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「美味しそうですね。」
「リコのまるごとレモン浸けとはちょっと違うな〜」
「いやちょっとどころじゃねーだろ!!!です!!!」



レモンのハチミツ浸けホイホイ……、それは今しがた敵として戦った者たちも群がってしまう効果があるようだ。




「おわっ!!ちょっ、テツお前なに普通に食ってやがんだ!!」
「桜井くんが皆さんもどうぞって言ってくれましたから。」
「うお、うまっ!!!!」
「火神テメェまで何食ってんだよ…!俺の分が無くなんだろが!」
「青峰くんケチくさいですよ。」





あっという間に少なくなっていくタッパーの中身に、桜井は笑いながら「まだありますから」と予備に用意していた方も持ち出す。

日向が「マネージャーみたいな野郎だな」と呟くと、その隣で木吉が笑った。




「今日はそのマネージャーみたいなヤツに相当決められたな?」
「うっせーな!俺も同じくらいは決めてやっただろが!!!」
「ああ、頼もしかったぞ。」




にこりと微笑まれてストレートに褒められる。
木吉という男はこれだからタチが悪い。
うぐぐ、と言葉を詰まらせた日向は最後に「負けたら意味ねーだろが!」とだけ言ってバクリとレモンを口にほうり込んだ。



「あれ?日向なんで怒ったんだ?」
「…。(怒ったんじゃなくて照れたんだろ…日向顔赤いし…)」



何で気付かないかな…、と伊月は呆れた瞳で木吉を見上げる。
木吉はそんな伊月にも「?」と首を傾げた。















結果だけ見れば確かに桐皇の快勝だったかもしれない。
だが、青峰はそう感じてはいなかった。


128対100……、
黒子のミスディレクションが効かないことや木吉の足のこともあるのに、28点差。

『たかが28点差』



何がその結果に繋がっているのかもハッキリしている。
自分をマークしていた人物…火神だ。

試合中、ゾーンにも入っていない状態だというのに、青峰は火神に『ブロックされるイメージ』を何度か抱いていた。


どこまで強くなるのか分からない……そう思わせる火神に、腹の底から沸々と沸き起こる感情があった。
―――興奮。

やっと現れた自分と存分に戦り合える相手。
青峰がずっと望んでいたものだ。

その火神の様子をチラリと窺えば今は口いっぱいにレモンのハチミツ浸けを頬張っている。
まるでハムスターのような姿に青峰は呆れたような表情でそれを傍観した。




「…んぁ?何だよ青峰!!今日は負けちまったけど、次は絶対負けねぇからな!!」
「僕ももっと練習します。青峰くん、またやりましょうね。」



どこか満足そうに微笑む黒子と、悔しそうに眉を寄せながらも強気な台詞でそう宣言する火神。



「言ってろ、馬ー鹿。」




青峰はハッと一笑して、そう告げた。






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