2
ゲーム再開、黄瀬をマークする葉山の顔は先程とは比べものにならないくらい真剣そのものだ。
絶対抜かせない!と瞳を輝かせる葉山のディフェンスに、さすが過去に無冠の五将などと呼び称されただけはあるな、と黄瀬の足がキュッと止まった。
「っ、おっと…、…ふ〜ん、もうAコートは気になんないみたいっスね?」
「玲央姉のワザでファウルもらっちゃあね!マジになんなきゃでしょ!」
「…"玲央姉の"ワザ、ねぇ…?」
また黄瀬の口角が上がった。
その直後。
バァンッッッッ!!!!!!!!!!!
「―――うげっ…?!!!」
「ちょっ…今度は小太郎のライトニングドライブ?!!!」
「ちっ…速い…!ヘルプが間に合わない…!」
「どぉああ!!来いや黄瀬ぇ!!」
「……。」
轟音を響かせ、ゴール下まで侵入した黄瀬に根武谷がブロックに跳ぶ。
そのままダンクかと思われたが、黄瀬の手首がクッと動いた。
その動きに根武谷が持つ嫌な記憶が蘇る。
「ぬぁ?!!これは…っ…木吉の"後だしの権利"じゃねーか!!!!」
「…へへっ、後は頼んだっス。」
黄瀬からパスを受け取った人物は、迷うことなく腕を伸ばした。
力強く、真っ直ぐと、ゴールに吸い込まれるようにボールは飛んだ。
ザシュッ、という軽快音。
「…っし!!」
ガッツポーズを決める笠松に、黄瀬が「さっすが先輩!」と笑顔で親指を立てる。
その光景を誰よりも悔しく見ていたのは先程の実渕同様、自分の技を目の前でキレイに決められてしまった葉山だった。
「…くっそぅ…絶対やりかえす…!」
「……誠凛とはまた違うやりにくさがあるわね…。」
「いいだろう。涼太には僕がつく。小太郎は4番、玲央はそのまま5番のマークを頼んだよ。」
"さぁ、そろそろ遊びは終わりにしようか?"…赤司の口元が勝利の自信に緩む。
ここからが後半、
ゲームはまだ始まったばかりだと告げるかのようだった。
[ 196/217 ]
[*prev] [next#]
[戻る]