「もう、何なんですかカカシ先輩!常にえっちぃ本読んでるくせに!ばかばかばか!」
「あはは、ほんとに葵はからかい甲斐があるねぇ」

にしても、えっちぃはないでしょ。とか言ってるのは、上忍の先輩でよく私の面倒を観てくれるはたけカカシさん。コピー忍者やら写輪眼やら、大層な名前がついてるもんだからどんな人かと思えば、私を好き放題いじり倒して遊んでいる。いや、任務の時は真剣だし、強くて無敵って感じで、憧れていないわけがない。
でもいい加減人をいじるのも大概にしてほしいものだ。

「ねー、葵ちゃん?今日がなんの日か知ってるー?」
「何ですかいきなり」

知らないわけがない。何故かこの人宛にチョコレートをこっそり忍ばせている人が、ここにいるんだから。誰かって?うん、今待機所には私とカカシ先輩しかいないよね。
もちろんゆっくり作る時間はないから、買ったものだけど。うん、義理チョコ!そういうことだし、せっかく買ったんだから…

「先輩、これどーぞ」

ずいっとチョコを付きだすと、彼は片方の目を軽く見開いた。

「別に、忘れてた訳じゃないです。まぁ、いつもそれなりにお世話になってるから…良かったら」

何とも可愛いげのない言い方である。まあ、そんなもの必要ないけれど。

「あの…何か反応してくれません?」
「葵」
「はい?」
「お前って…ツンデレ?」
「なっ…はぁぁあ!?あっあなたにデレるとかないですから!ていうか義理ですから!分かったら受けとれー!」

くるりと体を反転させ、さっさと退散しようと試みると、首根っこを掴まれてうぐっと変な声を出してしまった。

「オレさー、知ってるんだよね」
「何を…」
「今日、非番なんてしょ?わざわざこのために来てくれたの?」
「んなっ…!!」

誰だ!!さては紅先輩の仕業!?

「え、ちょ、」

後ろからするりと腰に手を回される。え、何この展開

「もーちょっと素直になっても、可愛いのになー」

彼の手が、首筋から背筋までをすーっと撫でた。

「ひぁ!?」
「何だ、可愛い声出せるんじゃないの」
「……んの」
「え?」
「変態コピー忍者めぇぇ!!セクハラ反対ぃ!!!!」
「ぐほっ!?」

思いっきり肘鉄を後ろにつき出す。うん、我ながら入った。悶えるカカシ先輩をそのままに、私は外に飛び出した。



……ああもう、顔が熱い!
しかもカカシ先輩、あれくらいの肘鉄なんて
、私でも避けれるのに…なんでわざわざ喰らったんだか。次会うときが恐いじゃないか。


**

ぽりぽりと頬をかいて、渡されたばかりのチョコレートを見つめる。実は彼女以外から、すでに大量のチョコをもらって(というより、強制的に渡されて)いた。正直数が多すぎて、捨てようかとも思っている。手作りなんて、何が仕込まれているか分からない。
でも、彼女は特別。毒なんて盛らないことは当然だが、それ以上の意味で。

「しかし、本当にもらえるなんて…参ったなぁ…」

緩む頬を止めることができない。おかげで彼女の強烈な肘鉄を避けることが出来ないなんて、カッコ悪い。



……ホワイトデー、期待してもらわないとね。
とびっきり甘いのを、お返ししてやらないと。



20120214
title 確かに恋だった




きっと夢中にさせるから


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