。」
「???」
「…。」



無言でじっと見られる。
何やら恨めしげにジトーっと。
そんなアツシに首を傾げて「どうした?」と問い掛けると、いきなり頬に触れっぱなしだった手が顎を掴んできて。
そのままグイッと上に引かれて噛み付くように唇を奪われていた。



「んッ…?!!」
「…。」
「ンん…っ!ん…!!」
「……は、…じゃあ行こっかー。」
「はぁっ…、は…っ、…え??!」
「ん?1on1するんでしょ?」




呼吸を整えることに必死な俺にアツシは「ん。」と平然とした顔で手を伸ばしてくる。
自然にそうしてくることがやはり憎い。
いきなりディープキスをしてきたかと思えば、今度は手を繋ぐように促してくるなんて…全く…どこの伊達男だよお前は。




「?室ちん?」
「………くそ…っ」
「ん?(あれっ、ますます顔赤いし。)」
「…っ、……今日は絶対負かすからな…!」
「はいはい。」





そうして宣戦布告した数分後。
物凄く悔しいことに俺はまた、アツシに「One more time!!」と頭を下げているのであった…。













(…あ、そーだ。今日の夜、検証するからね。)
(は?何を…?)
(今日のあの質問の答えが"ほんとかどうか"だけど?)
(………ん?)
(ん?)
(……………、……、…えっ?!!!)
(ねーそこで赤面すんのやめてくれる?)




夜まで我慢できなくなるじゃん、と眉を寄せて愚痴るアツシ。
その隣で俺は、ボトッと手にしていたバスケットボールを落下させていた。

テンテンテン…、と足元に転がったボールをアツシがひょいっと拾いながら「?どうかしたのー?」とまた俺の手に戻してくれるまで俺は身動きすら出来なくて。

アツシに勝てないのはバスケだけではないのだと思い知らされたような気がした。







〜END〜






********


攻めが受けを溺愛する関係性がたまらなく好きです。

特に年下攻めにそれがあてはまる!
ゆえに氷室さんは紫原くんにとことん愛されて甘やかされたらいいと思う(・∀・)
紫氷ばんざーい!

あと氷室さんの安定のバスケ馬鹿具合も私は大好き(・∀・)


2014/7/12 キサラギハルカ





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