試合終了です







「分かってたつもりだが…やはりキツイな…、陽泉の2‐3ゾーンは…」
「いい試合じゃったわい!」




お互い笑顔で讃え合い、元主将同士が握手を交わす。
勝敗こそ別れたものの、双方共に晴れやかな感情だった。

整列、礼の後に他のメンバーからも続々と声が漏れた。




「キヨ、今回はオレらの勝ちな!」
「っくそ〜…うっせーな、轢くぞ!」



いえーい、とピースサインを見せつける福井に口元を多少引き攣らせた宮地がそう返し、その宮地の隣では木村が悔しそうに天を仰いで額の汗を拭った。




「…あーくそっ!ちくしょう…!」
「秀徳とは相性の問題もあったアルな。」




ふぅ、と深呼吸をし、劉はチラリと自チームに勝利を齎したエース2人へと視線を向ける。
清々しい微笑みを浮かべる氷室の前では、ゲームの結果を素直に受け入れながらもやはり悔しいのだろう、口先を尖らせる高尾の姿。




「3Pエリア内は全部紫原の守備範囲とか、真ちゃんとの相性悪すぎっしょ〜!も〜!」
「ふふ、アツシと俺でようやく防げたカンジだったけどね…」




高尾くんのパス回しにも苦戦したよ、と付け加えると高尾はベッと舌を出した。

「フォローなんて要らないっすよ!次は絶対コッチが勝つから!」と返す。
普段は明るいお調子者のイメージだが高尾も相当の負けず嫌いなのである。

そして、困ったな、と微笑む氷室も事バスケに関しては"誰よりも負けず嫌い"と言っても過言ではなかった。
ちゃっかりと「次も負けないよ」と牽制してみせたのだから。

―――そして。






「…チッ、やはり貴様とはやりにくいのだよ…。」
「まーミドチンの能力ってオレとは相性良くないもんねー。」
「……しかしお前がチームプレイをするとはな…序盤からのオフェンス参加も正直予想外だったのだよ。」
「……ん〜…まぁね〜…」




ゴクゴクゴクと喉を潤しながら両校のエース、緑間と紫原が視線は合わさずだが肩を並べて言葉を交わす。

まぁね、と言った紫原の視線は緑間ではなく、チームメイトの氷室へと向けられていた。





「…絶対勝たせてあげたかったからねー。」




ぼそりと漏れた独り言は汗を拭うタオルの中へと消える。
案の定、緑間の耳には届かなかった。




「?何か言ったか?」
「…べつに。」
「……変わったな、紫原。」
「は?別に変わってねーし。てかミドチンがそれ言うー?」
「どういう意味なのだよ?」
「言葉のまんまの意味だけど。」




相変わらず自分のことにはどこか鈍い緑間を見下ろしながら紫原は少し呆れた風にそう言った。

85対80、
40分の試合後に残されたのは接戦の記録であった。




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