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そろそろ続けていいかな、と深い溜め息を一つ吐き出す赤司くんの横をズルズルと引きずられるようにして戻される黄瀬くん。

「どーも、すいませんでしたっ!」と海常の森山さんと小堀さんによって両脇を抱えられ自陣まで連れていかれると、当然のように笠松さんから拳骨の制裁が待っていた。



「痛いっスせんぱいっ!!」
「あんま恥ずかしいことすんなっこの馬鹿っ!!」
「うっ…だって…」
「で?赤司と何話してたんだよ?」
「そ、それは、えっと…」
「?」




……黄瀬くんがモゴモゴしてます。
そりゃあそうですよね。
笠松さんとエッチなことしたいから同室がいいって赤司くんに駄々捏ねてたなんて、言えませんよね。

まぁそれはともかく…
そろそろ赤司くんも「いい加減終わらせたいんだが」というオーラ撒き散らしてますから。

続けてもらいましょう。






「……では残りの部屋割を発表するよ。誠凛高校、テツヤと火神大我。木吉鉄平と日向順平。伊月俊と……降旗光樹。」



…あ。
僕、火神くんと同室…ですか。
それは…とても嬉しいですが…
先程の部屋割から考えて…そういう行為には至らないという赤司くんの予測故の組み合わせなんですよね…コレ。

ということは万が一にもそういうことをしてはいけないということ…ですね。



「黒子!よろしくな!」
「あ、は、はい、」
「ん?どした?」



ニカッと笑う火神くんに反射的に顔を赤く染め上げてしまった。

さっきから…僕は何を考えているんだろう。
普通にこれは『合宿』なのに。
いつでも火神くんが僕を求めてくるなんて、そんなはずないのに。
(…な、なにを意識しているんだろう…)

なんだかものすごく恥ずかしくなってきました。
黄瀬くんのせいだ、これは。



「黒子?」
「…いえ…本当に何でも…。」
「?まぁよろしくな!明日の試合の対策とか練ろうぜ!」
「そうですね。」



…そうですよ。
これは合宿、しかも強豪校合同の。
今は試合に勝つことだけ考えなくちゃいけませんよね。



「日向、よろしくな。」
「…あー…おう…。」

「フリ、よろしくな?別に気ィ遣ったりしなくていいからな?」
「あっ…、は、はい!」



にっこり微笑みながら主将の肩をポンと叩く木吉先輩と、ぶっきらぼうにそれに応える主将。

降旗くんは彼の憧れの先輩でもある伊月先輩と同室だからでしょうか、緊張した様子。
けれど伊月先輩に優しく微笑まれて少し嬉しそうにも見えますね。

……ただ…
伊月先輩は知らないから仕方ないんですが…その…端から見ると何だかものすごく微笑ましく見える光景が……

一歩間違えると恐ろしい光景に変わりそうでハラハラします。

…つまり、
赤司くんが…不機嫌になりそうなくらい、仲良しな先輩後輩の光景…というか。

…でもこの組み合わせにしたのは赤司くん本人ですよね。
(なら大丈夫でしょうか…)



と思ったのも束の間。

プログラムを手にしながら説明していた赤司くんの、その手の中のプログラムがぐっしゃぐしゃになっている。

一応顔は平静装ってますが…びっくりするくらいヤキモチ妬いちゃってますね…。




「…っ、……最後に洛山高校は千尋と玲央が。永吉と海常の小堀浩志、桐皇の若松孝輔は部屋の関係で小太郎達と同様にBルームにさせてもらった。」



「…何で俺がアンタと同室なんだ。」
「征ちゃんが決めたことよ。仕方ないでしょう?」


「おうっ!お二人サンよ、よろしくなっ!!」
「こちらこそ。根武谷くんと若松くんはセンターだよな?色々話聞きたいと思ってたんだ。」
「こ、光栄っす…!オレも話聞きたいっすから!」




一応そちらの三人組も『センター』というカテゴリーでこじつけたんでしょうが…彼等の人柄も合っているのか…意外と上手くいってますね。

むしろ同じ高校、同じチームメイトの黛さんと実渕さんの方が気が合わない感じビシバシします。



「…部屋割は以上だ。夜までは各高校でトレーニング、その後は自由行動。明日の予定は今から配るプログラムに記載してある。特に各監督、各主将はスケジュールの把握をするように。」




…そうして僕たち全員の手に赤司くん渾身の合宿プログラムが配られ、その場で話始める者、早々に食事へ向かう者、ホテル内を探索する者……

各自別行動へと移った。






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