2(Case.劉と福井)







〜Case.劉と福井〜





――――…負けた。

洛山の赤司征十郎と誠凛の降旗のまさかの急展開のせいで、恐れていた結果になった。
認めたくねーけど、……………………オレは賭けに負けたのだ。


アツシと劉からの部室への呼び出しはほぼ同時。
顔色の優れない氷室と(多分オレも人のこと言えねー面してたと思うけど)、いまだに仲間外れ気分で嘆いている岡村と…三人で部室に向かい…その扉を開けた。
扉を開けるなり、出迎えたのは2m超えの巨人2体だ。

そりゃあもう、意味深な笑いを浮かべたクソむかつく顔だった。

「…あ、終わった。」と氷室の顔面がそう物語っていた。
自慢のポーカーフェイスどこ行った!とツッコむ間もなく、アツシが氷室の腕を取った。



「…あ、アツシ…?」
「室ちん、残念だったね。」
「な、なな、何が?」
「何がじゃねーし。分かってんでしょ?」
「………えーと…何だったかな〜…」



駄目だ、氷室。
全然クールじゃねーぞ。
口元引き攣ってるわ目は泳ぎまくりだわ、動揺しすぎだ。
……まぁ、紫原のそのオーラ(ん?ゾーン入ってねーよなソレ?)目の前にしたら…そうなるか…





「福井。」






………………あ、つーかオレも人のこと気にしてる場合じゃねーんだった…

おいコラ、とでも言いた気な声のトーンと視線。
えー……と…マジ氷室のこと言えねーなこりゃ…
(目ぇ泳ぐわ、この状況…)





「福井も分かってるアルよな?」
「………、…、あ〜…えーと…」
「二人とも観念するアル。賭けは私とアツシの勝ちネ。」
「………や、やっぱそのハナシデスヨネー…」





はははー…と空笑いするオレを威圧するように見下ろしながら「笑ってごまかせると思うなよ」と視線だけで訴える劉がまじ怖い。
同じく、氷室もアツシの眼力とオーラにジリッと後退りしていた。




「じゃあアツシ、とりあえず福井連れて行くアル。アツシはどうする?」
「……んー…アゴリラいるからオレも室ちん連れて部屋戻る。」
「分かったアル。」





そうして、オレと氷室は別々に巨人に連れ出されるハメになった。
部室には「えっ…部活は??ていうかワシは???!」と一人取り残された岡村がとうとう涙目になっていたという。





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