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……………ってな事情で溜め息も既に何回か吐き出しとるワシの横で、週末合宿の日程をメモしながら確認しとる真面目な桜井が口を開いた。




「今吉先輩、さっきの"有り得んわ"で、もう5回目ですよ。」
「………そうは言うてもなぁ…」



だって有り得んやん?桜井くん?と視線を向けると、その2コ下の後輩…桜井良が怪訝そうな目を向けてきよった。




「今吉先輩、最初参加するの渋ってましたよね?」
「…お。何や桜井、なかなか鋭いやんけ。」
「で、桃井さんも行くって監督が言った途端に渋るのやめましたよね?」
「……良クン、それは君の勘違いやで。うん。」






そう返したら桜井は「ふーん…そうですか。」と物言いた気な何とも生意気な顔で、ボソリと吐き捨てた。

しばらく一緒に練習せぇへんかったからか…なんか桜井、可愛げなくなってへんか…?
……あれ?
そもそもこんな強気キャラやったっけ…???




「青峰さんも今吉先輩も…女の人にだらし無いですよね。」
「青峰はともかくワシはそんなことナイで〜」
「…。」



どうだか、って目ェすんの止めてくれへんかな〜…

あんな年中おっぱいおっぱい言うてるガン黒ゴリラと一緒にされるんはさすがのワシも、何ちゅーか…プライドが許さんわ。

にしても…桜井のこの言い方…なんか引っかかるなぁ。
なんか…桃井に嫉妬しとるっぽいっちゅーか…

いやいやでもまさかな。
何に嫉妬するっちゅーんや。

もし仮に嫉妬やとしても、や。
……そう、青峰は男やんけ。
いくら桜井がアイツのずば抜けた才能に憧れとるいうても…なぁ?
(…憧れ、やんなぁ?)


ワハハ…、
我ながら変な想像してしもた。
…………笑けるわ。





「なんですか?変な顔して…。」
「いや別に?(変な顔てなんやねん!)」
「…ともかく僕絶対、どの高校相手でも負けたくないので今吉先輩もお願いですから参加するからには本気出して下さいね。」




真っ直ぐ、真剣に、キリリとした瞳を向けられてそんな熱い台詞を言われたワシが思ったことは。


『おとなしかった後輩の急激な成長ぶり、何や物凄い……怖いねんけど。』


…それに尽きた。







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