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週末バスケット強化合宿。
場所は赤司家の所有するホテル兼別荘。
もちろんバスケットコート、トレーニングルーム…他にもスポーツするにあたっての各種設備は全て揃っている。
各高校の部費のことを考えて、交通費は勿論、日常品に至るまで今回かかる費用は全て僕が負担することにした。
その代わり……
必ずWCの試合に出たレギュラーメンバーを参加させること、(誠凛に至っては必ず降旗光樹を参加させること)
そう条件付けた―――――…。
*
ブブブブブブブ…
ブブブブブブブ……
未だ両肩に玲央と小太郎の気配がある中、連続的に僕の携帯が震えた。
「…おや、随分同時にメールが来るものだな。」
「あ、秀徳の緑間だねっ!誠凛の影薄クンもじゃん!」
「っていうか桐皇の青峰くん…海常の黄瀬くん、陽泉の紫原くん……これもう全員からじゃない。」
ふふ、すごいタイミングね、と笑う玲央の声を肩越しに聞きながら内容を確認する。
『何を考えているのかは知らんが、次は勝たせてもらうのだよ』
……いかにも真太郎らしい簡潔な内容だね。
『さっき皆で合宿用のお菓子買いに行きました。赤司くん名義で領収書きってますので宜しくお願いしますね。』
……さっそく利用出来るものは利用しようというのも…まぁテツヤらしいか。
『俺らも全員参加すっから。すげーいいコートとすげーいい飯とすげーいい風呂よろしくー。』
………大輝らしい…風呂は露天風呂から個室まで用意してある、安心しろ。
『赤司っち!久しぶりっス!合宿なんてオレ得な企画マジありがとうっス!!!ちなみに赤司っちの別荘って何人部屋っスか??二人部屋ならオレ、笠松先輩と同室希望っス!!!』
…………文面が馬鹿すぎて見るに堪えない。涼太殺す。
『赤ちん今度は何企んでんのー?室ちんすげーヤル気だしてて超うざくて大変なんだけどー。』
……企む、とは敦も酷いことを言うね。
昔から妙に鋭いんだからな…。
(……あ、)
最後に送られてきたメール。
携帯を持つ手に無意識に力が入ってしまった。
『赤司、合宿なんて突然すぎてびっくりしたよ!でも、会えるのは実は嬉しかったりして…。えっと、とりあえず、週末よろしくな。』
相変わらずの、素直で可愛い性格がそのまま表れたようなメール。
思わず口元が綻んでしまった僕に、
「赤司、よかったね!楽しみだねっ!」
「……バスケも恋愛も燃えてこそなんぼよねぇ。」
小太郎と玲央も、楽しそうに笑った。
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