プロローグですか?











太陽が眩しい程に輝やく午前11時。
青い空と、緑豊かな広大な土地。
―――その中にある、きちんと整備された複数のバスケットコート…

そこで今まさに熱い闘いが始まろうとしていた。










Aコート―――…






「アツシ、頑張ろうな…!」
「…はーい。(あーあ、室ちんてばめっちゃ楽しそーだし。)」
「おい劉、分かってんだろうな?」
「勿論。何がなんでも勝つ、アルよな?」
「ほんじゃ、そろそろ始めよっかい。」





既に瞳の奥に火がついてるであろう氷室と、氷室の様子にヤレヤレと呆れる紫原。
この2人をダブルエースと呼び、攻撃力は勿論、2m超えの選手を3人も擁した『絶対防御』と称されるディフェンス力で他校を圧倒させる秋田の強豪校…陽泉高校。

対するは。






「ナメてもらっちゃ困んだけどなー、ねー真ちゃん?」
「ふん、勝てるものなら勝ってみろ。まぁ無理だがな。」
「健とやんの久しぶりだなー相変わらず一人小せぇし。」
「おい宮地、油断はするなよ。木村もな?」
「おう、分かってるって。」






言わずと知れた防御困難な緑間の超長距離3P、鷹の眼を持つPG高尾の一年生コンビが驚異的な活躍を見せる歴戦王者の秀徳高校。
二人を中心に3年生メンバーが周りを固める、…このチームに容易く勝てることなど有り得ない。
そう、彼らのプレイを見た者はよく理解していた。







Bコート―――…







「赤司っちとはずっとやってみたかったんスよねぇ。」
「…ああ、俺も洛山とはずっとやってみたかった。」
「はぁ〜…ちょっと二人とも…目ぇ輝かせすぎ。」
「勝ちましょうっっ!(リ)バウンドはオ(レ)に任せてほしいっす!!!」
「はは、早川は元気だなー。」





真っ直ぐに対戦相手を見つめる黄瀬の口角が上がる。
隣に立つ元主将、笠松も同様に楽しみだと言わんばかりにポキリと肩を鳴らした。

普段はともかく、試合となればこの一年生エースを中心にチームが見事、一丸になるのが海常高校である。
一度は溜め息を吐いた森山も気付けばニヤリと笑みを浮かべていた。






「…あー秀徳とやりたかったよぅ…」
「ちょっとぉ…まだ駄々こねてんの?小太郎ってば。」
「……あんたも高尾高尾言ってなかったか?」
「げっぷ、…よーし腹ごしらえも済んだことだし、……赤司、勝とうぜ?」
「ふふ、誰に言ってるんだい?……勿論、問答無用で潰すよ。」





中央で腕を組み、不敵に微笑む赤司征十郎を囲むように並ぶ個性的なメンツ。
絶対王者、洛山高校。
未だAコートに未練たらしく視線を向ける葉山と、隠してはいるが同じく似たような心境の実渕に冷たい視線を送る黛千尋くらいが唯一の常識人かもしれない。






そして、Cコート―――…








「よぉテツ、火神ィ…ぶっ潰してやるから全力でかかってこいよ?」
「青峰楽しそうやなぁ。まぁお手柔らかに頼むわ。」
「…お前も十分楽しそうだぞ今吉。」
「諏佐さんもっスよ。まぁオレもっスけどね!!」
「……先手必勝です。僕が最初に決めます…!」





それぞれ癖のある連中が集まったチーム、といえば洛山同様こちらも癖者揃いである。
絶対的エース青峰を筆頭に、特攻隊長を自負する桜井良、そして癖者中の癖者…今吉翔一。
WCのリベンジに燃える桐皇高校である。






「よーし、楽しんでこーぜ。」
「だぁほ!向こう闘志剥き出しだろが!」
「…ま、こっちも闘志では負けてないよ。とうしてかな?」
「………伊月先輩…そのギャグ2回目ですよ。いい加減にして下さい。」
「黒子、勝って青峰に一泡吹かせてやろうぜ!!!!」






試合が待ちきれない、火神の表情はそう如実に物語っていた。
そんな火神の背中を黒子は苦笑交じりに見つめたが、火神同様、楽しみなのは此処にいるメンバー全員であることを皆が皆自覚していた。
応援席にいる降旗からも声援が飛ぶ。

バスケ部結成僅か2年目にしてWCで見事優勝に輝いた、新星王者―――誠凛高校である。







……それはともかく、
なぜこれらの高校が、この時間に、この組み合わせでこんな謎の試合をすることになっているのか。


それを説明するためには
話を少し、巻き戻す必要があるのです――――…。






[ 183/217 ]

[*prev] [next#]
[戻る]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -