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Bコート、
試合終了…ベンチに座る黄瀬は汗をタオルで拭いながら空を仰いでいた。





「…あ〜……やっぱ赤司っちは強いっスわ…」



まるで呟くような、小さな独り言のようにも聞こえる。
その声には悔しさが十分に含まれていた。
頭からタオルを株っている為、その顔が見えない。

笠松は心配と同時に少し不安に感じて、無意識に黄瀬の肩に触れていた。
笠松のその行動に黄瀬の身体がぴくりと反応する。



「…先輩?」
「あ、えっと、…大丈夫か?」
「えっ???」



大丈夫か、と言う笠松の声に慌てて黄瀬は身体を起こした。
視線を合わせれば、やはり笠松の瞳は心配そうに自分を見つめていた。
まるで、傷ついた者に対してどう声を掛ければ良いのか戸惑っているようにも見える。





「せ、先輩…えっ??どうしたんスか?!!!」
「いや…」
「あっ、そうっスよね…!!ゴメン…オレ、また先輩達を勝たせてあげられなくて…!!」




あわわわわ、と何故か必死に謝る黄瀬に笠松は目を丸くして黙り込んでしまった。



『ゴメンね』
『勝たせてあげられなくて』



まさか、自分と同じことを思っていたなんて。
そして、誰よりも悔しくて落ち込んでいるくせに…そんな時に、相手を思ってフォローまでしてくるなんて。



「せ、先輩…?」
「…謝んなよ。お前はやっぱスゲー奴だって皆分かってる。それでも勝てなかったのはお前じゃなくて俺らのせいだ。」
「えっ?!!いやっ、そんな、」



違うっスよ、と続くはずだった黄瀬の言葉は、二人の後ろからの声に遮られた。






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