「サ……サ、サスケ!」
「うぉ!」
翌日の放課後、さっさと帰ろうとたサスケの首根っこを後ろがらがしっと掴む。あ、もうちょっと女の子らしい引き止め方したら良かったかも。
「いっ……一緒に帰ろ!」
「……」
そんな不機嫌そうな顔しないでお兄さん……!
「……」
「………」
「…………」
気まずっ!こんなに二人の間に沈黙続いたのって、もしかしたら始めてかも……けどあたしが強引に誘ったんだから、何か言わなきゃ。そもそもそのために一緒に帰ろうと思ったんだから。
「あ……のね」
「……おう」
無愛想だが、返事が返ってきたことに少し安心して言葉を続ける。
「この前は……ごめん。あたし馬鹿だから、サスケの事羨ましくって……」
夢も見付からず、毎日同じことの繰り返しのあたしに対して、いつの間にかさっさと先を行っていたサスケ。
……そういえばイルカ先生が言ってたけど、悩みなんてあるのかな。
「……アホかお前は」
「え」
ピシ、と固まる。
「なっ……「俺だってねーよ、たいした目標も、夢も」
「へ?」
だって、医者になるのが目標だって言ってたじゃない。
そう思ったあたしの心を見透かしたように、ぽつりぽつりとサスケが言葉を漏らす。
「俺は昔から兄貴が目標で、兄貴を越えようと必死だった。医者になろうと思ったのも、それが発端だった……」
「……」
「けどある時、ふと分からなくなった」
「……?」
「お前と馬鹿みたいに喋ったり競ったりしてるうちに、自分は何がしたいのか……医者になってどうしたいのか」
サスケ、ずっとそんなこと考えてたんだ。全然、知らなかった。サスケの事は何でも知ってるような、そんな気になっていたけど。……何も知らないじゃん。
(イタチ兄さんは、ちょっと違ってたのか)
知らなかった心
((ていうか、こんな雰囲気始めてだ))
20110713
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