「シカマルのケチ!」
「おー、何とでも言え」
「馬鹿ぁ!」
「は?」
幼なじみだからと言って、勝手に人の家に入り部屋にまで上がり込んできた葵。
そんなこいつが今俺に必死の形相で見せているのは、数学の問題集。
今は期末試験前で、葵は数学が苦手。小学校の時から算数が嫌いだったな。
「俺も今化学やらなきゃやべぇんだよ……サクラに聞けよ」
部屋のドアのところでそう言い、追い返そうとするが彼女は引き下がらなかった。
「だってサクラも今勉強してるし、邪魔しちゃ悪いし」
(……俺は良いのかよ)
シカマルの「やばい」はそんなにやばくないから!と勝手な事を言っている葵。理系を馬鹿にすんなよ。
「そっかぁ……ごめん。じゃあやっぱりネジくんのとこ行ってこよ」
「……ネジ?」
今、聞き捨てならない名前が出てきたため思わず聞き返す。ネジ?仲良かったのか?
「授業中に数学苦手なんだーって話してた時に、ネジくんに今度教えてやるって言われたの。けどシカマルが教えてくれるから断った。
んーでも、シカマルも大変みたいだし……私やっぱ「どこが分からねえんだ」
「……へ」
葵の言葉を遮り、問題集を取り上げる。ついでに部屋の中に腕を引く。
「あ、微分の最大値とかの応用が……」
「これか」
ベッドに腰掛けて問題を眺める。確かにこれ、ややこしいからな……葵に解けるのか?いや、ここまで来ただけでも進歩だと思うが。
「あの、何で?良いの?」
「今思ったら、昔からお前のこと知ってる俺が教えた方が効率良いしな。間違えやすい所とかも分かるし」
「す、すごい!」
「ちなみにネジが、理解力なさすぎる奴はうっとうしいだけだって言ってたぜ」
「!」
「じゃあやるぞ。これは、」
幼なじみの特権「シカマルやっぱりすごい!ありがと!」
「うぉ!(急に抱き着くんじゃねぇ!!)」20110304
幼なじみの特権