「……分かんない」
昼休み後の授業で提出の化学の課題。どうしても、解けない。今購買に行っていてサクラもいないし、ナルトに分かるわけがないし。シカマルのクラスまで行くのは面倒だしなあ……。
ちらっと横を見ると、涼しい顔をしながら弁当を食べるサスケの姿が。どうせまたイタチ兄さんの手作りなんでしょ。
「……サスケ。これ教えて」
「あ?」
悔しいけど、サスケは化学も得意。私は化学がどうにも苦手な様で、サスケに勝てた試しがない。
……なんか、どんどんサスケが遠ざかっていっちゃうな気がする。
「ん」
「え?」
ヒラリと渡されたのは酸化還元の式の表一覧。ずらりと並んだそれには頭が痛くなる。
「分からないなら、とりあえずそれ丸暗記しとけ」
「んなっ……無理だって時間ない!ねえ理解するからさあ教えてよ」
「サスケー野菜ジュース買ってきたぞ」
「お、サンキュ」
そのまま席を移動するサスケ。ちょっと待ってよ!「教えてくれるって言ったじゃん!」
「いや、言ってねぇし」
何さ何さ、ちょっと化学が出来るからって偉そうに。
「いいよね全教科出来て。サスケは何になりたいの?」
「医者」
「あー、医者ね」
……へ
「医者ァ!?」
そういやイタチ兄さんだって医者じゃん。兄貴を目指すのか、そうなのか。
「文句あるかよ」
「……別に」
ただ、急にサスケが遠くなっていくような気がしただけ。
いつも通りの痴話喧嘩
(そうだと思っていたけれど……)
20110328
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