「カカシさん!写真撮って下さい!」
「カカシ先輩、卒業おめでとうございます!」
「ん、ありがとね」
「きゃ、今目合った!」
卒業式が終わり、三年生の先輩方が最後のHRを終えて外へ出て来る。私たち在校生は、花道に立ってそれぞれお花を渡したり、写真を撮ったりしていた。
そんな中、私がひそかに探し続けていた銀髪の彼が姿を現す。
「葵、来たよ!どうすんの!」
「行くしかないのよ?ほら、早くしないとまた女子が群がるわよ〜」
「う……だって」
周りの女の子達の勢いにたじたじな私を見兼ねて、サクラといのが腕を引っ張る。
「ちょっ二人ともだめだってば!やっぱり無理!!私無理!!」
見ると、今カカシさんは同じクラスの友達たちと何か話していた。う、これはチャンス……かもしれない。けど、勇気が…!!
「あれ、お前ら何やってんだってばよ?」
「ナルト、良いところに!葵をカカシ先輩のところまで連れていくの、手伝って!」
「ちょっ」
いのの馬鹿ぁ!ナルトなんかに言ったら大声出すに決まってるじゃないの!
私の気持ちを知っているナルトは、「そういうことか」とニシシ、と笑い、
「カカシさあーん!ちょっと、来てくれってばよ!」
(ほら来た……)
声に気付いたカカシ先輩は、こっちに向かってくる。ここまで来たら、やらなきゃ。心臓がばくばくうるさい。
「ナルト、どうした?勉強でも教えてほしいの?」
「違う違う!用があるのは葵だってばよ!」
「葵?」
ナルトの視線を追って、カカシさんが私のほうを見た。
「あ、えっと……」
「写真?いーよ」
カカシ先輩は、私の持っているデジカメを持って察したのか、にこっと笑ってそう言ってくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「はい、じゃあ行きまーす。ハイ、チーズ!」
サクラにシャッターを押してもらう。カカシ先輩と二人並ぶ。すぐ横に先輩がいる、ということだけで、顔は熱くなった。
「ありがとうございました!それと、あ…卒業おめでとうございます」
「ありがとう。君、葵ちゃんだよね?たまにナルトから話聞いてたよ」
(へ!?)
ナルトのやつ、何話したんだろう……勝手なこと言ってなかったらいいけど。
「数学と英語が赤点だったんだって?」
「う、ぇ!?(ナルトの大馬鹿!!)」
顔を赤くしたり青くしたりする私の頭に、ぽんと先輩の手が乗った。
(ドキ!)
「また時間があったら教えてあげようか」
「へ!い、良いんですか!?」
「ん、君は他の子みたいにうるさくないから、ネ」
「!」
笑顔と共に花開く!その笑顔に、何回やられたことか!
その笑顔で好きになったの!
(今だけは、こんな性格で良かった!なんて思った)
20110302
笑顔と共に花開く