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6月18日、その日の部活中。
予定通り作戦決行に向け動き出した4人。
不穏な彼等の行動に、この時も中村は迷わず『我関せず』を貫くことにした。

故に中村抜きで行われた黄瀬誕生日計画、まず動いたのは早川だった。




「主将ーー!!!大変でっす!!!大変でっーーーすっ!!!」
「…んぁ?」




パタパタと笠松に駆け寄る早川に、今回のターゲットともいえる笠松本人が何だ?と言いた気に振り返る。

その笠松の隣では、早川のお世辞にも上手いとは言えない演技の仕上がりにハラハラする森山の姿。



「どうした早川?」
「大変っす!!!小堀先輩と黄瀬が大変っす!!!」
「はぁ??」



要領を得ない早川の言葉にあからさまに顔を歪ませる笠松。
ここで森山が慌ててフォローに加わった。




「どういう意味だ?落ち着いて説明しろ、早川!」
「えっとえっと…(うあっ、台詞忘(れ)ちゃいましたっ森山先輩っ!!)」
「(……お馬鹿っ!!)」




ちょっと来い!と森山が早川を連れてコート端まで移動し、小声でなにやらヒソヒソと話込む。
そんな二人の様子に笠松はいよいよ首を大きく捻った。




「なぁおい、小堀と黄瀬がどうしたんだよ?」
「……笠松、大変だ!」



本来は早川の台詞であろうその言葉と、その続きを森山はキリリと笠松に告げた。
森山の後ろでは「森山先輩さすがっす!!!」と目を輝かせる早川の姿。




「黄瀬と小堀が熱中症で倒れたって!!!今すぐ水飲まさないと危険なくらいの脱水症状らしい!!!」
「…はっ?!熱中症?!!」
「ちょっ、とにかく保健室!!俺も行く!!」
「あ、ああ、…皆、戻るまで自主トレしといてくれ!!!」




森山の迫真の演技に笠松も少し動揺した様子で体育館を後にした。

その後ろ姿を、「アイアイサー!!!」とダブルピースで見送る早川。
さらにその一連の流れを心底呆れた顔で観察していた中村の姿があった。





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